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【Wine ワイン】Château Saint Julian 2016 シャトー ・サンジュリアン 2016

ボルドーのアントル・ドゥ・メールのメルロー主体の柔和で端正なミディアム・ボディ
30%ほどバリック(小樽)熟成

Producer (生産者)
Château Saint Julian

Country / Region (生産国 / 地域)
Entre-Deux-Mers / Bordeaux / France

Variety (葡萄品種)
Merlot 60% Cabernet Sauvignon 20% Cabernet Flanc 20%

Pairing (ペアリング)
Entrecóte Bordelaise
アントルコート・ボルドレーズ
(牛リブロース肉の炭火焼)

Lamproie à la Bordelaise
ランブロワ・ア・ラ・ボルドレーズ
(八つ目うなぎの赤ワイン煮)

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■Bordeaux について

■プロフィール
「ボルドー」という名前は、「水のほとり(au bord de T'eau)」という古語からきていると言われている。 その名の通り、ガロンヌ川やジロンド川を通じて世界につながるボルドーの港は、フランスの重要な港としての役割を果たし、大きく蛇行したその形状から、「月の港」と呼ばれた。
ブルゴーニュと並ぶフランスの銘醸ワイン産地として知られているが、両者はさまざまな点で相異なる。一例を挙げると、ブルゴーニュが赤も白も原則として単一品種からワインを造るのに対し、ボルドーでは複数のブドウ品種をアサンブラージュ(ブレンド)するのが一般的だ。またボルドーでは赤、白、ロゼ、発泡性のワインのみならず、甘口白ワインまで造られている。
ボルドーは歴史的に、イギリス、オランダ、仏領植民地との愉出を中心に名声を築いた。またA.O.C.法の制定を主導した産地でもあり、 フランスのA.O.C.の産地としては最大面積を誇る。さらにボルドー大学醸造学部での研究を中心に、常に世界最先端の醸造技術を駆使し、世界におけるフランスワインの代表格として、 業界をけん引している。

■歴史
ボルドーワインが大きく発展する契機となったのは、1152年に、ボルドーを含む一帯を支配していたアキテーヌ公国の公爵夫人アリエノールが、のちに英国王ヘンリー2世となるアンリ・プランタジュネと結婚し、アキテーヌ地方が英国領となったことである。ボルドーワインは英国への交易により栄える。当時のワインは、 現在の赤ワインより少し色が淡く、クラレットと呼ばれた。 この交易は、 1453年にフランスが英国との百年戦争に勝利し、アキテーヌ地方を取り戻すと終わる。百年戦争後、フランス国王ルイ11世は、 イギリスの船団がボルドーの港に戻ることを認めたため、ボルドーと英国との取引は再開されるが、 取引量が以前の水準に戻るまでは200年を要した。
16世紀後半から17世紀に入ると、オランダやハンザ同盟加盟都市との取引が発展し、 ボルドーは再び繁栄する。
クラレットの他、オランダで蒸留するために、 辛口や半甘口の白ワインを造り始めた。色の濃い赤ワインも評価された。
またオランダ人は、 そのすぐれた干拓技術をボルドーにもたらし、メドックの多くのブドウ畑が開発された。さらに硫黄を使って木樽を殺菌し、ワインの貯蔵と運搬を楽にするなど、数々の革新をもたらした。
18世紀、ボルドーはサント・ドミンゴ (ドミニカ共和国)や小アンティル諸島への輪出を伸ばし、繁栄の時代を迎える。ボルドーとその河岸の建築物が、 この時代の豊かさを証明している。1789年のフランス革命時に、ブドウ畑や醸造施設は一時期、革命政府に没収されるが、資金力のあるボルドーの商人らの手により、 分割されることなく買い戻された。
19世紀の最初の数十年間は、 欧州北部市場を開拓し、さらに繁栄が続く。1855年に開催されたパリ万博の際、 ナボレオン3世の発案によって有名な格付けが生まれたが、同じころ、ボルドーのブドウ畑にはウドンコ病、 続いてベト病が広がり、さらにフィロキセラが確認され大きな被害を受けた。
ボルドーのワイン生産量が大きく低下する中、ネゴシアンは売り上げを維持するために、まぜものをしてワインを造ったり、産地の詐称などを行い、本物のボルドーワインの生産量が回復した時には、市場は偽の「ボルドー」 が夢延し、混乱を極めていた。 このため、 ポルドーの生産者は、A.O.C.法の制定を主導する。現在、 ボルドーで造られるワインのほとんどはA.O.C.である。

