戦場のピアニスト感想

時は第二次世界大戦。ナチスドイツによるユダヤ人への迫害を描いた話。主人公はシュピルマンというユダヤ人のピアニストで最初は平穏に暮らしていたものの次第にナチスによる迫害が過激さを増し家族は散り散りになってしまう。そのなかでシュピルマンは幸運にも家族のなかで唯一助かるという話。ユダヤへの迫害は最初から強制収容所送りなどではなくグラデーション的に過激になっていった。所得の制限に始まり、ユダヤ人居住区に追いやられ壁で非ユダヤの区域と区切られ、そこでは深刻な餓えが蔓延する。壁内ではユダヤ人同士の市場が生まれるのだが、金をもったユダヤ人は監視員を買収し高値で売れるアルコールやタバコなどの嗜好品を仕入れてもらう。ユダヤ人は所得ごとに格差があり豊かなユダヤ人は壁内でもそこそこの生活をすることができる。ユダヤ人はお金持ちで優秀だと有名で全員が知識人のように思われているが実は知識人の階層は一部の話でそれ以外は普通の人達なのだ。(ユダヤや客家、フェニキア人などの迫害された歴史がある民族たちは持ち逃げ可能な金融資産と知識に投資することで繁栄してきたので他の民族よりは知識人は多かったのかもしれないけど)。
壁内では次第に殺戮が起こり主人公はなんとかツテを頼りながら生きることができた。もし信用がなかったら確実に飢え死にしていただろうが、シュピルマンはピアノの才能によってポーランド人の知り合いが何人かいた。ここでわかるのは多ジャンルの人と仲良くなることの大切さだと思った。同じ種類の人種(タイプ)とばかり付き合っていたら確実に死んでいたし、ピアノという非言語の特技があったことも大きい。その後、ポーランド人は蜂起を起こし結果、ドイツに皆殺しにされるのだが主人公はユダヤの居住区の壁を乗り越え瓦礫と化した空き家に隠れなんとか命を繋ぐも見つけたカンを開けようとしたときに一人のドイツ兵に見つかってしまう。 そのドイツ兵はシュピルマンと同じピアニストであるという共通点から殺されずに食料まで内密に施したりくれた。どんなにナショナリズムを煽っても個人として同じ共通点がある人のことは悪くすることはできない。このシーンを見るとネットにいる韓国や中国を叩いてる人は恐らく、戦争時になればナショナリズムの手に転がされる、その他の兵士に過ぎないだろうなと思った。映画ではユダヤ人への迫害の現実や戦争の惨さを中心に描かれているが、国への忠誠と人間としての道徳心を分けて考えようというメッセージも感じる。これを見ると人間としてどうかという是々非々的な判断基準で生きていきたいと思った。

点数は89点。

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