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#5 相続手続きで後悔したことベスト3

相続は、ある日突然、思いもよらないタイミングでやってきます。

今回は、なんの事前の準備もないまま相続を迎えることになってしまったお客様のお話をしましょう。

そこから見えてくる、相続を「ざっくり」知っておくことが必要なワケとは?

相続で後悔したことベスト3

第3位 相続税を払いすぎた

埼玉県さいたま市に住むAさんは、父が亡くなったあとに、家族が知らない銀行預金が沢山出てきました。

しかし、喜んだのも束の間、多額の相続税の支払いが待っていました。もし、父が亡くなる前に相続税対策をしていたら、相続税の支払いが0円になったことを聞いて、家族一同がっかりしました。もし、相続について少しでも知っていたらと思うと後悔しています。

第3位 相続税を払いすぎた

第2位 専門家に余計な費用を払った

東京都練馬区に住むBさんは、母が亡くなったとき、相続に関しては右も左もわからなかったので、金融機関に勧められるがまま、紹介された専門家に相続手続きをすべてお願いしました。

そのときは、手続きを代理で進めてもらって助かったのですが、最終的に支払った費用は数百万単位と高額。

母が亡くなり家族一同憔悴しており、相続の知識はまったくなかったので仕方ないですが、あとから振り返ると自分たちで出来る手続きも沢山ありました。

紹介された専門家の方に余計な費用を払うことになり、しかもあとで知った相場と比較すると高額だったことに後悔しています。

第2位 専門家に余計な費用を払った

第1位 遺産争いになってしまった

神奈川県横浜市に住むCさんは、父が亡くなったあと、残された私と妹の二人で父の遺産分けの話し合いをしました。

私と妹はもともと仲が良かったので、すんなりと話し合いが終わると思っていましたが、実家の土地の価値が予想よりも高く、平等に遺産をわけることができずに妹と気まずい雰囲気になってしまいました。もし、遺言書が残されていたらと今でも後悔しています。

第1位 遺産争いになってしまった

知れば「天国」、知らぬは「地獄」

相続は決して難しくはありません。ただし、専門用語が多かったり、やるべき手続きが複数あったりしますので、慣れていない場合にはとても難しく感じてしまいます。

このため、相続に関する「正しい知識」と「正しい順番」を事前に知っておくことはとても大切です。

だからといって、相続の専門家と同じレベルの知識は必要ありません。

みなさんは、専門家と話が出来るレベル、悪意のある人に騙されないレベルの知識があれば十分です。

つまり、相続の全体像を「ざっくり」知っておけば十分、ということになります。

相続は「山登り」に似ている

相続は山登りに似ていて、登るべきルートと順番がハッキリと決まっています。

みなさんはこの登山ルートと、それぞれのチェックポイントを知っていれば、スムーズに相続手続きを終えることができるでしょう

しかし、現実の登山と同様に、山の天気は変わりやすいので、事前準備をせずにいきなり相続山を登り始めると、途中で進めなくなったり、遭難したり、相続手続きの完了という相続山の頂上にたどり着けない恐れがあります。

相続山は「2種類」ある

相続山は、亡くなった人の財産の大きさによって「2種類」に分けられます。

具体的には、相続税の申告が必要な方が登るべき山と、申告が不要な方が登るべき山の2つがあるのです。

日本人の約9割が登ることになるのは、相続税申告のいらない比較的斜面が緩やかな「高尾山レベル」の相続山です。

一方、残り約1割の方が登ることになるのは相続税申告が必要で、登山ルートの後半に急勾配が待っている「富士山レベル」の相続山です。

1.高尾山レベル(約9割が登る相続山)

相続山(高尾山レベル)

