ものを知るということ
今年も早いことでもう12月も終盤。
12月ってクリスマスや大晦日、おまけに忘年会と大きなイベントがある中でその年の終わりの月でもあり、人によっては寂しくなるような時期なのかもしれません。
こんな記事タイトルですが、今回は私の2022年ベストバイについてです。
私が今回ベストバイを書くということは間違いなく自己満であるものの、書くことでその年の記録としてここに記憶を閉じ込めてあとで思い出した時に懐かしめればそれはある意味快感なのかもしれません。
これからベストバイといいながら4つのアイテムを紹介しますがお手柔らかに読んでもらえたら幸いです。
1.TAIGA TAKAHASHI
DENIM TROUSERS C. 1920'S / LOT. 704
1つ目はこちらのデニムパンツです。
服が好きならいいデニムパンツを1本持っておきたい、男性にはこの気持ちわかると思います。そんな中でおもしろく育てがいのある経年美化デニムに出会ったのはとてもいい出来事。
このデニム実は今シーズンのものではなくて、実際には21awのものになります。1920'sとあるように今から約100年前の1920年代というところにキーポイントを置いていて、当時のアメリカ社会の時代に対する服と日本の着物設計との合致、その平面的な作りから生まれる服の美しさに泥染という奄美大島の伝統技法を用いて仕上げた1着。
デニムっていろんな形や色、作りがあってしっくりくるものを探すのって難しいと思う。だけどこの職人感溢れる逸品は放っておけなかったというのが出会った時の感想です。
アイテムを細かく見ていくと、岡山のシャトル織機で編み上げられた凹凸ある生地に独特な幅のセルヴィッチデニム、後ろのシンチバックや然美のでるサスペンダーボタン。
どこまでも20年代への追及を感じる。そこに泥染という現代技法で古き遺産を現代へタイムスリップさせる。これはシンプルに美しすぎる。
このブランドのデザイナー大雅高橋さん、惜しくも今年の4月に27歳という若さで亡くなってしまいファッション業界としては秀才な人物を亡くしてしまうこととなるが、このアイテムを通して経年美化を含め未来へ思いを繋いでいけたならいいなと思うばかりです。
2.PERFUME OIL FACTORY
No.31 Tabacco blossom , Juniper berry
2つ目はこちらの香水になります。
香水って正直世の中に溢れるぐらい存在していて飽和状態にあるなと個人的には感じてます。だけどその数ある中から自分に合った香水を探してフィットしたときの快感はなんとも言えない癒しになります。
そんなこと言ってもその『出会う』という行為が始まりにして最大の壁なんですよね。だからこそ今現在ある香水サブスクはすごく便利なものだと感じます。ただそれを使ってるだけで香水を知った気になってベラベラ語られるのは少し嫌いだけどね。
余談はさておき、私は去年からスパイシー系の刺激的な香水を探してまして、ある時いつも行くセレクトショップのお気に入りのスタッフさんが付けてる香水がすごくセクシーに感じて聞いてみたらこの香水のブランドを教えてもらいました。そのスタッフさんがつけてたのはNo.31ではないんですけど、この香水のショップでいくつも種類がある中で色々聞きながら刺激的なこのNo.31に出会えたわけです。
No.31の匂いの変化は次の通りです。
Top: タバコブロッサム、ジュニパーベリー、レモン
Middle: イタリアンベルガモット、パチュリ
Base: ジャスミン、バルサム
つけたては刺激的に、そして時間が経てば徐々にその刺激が空気に溶け込みふんわり自分の体臭と優しく混ざり合う。
非常にセクシー。
この香水の良いところは香水特有のアルコールと水が入ってなくて天然原料を中心とした化学原料を限りなく減らした香料100%の成分で構成されているところです。
そのためアルコールの揮発性がない分香りが長持ちする点、香りが柔らかく香水をつけた時のツンとするいやらしさが全くない点はすごくいいメリットだろう。
さらに香りがあまり強くなく持ち運べるタイプなので、つけるタイミングを細かく調整することもできる。なんと素晴らしい香水なんだと思いました。
この香水には素敵なイメージもある。
ブランドから出るものはもちろん、香水にはイメージやメッセージがついてくるものもある。このNo.31は偶然にもロックが好きな私にとってはうってつけのイメージ、香水である。この香りを纏い、例えばレコードバーへ行きお酒を嗜めばそれはさらに素敵な時間を過ごせるに違いない。
3.Paula Canovas Del Vas
CARMEN BAG (BLACK)
3つ目はこちらのバッグです。