■文化
古代ローマ時代から良港として知られたボルドー市は、18世紀に栄華を極め、黄金時代を築いた。この時代の壮麗な建築物が立ち並ぶボルドー市の市街区域は、2007年、ユネスコの世界遺産に登録された。また、市内の3つの教会は、スペイン北西部に位置するキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路の一部として、1998年に世界遺産に登録されている。
一方、ドルドーニュ川右岸のサン・テミリオンは、1999年にユネスコの世界遺産に登録された。
世界遺産だけではなく、ボルドー市は歴史的にも影響力のある都市で、フランス革命の際には、重要な役割を果たしたジロンド党が結成された。またモンテーニュ、モンテスキューといったフランスの偉大な思想家を輩出した地でもある。

■経済
ボルドーの畑が広がるジロンド県はアキテーヌ地域圏に属している。このアキテーヌ地域図は、 航空機製造をはじめ、化学、薬品、農産物加工業、 木材、 製紙業などが盛んである。フランスの中では木材製品で第1位、航空機製造と製紙の分野では第3位の輪出地域である。なおアキテーヌ地域圏には、南西地方のドルドーニュ県、ロット・エ・ガロンヌ県も含まれている。
2014年のボルドーワインの愉出は、販売量全体の42%を占め、210万he、2億7.900万本が輪出された。中国・香港が原動力となり、輸出は大幅に拡大している。日本は、 数量ベースで6位、金額ベースで7位の市場である。
ボルドーワイン業界は6.600軒の生産者、300軒のネゴシアン、84軒のクルティエ (ネゴシアンと生産者との間の仲買人)、40軒の協同組合で成り立っている(データ出典:ボルドーワイン委員金)。

■気候風土
ボルドーのA.O.Cはジロンド県内に位置し、5つの地区に大別することができる。ガロンヌ川とジロンド川の左岸に広がり、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とするメドック&グラーヴ地区、対照的にドルドーニュ川の右岸の丘陵に広がりメルロを主体とするサン・テミリオン、ポムロール・フロンサック地区、3本の川沿いの右岸の丘陵に点在するコートの地区、ガロンヌ川とドルドーニュ川の2つの大きな川に挟まれ、赤と白ワインの両方を産出するアントル・ドゥー・メール地区、ガロンヌ川の左岸で貴腐ブドウからの甘口白ワインを造るソーテルス&バルサック地区である。
北緯45度前後と、ワインの産地としては北側に位置するが、大西洋沿岸を流れるガルフ湾流(暖流)の影響で、緯度の割には温暖な海洋性気候である。また、大西洋とブドウ畑の間には、ランドの森(松林)が広がり、 強い海風からブドウ畑を守っている。日照には恵まれているが、年間平均降雨量が900mmと雨も多く湿度が高い。しかし、ブドウの成熟期にあたる秋には晴天が続く。また灰色カビ病などのリスクがあるが、逆に貴腐ブドウも造ることができる。
ボルドーの産地が広がるアキテーヌ盆地の現在の海岸線が出来上がったのは、 ピレネー山脈と中央山塊が形成され、海の侵入がおさまった新生代第三紀の終わり(約1800万年前)からである。従い、 ボルドー地方の土壌は、すべて新生代第三紀と第四紀のものである。
土壌の違いにより、 栽培されるブドウ品種も異なる。ボルドーで最も栽培面積の多いメルロ種は、 ボルドーの大半の土壌でうまく育つが、 特にドルドーニュ川右岸のような、粘土質で湿気の多い土壌を好む。カベルネ・フラン種も右岸で多く栽培されている。一方、 カベルネ・ソーヴィニヨン種はガロンヌ川やジロンド川の左岸のように、乾燥して暑い砂利質で水はけの良い場所を好み、灰色カビ病にも強い。白ブドウは、セミヨン種、ソーヴィニヨン種、 ミュスカデル種などであるが、セミヨン種は特に甘口ワインの生産地域で多く栽培されている。
A.O.C.の数は39(2016年末現在)。最も範囲の狭いA.O.C.はコミュナルで、ブルゴーニュのような畑のA.O.C.はない。これは、ブルゴーニュに比べて、特に左岸を中心に生産者の規模が大きいことが理由の一つで、 地区により生産者の格付けが制定されている。

■ワイン生産量(出典:ボルドーワイン委員会プレス資料)
ワイン生産量 約5,270,000hℓ(2014年)
プドウ栽培面積112,200ha(2014年)
ボルドーで造られるワインのほぼすべてがA.O.C.ワインである。また赤ワインが大半を占める。

■主要ブドウ品種

[黒ブドウ]
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニョン , Cabernet Franc カベルネ・フラン , Merlot メルロ , Malbec マルベック , Petit Verdot プティヴェルドなど。