亡くなった方の遺産が基礎控除額以下の場合、相続山の高さはさほど高くなく、山の斜面も緩やかな高尾山級の登山道となります。

具体的には、1合目~6合目までが登山ルートととなり、6合目を終えればそこが頂上(相続手続きの終了)になります。

しかし、相続山最難関の5合目遺産分けで揉めてしまった場合にはそこから先に進めなくなるので気を付けましょう。

相続山は自分たちだけの力で登ることもできますが、大変なときは山岳ガイドに頼るもの良いでしょう。

ちなみに、高尾山レベルの相続山の登山ルートは次のようになっています。

相続山1合目 役所手続き

身近な人が亡くなったときに最初にする手続きです。
「死亡届」の提出、「火葬許可」の申請、「年金」の受給停止などを決められた期限内に行なう必要があります。
後々の手続きで必要となる「戸籍謄本」「住民票」「印鑑登録証明書」などもまとめて取得しておくと便利でしょう。

相続山2合目 相続人の決定

役所で取得した書類に基づいて、誰が遺産を引き継ぐ権利を持っているかを決める手続きです。
誰も彼も相続人になれるわけではなく、法律で定められたルールに則り、亡くなった人の「出生から死亡までの戸籍謄本」を調べて相続人を決定します。

相続山3~4合目 遺産探し

相続財産を確定するために、亡くなった人の遺産を探す手続きです。
生前から亡くなった方の財産を家族が管理していれば問題ないですが、そうでない場合どんな遺産がどこにあるのか調べる必要があります。
預金や不動産などプラスの遺産のほかに、借金もマイナスの遺産として考える必要があるため、効率的な遺産の探し方を知っておくと良いでしょう。

相続山5合目 遺産分け

発見された遺産について、誰がどの遺産を相続するか相続人全員で話し合う手続きです。
この話し合いで揉めてしまうと、テレビや雑誌などでよく目にする「遺産争い」に発展し、相続山の頂上まで辿り着けない恐れがあります。
「うちは絶対に大丈夫!」そう思い込んでいる家ほど実は危なく、まさに相続山の最難関と言われる難所です。

相続山6合目 名義変更

遺産分けの話し合いがまとまり、どの遺産を誰が引き継ぐかを記載した「遺産分割協議書」が作成出来たら、それに従って遺産の名義を相続人に変更する手続きです。
この名義変更が終わると、相続人は遺産を自分のために使ったり、売却したりすることができるようになります。

2.富士山レベル(約1割が登る相続山)

相続山(富士山レベル)

亡くなった方の遺産が基礎控除額を大幅に上回る場合、相続山の高さは急に高くなります。

山の斜面も後半は急勾配になり、まさに富士山級の登山道となります。

具体的には、上でご説明した1合目~6合目を登り切った後に7合目~9合目が待っています。

しかも、富士山レベルの相続山の場合には、時間制限が設けられていますので、まさにタイムトライアル。

相続税の申告期限は、ご命日の翌日から数えて10カ月のため、その期間内に相続山の山頂にたどり着く必要があります。

ちなみに、富士山レベルの相続山の登山ルートは、6合目以降が次のようになっています。

相続山7~8合目 相続税の申告

遺産が一定の金額以上ある場合、相続税の申告書を作成して税務署に提出する手続きです。
この相続税の申告には決められた期限があるため、それまでに相続山を登りきらないといけません。もし、期限内に登り切れなければペナルティを受ける恐れもあるので要注意です。

相続山9合目 税務調査対策

わざと遺産を少なく申告したり、申告せず無視したりしていると税務調査が入る可能性があります。
たとえ故意ではなくても、遺産の申告漏れが発覚すれば、税務署から指摘されることもあるため、どんな家が税務調査の対象になりやすいか事前に知っておくことは重要です。

富士山レベルの相続山を登る必要がある方は、山岳ガイドとしてまずは相続専門の税理士を探しましょう。もし、申告手続きが難しくない場合には、自分で相続山を登る方法なども、きっとアドバイスしてくれるでしょう。

もし、自分で登るのが難しそうな場合には、その税理士が皆さんに代わって相続山を登り、必要な手続きを完了してくれます。

このように相続は「ざっくり」と流れを押えておけば、いざというときに皆さんが後悔することは無いでしょう。

https://omiya-souzokuzei.com/


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