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学校でのマイクや音響機器の操作のコツ

入学式で放送担当になりました。
コロナ禍で校内へのリモート配信があったり、本校独自の慣習があったりしたので、情報教育部に所属しているのに本番の係にならずに来ていました。

でも、情報教育部だから音響機器に詳しい、という関係は無いように思います。
私は大学の時にジャズ研でライブをやったり、社会人になってもスタジオを使ったことがあったりしていて、
「スタジオに入って1時間で機材から音が出せなかったらクビ」
と言われた世界にいました。
音響について多少知っていることがあるので、書いてみます。


ハウリングは絶対に起こさない

特別支援学校で絶対やってはいけないのがハウリングです。
「キーン!」
と鳴らしてしまえば、発作を起こす子、パニックで脱走する子、隣の子を引っかいたり噛みついたりする子など、一瞬で阿鼻叫喚の世界になってしまいます。
そして、ハウリングを怖がって体育館に入れなくなってしまう子も出てしまいます。
ハウリングを起こさないための、いくつかのコツがあります。

口をマイクに近づけて話す

学校で使うようなマイクは単一指向性(カーディオイド)のものが多いです。
これは、マイクの近くの音を良く拾うように、わざわざ設計されています。
そうでないと、周囲の余計な音を拾ってしまうので、ハウリングの原因になりますし、必要な音だけを取り出すことができません。
そのため、マイクに近づいて話すだけで音をよく拾いますし、音質も良くなります。
演台から離れて背筋を伸ばして大声で話す人や、呼名簿を凝視してマイクから離れて話す人がいますが、それではマイクに「雑音」と判断されてしまい、音を拾ってくれません。
仕方なくボリュームを上げると声と一緒に雑音も増え、しまいにはハウリングしてしまう訳です。
メーカーがわざわざハウリングしないように作っているのに・・・と思うと敗北感を覚えます。

スピーカーを背にしてマイクを使わない

マイクでスピーカーの音を拾ってしまうと、ハウリングの原因になります。
それを防ぐためには、スピーカーの前でマイクを使わないことです。
体育館だと、司会者が正面のスピーカーの前に立つことが多いのですが、マイクを斜めにセットすることで、スピーカーからの音がまっすぐマイクに入るのを避けることができます。
可搬式スピーカーを使うときには、スピーカーを話者の後ろではなく、横や前に置くことで、マイクに音が入るのを避けることができます。

マスターボリュームは本番中は触らない

音が小さい時にはボリュームを上げればいいのですが、直感的にマスターボリュームを上げてしまう人が多いです。
でも、マスターボリュームを上げると、全部の音量が上がってしまうので、
他のマイクやCDを使うときに思いがけず大音量になってしまいます。
また、ハウリングも起きやすくなります。

PA(Public Address)の基本としては、本番前にマスターボリュームの音量を決めておき、決めたら基本的にはいじりません。
本番中はミキサーの子ボリュームでそれぞれの機器の音量を調整します。

つまり、
マイク1の音量が小さければミキサーのマイク1の音量つまみを上げる
CDの音が小さければミキサーのCDの音量つまみを上げる
わけです。

例外としてマスターボリュームを触るときがあります。
本番だとリハーサルと違って会場内の人数が増えるので、衣服や雑音で音が吸収されます。
そのため、リハーサルの時よりも「全体の」音量を上げないといけないことに気付くことがあります。
その場合も調整は基本1回だけで、こまめにはいじりません。

機器は大切に

よく音響機器を雑に使っている人がいるのですが、金額を知っていると使うのが怖くなります。
例えばTOAのワイヤレスマイク、学校でよく使われていますが、5万円くらいします。
最近までは4万円台だった気がしますが、値上がりしたのでしょう。

児童生徒に持たせたり、無造作に椅子に置いたりする先生がいるのですが、
「1本5万円!」
と声をかけると顔が引きつります。

あと、マイクが正常に動作しているのかを確認するときに、ヘッドをポンポン叩く人がよくいますが、電気機器を叩いて良い影響がある訳がありません。昔のテレビとは違います。
ヘッドを爪でこするのも(自分はついついやってしまいますが)、スピーカーには良くないです。
恥ずかしくても声を出して確認するのが、マイクやスピーカーには優しいです。

ちなみに野外や広い場所でよく使うワイヤレスアンプは10万円くらいです。
ワイヤレスマイクを2本使える機種はチューナーを増設しないといけないので、10万円を超えて備品扱いですね。

体育館の放送機器一式だと、軽く100万円は超えてきます。
慎重に使った方がいいです。

ちなみに、私はTOAの株を持っているので、TOA贔屓なところがあります。
スピーカーはEV(Electro-Voice)が好きですが、学校ではあまりありませんね。

まとめ

ちょっとした注意点を守ることで、マイクの使い方が劇的に良くなります。
また、機器の操作も楽になってきます。
儀式的行事だけでなく活用できるテクニックかなと思います。


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