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やさしさとお節介はどう違う?「何食べ」に見るじょうずな思いの送りあい方

こんにちは!エラマライターのひらみんです。

「ストーリーとか知らなくていいから、とにかく今週の話をTVerで見て!!!」
ドラマ「きのう何食べた? season2」第5話を見た後に、友達にLINEで送ってしまいました。
誰かに伝えたくなるほどに心が揺さぶられた神回をご紹介したいと思います。

※ネタバレを含みます。


ドラマの概要

よしながふみの同名漫画を原作にしたドラマで、弁護士の史朗と、恋人で美容師の賢二の同棲中カップルの日常生活が描かれています。史朗は西島秀俊が、賢二は内野聖陽が演じています。

日常生活だからこそ、同棲あるあるや、カップルあるある、仕事あるある、家族あるあるなど、自分の生活の中でも起きるような、ささやかな出来事ばかりです。だけど、「こんな風に言ってもらいたい!」などと、ドラマと自分の生活を重ねることができて、ドラマを身近に感じられるポイントが多いと思います。

毎回2人がテーブルを囲んで一緒に「いただきます」をするんですが、そこも、きちんと料理や相手に向き合っている感じがして、2人がこの同棲生活を大切にしていることが伝わってきます。それに、毎回、史朗さんが作る料理がすっごいおいしそうなんですよね。2人が「これ、おいしー!」「うん、うまいな!」って言いながらにこにこ食べているのも、ほっこりする理由なのかもしれません。

神回の第5話あらすじ

今回の第5話は、史朗の元カレである伸彦が初めて出てくるのですが、それは及川光博です。彼の冷たそうな見た目とモラハラ気質っぽい演技がドはまりして、ナイスな配役でした。

ある日、洗濯機の排水ホースの不具合で水が溢れて、その処理をしていた史朗は、元カレ伸彦と一緒に暮らしていた時にも、同じことが起きた時のことを賢二に話すハメに…。
排水口が詰まって洗濯機周辺が水浸しになったのに、伸彦は何の手伝いもせずに「昼メシまだ?」とか言うだけで、不機嫌そうに外出しちゃうんです。どんな時でもそんな感じで、モラハラに近い伸彦だけど、タイプすぎるビジュアルを理由に史朗は許しちゃっていた、とのこと。

別のある日、史朗が仕事から帰ったら、夕食に親子丼を作ろうと思っていたのに、玉ねぎがなかったんです。賢二がお昼ご飯で食べちゃってて。
玉ねぎがないなら、唐揚げにすることを史朗が提案すると、「仕事から帰ってきて、今から唐揚げなんて大変だよ。使っちゃって本当にごめん。スーパー近いし、今から買ってくる!」と、史朗が止める暇もなく、賢二はさっそうと買いに行っちゃいました。

ひとり取り残された史朗は、伸彦と暮らしてた時にも、似たようなことが起きた時のことを思い出すんです。
伸彦が、自分のお昼ごはんのために唐揚げかなにかを作って食べていて、史朗が帰ってきたらキッチンは後片付けされていなくて汚れたままだし、しかも、鶏肉は、史朗が夕食のために解凍していたもの。それを伝えると、伸彦から「俺も食費を出してる食材を使うのに、お前の許可を取らないといけないの?」みたいな返事が返ってくるんです。

過去と今を行き来して、「そうか、俺今幸せなんだ……」と賢二の優しさを噛みしめた史朗の目に涙。

ドラマの最後、後日談として、史朗は新しい洗濯機のホースがあることに気づきます。史朗は頼んでもいないし、賢二も買ったことをわざわざ報告するわけでもなく。

人を想い合うってこういうこと

今回のシーズン2全体では「人を大切に想う」がテーマであるように感じました。

第5話では、クリスマスということで、いつもより豪華なメニューを一緒に作っているんですが、健康のことを考えながらも賢二にとって思い出の大切なメニュー、明太子ディップを用意してます。

他の話でも買い物の時に「賢二が好きだからな!」という理由でちょっと高いけどナスを買ったり、史朗の遺産を賢二に残そうとしたり、史朗は、直接賢二に「好きだ」とか言わないんですけど、いろんな場面で賢二への愛がかいま見えます。

実は、玉ねぎのエピソードは、第8話にも再び登場します。賢二が史朗に「俺のこと思い出すとしたら、何を思い出す?」と聞くと、史朗は「玉ねぎ」って言うんです。賢二は、玉ねぎ?なんのこと?って感じなんですけど、史朗は心の中で「玉ねぎを買いに行ってくれたことだよ」と優しくつぶやくんです。
賢二を見つめながら、玉ねぎを買ってきてくれた日のことを思い出す史朗にまた泣けますよ。
それぐらい大切なエピソードが第5話です。

この記事を最後まで読んじゃった方は、とにかく第5話をアマゾンプライムで見て!!!

やさしさを上手に送って、受け取りたい

お節介とやさしさの線引きは難しいです。
どちらも「相手のために」という気持ちからきているのですが、軸がどちらにあるのか、というのが線引きのポイントになるようです。
相手が求めてないことだったら、お節介や余計なお世話になるし、相手が本当に求めていることだったら、やさしさや思いやりになるんだそう。

玉ねぎのエピソードでは、史朗が期待していなかった「玉ねぎを買いに行く」という賢二の行動は、今の史朗と、過去の史朗の両方を救ったんだと思います。
洗濯機のホースも、次に起きた時に使えるように、という気持ちから賢二が自発的に買ったものです。

賢二のやさしさを、史朗がうまく受け取れたから、史朗は救われたようにも思えて、人から受けたやさしさや愛を受け取ることも大切だなと思います。
ここらへん、賢二はとても上手で、不器用な史朗の愛をきちんと受け取っています。見習いたい!

実は私は最近、父から「忙しいだろうからご飯を作りに来なくていいよ」と言われるんです。というのも、母が、筋肉が弱まっていく病気だということがわかって、元気なんですけど、家事ができなくなったので、今は父がフルタイムで働きながら家事をやっています。

そういうこともあって、1週間に1回、母の様子見を兼ねて、実家に行ってました。ご飯に一番困っていそうだったし、自分ひとりのためなら作らないようなおかずを作ったりするもの楽しんでいたんです。
煮込みハンバーグとか、母が作ってくれていた名前のない料理を母に味見してもらって、「砂糖が足りない」とか言われながら作ったりしてました。実家から電車と徒歩で40分ぐらいのところに住んでいるので、そんなに負担でもないですしね。

それでも、父に「来なくていい」と言われてしまいました。これは「娘に負担をかけたくない」という父なりのやさしさなのでしょうか。それとも余計なお世話なのでしょうか。

私は、「父の家事の負担を減らしたい」と思ってやっています。親と過ごせる時間も限られてきているので、そういう時間も楽しんでいたのですが、おしつけがましいと思われているんでしょうか。遠回しに「来ないで」と言われているのか、時々わからなくなります。

父のやさしさと思って、言葉通りに受け取っていいのか、悩ましいところです。でも少し回数を減らしました。

人生はドラマと違ってうまくいきませんね。

やさしさを送ったり、受け取ったり、深読みしちゃたり、悩みながら私の人生は続きます!

Text by ひらみん(ふつうの会社員)

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