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7月6日の勘違い

織姫と彦星
二人は遊ぶのが楽しく
仕事を怠けてばかりいたので、
天の神様は怒ってしまいました。
離れ離れ…
会うのが一年に一回になってしまいました。
そんな二人が離れ離れになって、
最初の七夕がやってきました。

織姫は、お化粧をして髪を整えて
天の川へと向かいました。
行く道は、つまづいて転びそうになったり
カニやサソリに挟まれそうになったり大変だったけど、会いたい気持ちのままに小走りに急ぎました。

早めに天の川に着いた織姫は、
花を摘み、天秤のシーソーに座って
彦星を待っていました。
しかし、夜になっても彦星の姿は現れません。
どうしたのかな?
来る途中で何があったのかしら?
泣きそうになりながらも
天の川の周りを行ったり来たり
とうとう朝になっても
彦星は現れませんでした。
帰ってから、織姫はショックなあまり
熱を出してしまいました。
そのあとも頭の中は彦星ばかり、
ため息が多い日々を送っていました。

次の年がやって来ました。
また彦星は、なかなか現れませんでした。
このままではいけないと思った織姫は、
天の川を渡り、反対岸へと向かいました。
暗い夜道を歩いていると、
牡牛が来て彦星のところまで乗せてくれました。
そしてやっと彦星と会うことができたのです。

彦星は、急に目の前に現れた織姫を見て、
『お、お〜織姫〜』しか言えませんでした。
涙ながらに織姫を何度も何度も抱きしめました。

深呼吸をして、すこし落ち着きを取り戻し…
『僕、ずっと天の川の前で待っていて、
織姫が去年も今年も現れないから、僕のこと嫌いになってしまったのかと思っていたんだ。あー、でも、会えて嬉しいよ!』と言いました。

織姫は
『え?私、毎年7/7にちの七夕の日、
天の川の場所へ行っていたけれど、なんで会えなかったんだろう?』と言いました。

彦星は、
『あれれ…7/7が七夕?僕、ずっと7/6日が
七夕だと思っていたよ。ごめん。勘違いしてたよ。』と頭を下げて謝りました。

織姫は、『7/6日が七夕なんて…』呆れました。
でも、そんなとぼけた彦星が可愛くて、
さらに大好きになりました。
『来年からは、私が遠くに響く鈴を鳴らすから、
そしたら、七夕の日が来たと思って欲しい。』
そう約束をしました。
 
織姫の勇気ある行動で、
お互いの誤解も解けて
次の七夕に会うことを
楽しみにお別れをしました。

今年が、鈴を鳴らしてくれる
初めての年…
音色が届き
2人は無事に会えるかなぁ…

おしまい

#小説 #物語 #七夕 #出し忘れ #濃い

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