もっとリアクションしろよ。

右方向にレバーを倒したら、画面が右に動く。
◯ボタンを押したらキャラがジャンプする。
OPTIONボタンを押したらメニューが開く。

何かしらのボタンを押すと、何かしらの反応が返ってくる。
ゲームとプレイヤー間のコミュニケーションは入力とリアクションの積み重ねです(もちろん例外はある)。
※リアクションを「褒め」と表現することもあり、僕自身は「褒め」と表現する方が好きなのですが、今回はより広い意味を直感的に伝えるために「リアクション」に統一します。

謎解きイベントや持ち帰り謎の場合、このリアクションをどうメイキングするか、かなり悩みます。
謎解きはその性質上、プレイヤー側は謎が解けないとそもそもの入力ができないものです。そうなれば当然リアクションも一切なく、ただ時間が過ぎていくだけのクソゲーになり下がります。

あくまで個人的な好みの話になりますが、僕が「答えが書かれていない・解説されない謎」を嫌う理由は主にここにあります。
「解けない」のはそれ自体がゲームとしての成立を妨害しているため、ただのストレスにしかならず、自然と離れてしまいます。それに時間をかけるくらいなら別のゲームしたり映画観たりしに行ってしまいますね。

さて話を戻しますが、ゲームである以上、こまめな入力と迅速なリアクションが実現されていくのが理想の形であり、もちろんそうなるよう検討はしていくべきと思います。しかしながら謎解きはそもそも「こまめな入力」と相性がすこぶる悪く(解くしかない。解けなきゃ終わり)、作る時は非常に悩ましいです。

解決策として、例えば作業ゲーが考えられるでしょう。
シールを貼る。ブロックを積む。紙を折る。その結果いつの間にか答えが出てくる。「謎を解く」以外の入力を用意してあげて、少しでもゲームが進んでいる感覚を持ってもらい、その感覚をそのままモチベーションとしてゲームに引き続き挑んでもらう。
これは非常に有効です。謎解きに苦手意識を持つような方々にも、「これだったらできる!」と擬似的な自信を持ってもらうきっかけにもなりえるでしょう。先に挙げた3つの例(シールを貼る/ブロックを積む/紙を折る)はそのまま別の遊び(シール遊び、積み木、折り紙)にもなるため、楽しさの担保という視点でも一定の効果が見込まれます。作業ゲーの中でも効果が高い分類に入ると思います。
他にも、人(スタッフ)を配置してコミュニケーションを取ってもらうのも有効でしょう。当然ながらリアクションも人並みに早いですし、人が存在すること自体が演出となり、イベント会場から寂しさを消していってくれます。

しかしながら、こういった内容は基本的には諦めたり、ミニマムな規模に収める場合がほとんどです。理由はシンプル。大体予算かスケジュールのどちらかをオーバーするからです。
常設店舗を持っていたり、一定数の集客が常に見込まれたり、美術にも注力する方針と予算があれば是非とも実現していきたい要素ですが・・・。嗚呼、羨ましき業界最大手。

これに対して僕はといえば、謎でなんとかすることを早々に諦め、
版権コラボの場合は、その世界観を存分に活用させていただいた展開や小物を用意し、謎とは別の楽しさを実現することでモチベーションにしてもらう。
オリジナルの場合は、ビジュアルなどの事前公開情報でゲームの内容や雰囲気をなるべく齟齬なく(+できれば面白そうに)伝えるように努め、ゲームに参加した時の「コレジャナイ」感をなるべく排除し、ゲームとプレイヤーのテンションの違いによるコミュニケーションエラーを減らしにかかる。
このパターンにシフトすることが多いです。
言葉にしてしまうと、まぁ当たり前と言ってしまえば当たり前なのですが、これが意外に難しい。自分の作品でも他者の作品でも、すり合わせできないことの方が多いです。

誰か、もっとコンスタントに入力とリアクションが取れる謎解きイベントや持ち帰り謎のフォーマット思いついてくれ。
それができりゃ天下取れるよな。ガハハ。

謎解きにおける入力とリアクションの話はもっと深掘りできるのですが、1回の記事で全部書いてしまうのも勿体無いので、また別の機会に深掘りしていきたいです。
ひとまず今回はイントロダクション的な話まで。

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