[白ブドウ]
Sémillon セヨン , Sauvignon ソーヴィニヨン , Muscadelle ミュスカデルなど。

■地方料理と食材
Entrecóte Bordelaise アントルコート・ボルドレーズ (牛リブロース肉の炭火焼):メドック、オーメドック、 グラーヴ
Lamproie à la Bordelaise ランブロワ・ア・ラ・ボルドレーズ (八つ目うなぎの赤ワイン煮):サンテミリオン、ポムロール
Agneau de Lait アニョー・ド・レ(乳飲み仔羊):ポイヤック
Cepes à la Bordelais セップ・ア・ラ・ボルドレーズ (セップ茸、 エシャロット): グラーヴ、ペサックレオニャン
Huître ユイトル (牡蠣)
Asperges アスペルジェ(アスパラガス)
Cannelé(カスレ)


■Bordeaux ボルドー全域

ボルドーと指定された全域で造ることができるが、 多くは、ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれたアントル・ドゥー・メール地区の広大なエリアで造られている。またメドックで造られた白など、A.O.C.の規格から外れたワインを、 このカテゴリーに格下げすることもある。
ボルドーの産地全域で名乗ることができ、土壌は多彩。

■主要ブドウ品種

[黒ブドウ]
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン , Merlot メルロ その他、
Cabernet Franc カベルネフラン , Malbec マルベック, Petit Verdo プティ・ヴェルドなど。

[白ブドウ]
Sauvignon ソーヴィニヨン , Sémillon セミヨン その他、
Muscadelle ミュスカデルなど。

■主要なA.O.C.ワイン
Bordeaux ボルドー (赤、辛ロ白、ロゼ)
Bordeaux Clairet ボルドー・クレーレ (ロゼ)
Bordeaux Supérieur ボルドー・シュペリュール (赤、半甘口)
Crémant de Bordeaux クレマン・ド・ボルドー (発砲ロゼ、発砲白)
ボルドーの赤とボルドー・シュベリュールの赤は、 生産地城はいずれもボルドー全城で同じであるが、 ボルドー・シュペリュールの方が、生産条件が厳しい。メルロ主体のものは滑らかで、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のものは心地よいタンニンの渋みを持つ。
辛口の白は、ソーヴィニヨン主体の爽やかで飲みやすいものから、樽で熟成させたコクのあるタイプまで多彩である。
ボルドー・クレーレは色の濃いボルドーロゼである。ロゼが20%まで白ブドウの使用も認められているのに対して、 クレーレは黒ブドウのみから造られる。
クレマン・ド・ボルドーは、 瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングワインで、 ティラージュ後の最低熱成期間は9カ月、最低アルコール度数は11%。


■Entre-Deux-Mers アントル・ドゥー・メール地区

ガロンヌ川とドルドーニュ川の2つの大きな川に挟まれているので、「アントル・ドゥー・メール (2つの海の間)」 という名前が付けられた。爽やかな辛口白ワインの大産地で、2~3年で快適に飲める白ワインを造っている。

■土壌
主に粘土石灰質。


■主要ブドウ品種

[黒ブドウ]
Merlot主体、 その他、Cabernet Sauvignon カべルネ・ソーヴィニヨンなど


[白ブドウ]
Sauvignon ソーヴィニヨン、Sémillon セミヨン主体

■主要なA.O.C.ワイン

Entre-Deux-Mers アントル・ドゥー・メール (辛口白)
ソーヴィニヨンを主体に、 セミヨン、 少量のミュスカデルを加え、爽やかな白ワインを生み出す。フランスの辛口白ワインのA.O.C.としては大規模な産地の一つ。

Entre-Deux-Mers Haut-Benauge アントル・ドゥー・メール・オー・ブノージュ(辛口白)

Bordeaux Haut-Benauge ボルドー・オー・ブノージュ(半甘〜甘口白)
2つのA.O.C.は同じエリアで、辛口の場合は、A.O.C.アントル・ドゥー・メール・オー・ブノージュ、甘口の場合はA.O.C.ボルドー・オー・ブノージュを名乗る。アントル・ドゥー・メール内の9コミューンで形成され、ブドウ畑は石灰岩の基層の上の、粘土石灰質の盆地状のところに広がる。

Graves de Vayres グラーヴ・ド・ヴェイル(赤、辛〜甘口白)
アントル・ドゥー・メールのエリアで、ここだけが砂利質の土壌でワインのスタイルが異なるため、 グラーヴ(砂利のこと)という名前が付き、 独立したA.O.C.として認められた。赤はメルロにカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドし、滑らかなスタイル。辛口の白はセミヨンとソーヴィニヨンが主体で、赤と同様に丸みがあり、芳香性が高い。

Sainte-Foy Bordeaux サントフォワ・ボルドー(赤、辛〜甘口白)
ボルドーの中で最も東側に位置するA.O.C.。赤ワインはメルロ主体に、カベルネ・ソーヴィニヨンや少量のカベルネ・フランをブレンドし、力強いタンニンを持つ凝縮したワインを生み出す。

参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier

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