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遠出の効果

この3年は春夏冬と年に3回は飛行機に乗ってた。
1年に4回以上乗ったときもある。
ずっとねこと暮らしていたから、ねこを置いて旅行に行くのは、ねこと離れられなくてできなかった。
そのねこが他界してしまったので、それから飛び回るようになった。
カウンセリングの先生に「すきなことは後先考えず、お金も気にせず全部してください」と言われたので、たくさん旅行に行くことにした。
この3年は常に1、2箇所の航空券を予約していて、航空券を持っていないときは一時もなかった。
航空券が自分のお守りみたいなものだった。

そのおかげで、まったく貯金はできなかったし、現実逃避にもなっていて、身の回りのことがおろそかになっていたかも知れない。
わたしは教師だから春夏冬と長期休暇がとれるんだけど、その休みに家でじっとしていることはなかったので、休みの間にゆっくり掃除をしたり、片付けたり、あるいは自分の行く末について考えたりする時間はなかった。

とにかく飛んだ。

パリ、プラハ、サンペレグリノ、東京、四万温泉、レイキャビク、サンペレグリノ、ウィーン、アムステルダム、香港、東京、青森、ロワール、サンペレグリノ、ミラノ、バルセロナ、ブラティスラバ、ピエスタニ、ワイト島、東京、新潟、台北、キエフ、トビリシ、サンペレグリノ…
サンペレグリノには4回も行っている!

それで、今思うのは、やっぱりいろいろ行ってよかったな、ということ。
他人ばかり羨ましがって生きてきたけど、その嫉妬みたいな欲望が成就された。

10月から学生になるなら、もうこんなふうに旅行には行けない。
でも、3年でこれだけ行けば、もう満足で、今度は自分自身のことにもっと時間が割ける。
現実逃避はもう十分にした。
お金も散財した。
もう遊ぶだけ遊んだ。

最高の治療だった。

全部ひとりだった。
ひとりで愉しかった。
ひとりでも愉しくできるんだなってわかった。

……とそんなわけで、わたしの精神修行は終わった。
英国では10月が新年度なんだけど、10月からのわたしは例年とは違う。
「乗り越えた」とかじゃなくて、「流れが変わった」と思う思いたい思わざるを得ない眠い午前零時。










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