ここ数年まともに黒のバッグを持ってなくて細々と狙っているものを頭のメモに書き残しながら生きてきたわけなのですが、最終的にMEDEAかPaulaで悩んだ挙句こちらを手に入れました。
Paula Canovas Del Vasは名門セントラル・セント・マーティンズを卒業したスペイン出身の女性デザイナーPaula Canovas del Vasが、MargielaやGucciでの経験を経たのちロンドンに拠点を構え今のブランドをスタートさせます。
"Diabro"シリーズのシグネチャーシューズが有名で、鹿の蹄のようなつま先が特徴的なシューズがすごく人気なブランドです。
今回はシューズじゃなくバッグですが、バッグ本体に描かれた花柄のデザインやボリュームある特徴的なハンドル、デザインに関しては何もいうことはないだろう。そして今季はそれにプラスして柔らかなフェイクファーのショルダーストラップ付き。万能さとファッション性を兼ね備えた最強のバックを手にしましてしまいました。
これを手に入れたことで私の黒バッグ問題はひとまず解決です。
4.MARINA YEE
MY Parka (Forest)
4つ目はこちらのコートです。
コートってファッションにおいて、羽織ってしまえば良くも悪くもスタイリングの約7割が決まってしまうアイテム。だからこそコートって妥協できないんですよね。さらには1着だけじゃ物足りなくてついつい手を出してしまうそんな悪魔的なもの。
Marina yeeはアントワープ卒業でロンドンのセントラル・セント・マーティンズ、ニューヨークのパーソンズと並ぶ世界3大ファッション大学の出身で伝説的なアントワープ6の1人に数えられる人物。
卒業後、同じアントワープ6のドリスやアンとのビジネスの差を大きく感じ1度はファッション業界から身を離すものの、数年前からLAILA TOKIOを始めとしてM.Y.projectを展開させます。
彼女のアイテムは展開数は少ないものの、服を作る上で基本的な『折り畳む、摘む』といった動作を衣服のデザインとして落とし込め独自のアーティザナルをアプローチしてる感覚があります。
それがよく具現化されたジャケットは、ジャケット本来の綺麗さを持ちながら折り畳まれたラペルのアシンメトリーさという不思議なバランスがあり、受け手にとっては挑戦的なラブレターとも取れる作品だなと秀逸さを感じます。
彼女は過去にMartin Margielaと恋人だったという話がありますが、そのMartinも自身のブランドラインにおいてアーティザナルが有名です。しかしながら、彼の衣服ではない物を分解、再構築し息を吹き込んだアーティザナルとはまた別の彼女にとってのアーティザナルの美学を作品を見て感じ取ることができます。
さて、今回私が購入したM.Y.Parkaですが、このコート自体projectが始まった初期からのアイテムであり所謂シグネチャーとも言えるものですが、色や形から感じるように一見モッズコートのようにも見えます。
そんな中でコートのフロント中心部分の折り紙のような重なりが素敵で、パターンが複雑ながらもそれに頭を悩まされる日々にこの服の良さを感じます。さらに、袖とパーカー部分にはスナップボタンが付いていてそれを付け替えることでこのコートの違う顔が見えたりもする訳ですが、パーカー部分のスナップボタンをつけた時に綺麗に折り畳めるような作りになっていてそれもまた爽快かつ『うわっ』と言いたくなります。
ベースのモッズコートぽさからミリタリーで合わせるのはもちろんよし、幸か不幸かMartin Margielaと合わせて元カレ元カノを表現するのもありか、使い方はたくさんあるけれどこういうのはしっかりバッググラウンドを追って使いこなしていきたい。
今年は去年以上に服の内面、例えばパターンやファブリック、それぞれの服の染料など細かなところに着目して服を見れた気がする。
ずっと前にあるnoteの記事で『知識は全てを癒す』という言葉を見つけた。全てのものは何も知らなければ自分自身にとって価値は感じないが、知識という武器を手に入れれば価値は格段に変わるし、見える世界も見違えるほど広く豊かになる。分かっているけれどふと忘れてしまうような言葉だった。
服に出会って数年、服に限らず色んなものに対して広い世界を見るようになってきたし少しながら見えた気もした2022年だった。そんな世界に出会ったからには追及し探求して追い求めていきたい。そして来年もさらなるファッションを目指していきたい。
と、いうことで私のベストバイは以上です。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
そして今年もありがとう。また来年。
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