あなたの存在をないがしろにする価値観は、すべて間違い。

わたしの日々の楽しみのひとつ。
それは、哲学書を読むことです。

「哲学」と聞くと
少々難しいイメージがありますが
読んでみると、とっても面白い。

本日は、さいきん読んで面白かった
フリードリヒ・ニーチェの哲学について
書いてみようと思います。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ（1844 - 1900）は、ドイツ連邦・プロイセン王国出身の哲学者、古典文献学者。 現代では実存主義の代表的な思想家の一人として知られる。

実存主義（じつぞんしゅぎ）とは、人間の実存を哲学の中心におく思想的立場。あるいは本質存在（essentia）に対する現実存在（existentia）の優位を説く思想。
　

Wikipediaより引用

不幸は架空の価値観によるもの

人間は社会や他人から押しつけられた
架空の価値観・意味付けに振り回されて、
自分が不幸だと思い込みがちである。


常識や社会的価値観は、
その時代・その地域で、
どこかの誰かが考えた架空の存在にすぎない
（見たり触れたりできないもの）。


それらは、現実の存在（実存）としての
わたしたち人間には、
本来関係ないものであって、
そんなもののせいで不幸になったり、
惨めに思う必要はない。
　

『飲茶の「最強! 」のニーチェ』より引用

わたしたち人間は
架空の価値観に振り回されて
不幸になっている…。

初っ端から、顔面パンチを
くらったような衝撃の内容ですね。

しかし、
よくよく考えてみると
その通りかもしれません。

常識や価値観は
地域や国によって様々ですし、
時の流れとともに
どんどん移りかわっていくものです。

架空のもの、幻想であると
頭では分かっているはずなのに、
いまの世の中の
常識や価値観に縛られ、
そこから外れたときに
自分を責めてしまう。

やはり人間は
どうしても人の目を気にしてしまう
生き物なのでしょうか。

社会や他人から
押しつけられる価値観が
自分を苦しめてしまうのであれば、
そこから離れる勇気が
必要なのかもしれません。

人間に意味なんてない

そもそも人間は、意味や目的もなく
世界に放り出された存在であって、
あらかじめ決められた意味や価値なんてない。


だから、社会や他人から押しつけられた
ありもしない意味（価値観）にとらわれて、
それが達成できなかった時に失望したり、
余計な不幸を背負い込まなくていい。
 

『飲茶の「最強! 」のニーチェ』より引用

人間の存在意義については
色んな解釈があるかと思います。
わたしはニーチェの考えに共感します。

あらかじめ決められた
意味や価値はないけれど
意味をさがして、
意味をつくりあげて、
安心したいのかもしれません。

「今この瞬間」を肯定して生きる

世の中にある
すべての意味や価値を否定してしまうと
何のために生きるのかわからなくなり
生きるのが虚しくなってしまいます。

ニーチェは
このことについても想定済みで、
現代においては
末人（忙しく働いて暇を潰すだけの人間）が
現れるだろうと予言していたようです。

では
末人にならないようにするには
どうすればよいのでしょうか。

ニヒリズム（虚無主義）の世界を受け入れ、
自分の意思で「今この瞬間」を肯定して生きる。
　

『飲茶の「最強! 」のニーチェ』より引用

ニーチェは
究極のニヒリズムとして
「永劫回帰」という概念を挙げています。

永劫回帰というのは
わたしたちの人生の
ありとあらゆるものが寸分違わず
そのままの順序で
永遠に繰り返される −−−
という状況です。地獄です。

この地獄の無限ループを
前向きに生きるには
どうすればよいのか。

その答えが
「今この瞬間を力強く肯定して生きる」
ことです。

いまという瞬間を
肯定する。

そうすれば
肯定された瞬間が
繰り返されるわけですから
無限ループ、人生全体を
肯定することになります。

いまを生きる、というのは
意外と難しいものですよね。

わたしも
未来や過去ばかりにとらわれて
いまをないがしろにしてしまっている
ことが多いです。

一日、一時間、一分、一秒。

これでいいんだと
肯定できるいまを生きつづければ
人生の終焉で
後悔の念に苛まれることも
ないでしょう。

他人から
どう見られようと
どう思われようと

自分自身が
幸せな人生だった
と思えるのなら
それでいいのではないか。

ニーチェがそう
語りかけてくれているように
感じます。

さいごに

本の最後に書かれている
著者さんからのメッセージを抜粋します。

わたしはこの文章を読んで
思わず涙してしまいました。

いまを生きるわたしたちにとって
とてもたいせつなメッセージだと思います。

「あなたが今ここに
現実に存在するということ」


それこそがこの世で大事なことであり、
すべての出発点であることを
どうか忘れないでください。


あなたの実存をないがしろにする価値観は、
それがどんなに正しく見えようと
すべて間違いです。


あなたの「幸福」、そして、
充実した人生をおくるうえで
必要な「情熱（力への意志）」は、
未来にも過去にもなく、
またあなたの頭の中にもありません。


それは、
「今この瞬間」という現実の中にあり、
リアルに感じとるものであることを
忘れないでください。
　

『飲茶の「最強! 」のニーチェ』より引用

他者から押しつけられた
価値観にとらわれず
いまこの瞬間の現実を味わって
力強く生きること。

孤独を感じたり
惨めな思いをしたり
挫けそうになった時には
ここに立ち返りたいと思います。

とても読みやすくて
おもしろい本ですので
興味のある方は
ぜひ読んでみてくださいね。

飲茶の「最強! 」のニーチェ