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ワインコラム22:ビギナーはワインの名前を覚える必要は無い

ワインという世界を森に例えるとしたら、それは深く広大な森となることに違いない。
森の木ひとつひとつに名前がある。
自分の好みの木(ワイン)を見つけるには、途方もない時間が必要になる。
森の入口で逡巡したり、帰ってしまう人もいるかもしれない。
今回はそんな人たちの助けになるかもしれないお話。

森の木の全ての名前を覚えることは不可能であるが、その植生(ある場所に生育している植物の集団)をいくつか覚えることはできる。植生をワインの世界に置き換えれば、ぶどうの品種だ。ぶどうの品種の特性を覚えることで、ワインの世界は随分整理がすすむ。

日本に入っている赤ワインであれば5品種、白ワインであれば3品種ほど特性を覚えるだけで、輸入ワインの6~7割くらいはカバーできる。
ワインの名前を覚えるよりは随分と楽だ。

赤の5品種とは、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、グルナッシュ。
白の3品種は、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングだ。
それぞれの品種の簡単な印象を下に記しておく。

≪ピノ・ノワール≫
官能的で優しく複雑な風味。酸味が強めでエレガント。

≪カベルネ・ソーヴィニヨン≫
タンニン多め。ミントやメントールの香り。熟した果実とスパイスのフレーバー。

≪メルロー≫
タンニンが柔らかで酸味が少め。アルコールは豊かでまろやかな味わい。

≪シラー≫
パワフルでフルーティー。果実や鉄、血などの香りも。

≪グルナッシュ≫
フルーツの甘い香り。アルコールが強く酸味が少ないためまろやか。

以上、赤。以下白。

≪シャルドネ≫
冷涼な地域では、レモン、青リンゴ、メロンなどの香り。温暖な地域では、リンゴやパイナップル、マンゴーなどの香り。

≪ソーヴィニヨン・ブラン≫
ライムからトロピカルフルーツの香りまで、気候によって変化。潜在的にグリーンな風味を持つ。

≪リースリング≫
酸が豊かな品種で、レモンやグレープフルーツ、ハーブのような爽やかな香り。

常日頃品種を意識しながら飲むことをお勧めする。
これで、ワインという深い森で迷うことはないはずだ。

そして、森を散歩しているうちにいつのまにか木の名前をおぼえているように、品種を意識しながら飲むうちに、好きなワインの名前は自然におぼえてしまうものだ。

                


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