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【Wine ワイン】KWV Cuvèe Brut NV

Producer (生産者)
KWV

Country / Region (生産国 / 地域)
West Cape / South Africa

Variety (葡萄品種)
Chenin Blanc

Pairing (ペアリング)
「Bobotie」ボボティ(南アフリカ版ミートローフ)
「Braai」ブライ(ワニやインパラ、ダチョウなどのゲームミートを使ったバーベキュー)
「Biltong」ビルトン(牛やダチョウ、鹿肉で作るジャーキー)
「Boerewors」ブルボス(スパイスで味付けした長いソーセージをぐるぐる巻いたもの)


西ケープ州

■Coastal Region 沿岸地域
Stellenbosch ステレンボッシュ
Paarl パール
Franschhoek フランシュック
Darling ダーリン
Swartland スワートランド
Tulbagh ティルバッハ
Wellington ウェリントン
Cape Town ケープタウン
Lutzville Valley ルツヴィル・ヴァレー

■Breede River Valley ブレード・リヴァー・ヴァレー地域
Breedekloof ブレードクルーフ
Robertson ロバートソン
Worcester ウスター

■Cape South Coast ケープ・サウス・コースト地域
Elgin エルギン
Walker Bay ウォーカー・ベイ
Cape Aqulhas ケープ・アギュラス
Plettenberg Bay プレタンバーグ・ベイ
Swellendam スワレンダム
Overberg オーヴァーバーグ

■Klein Karoo クレイン・カルー地域
Calitsdorp カレズドーブ
Langeberg-Garcia ランゲバーグー・ガルシア

■Olifants River オリファンツ・リヴァー地域
Citrusdal Valley シトラスダル・ヴァレー
Citrusdal Mountain シトラスダル・マウンテン

■No Region独立した地区
Ceres Plateauセレス・プラトー

北ケープ州

■Sutherland-Karooサザーランド・カルー
Central Orange Riverセントラル・オレンジ・リヴァー


■プロフィール
360年以上にわたるワイン造りの歴史を誇る南アフリカは、環境と人に配慮したワイン造りを行うニューワールドワインのリーディングカントリーでもある。1918年には、栽培農家を組合員とする「南アフリカワイン酸造者協同組合連合」(KWV)を設立し、生産通剰の是正と出荷調整を開始した(その後1997年よりKWVは民間企業となり、2002年には完全に私企業化された)。
1970年代にはアメリカよりも早く原産地呼称制度(ワインオブ・オリジン= Wine of Origin = WO)立法を制定。プラッターズ・ワイン・ガイド1980年にはワイン評価ガイド「Platter's Wine Guide」が発刊され、南アフリカワインの品質向上に貢献してきた。従来は5段階の星評価だったが、2019年度版からは、100点満点でのポイントスコアを公開。同ガイドは国内市場だけでなく、国際的にも南アフリカワインの評価基準となっている。
また、イギリスのワイン評論家でマスター・オブ・ワインの称号を持ってTim Atkin氏も毎年、ボルドーの格付けを模しティムアトキンた南アフリカのワイン生産者の格付けを6段階で行っており、英国をはじめとするヨーロッパ市場に大きな影響を与えている。
1990年には、現「南アフリカワイン協会」(WOSA)の前身となる南アフリカワイン&スピリッツ輸出協会(SAWSEA)を設立し、ワイン・オブ・オリジン法を改正する。1994年、ネルソン・マンデラ氏の大統領就任によりアパルトヘイトが撤廃された後は、海外市場へ向けた積極的な取り組みを強化し、ワインの輸出先はヨーロッパからロシア、米国、カナダやアジアへと広がった。今やワインの輸出量はこの20年間で約20倍になるほどの成功を収めている。
同協会はまた、世界で最も環境に配慮したワイン生産国として「自然環境保護とワイン産業の共栄」をコンセプトに掲げる。1998年には、減農楽や減酸化防止剤、リサイクルの徹底や水源の維持などを盛り込んだガイドライン「環境と調和したワイン生産」(IPW)を制定。今では南アフリカのブドウ栽培農家やワイナリーの95%以上が、ガイドラインに従ったワイン造りを行っている。ワイン生産地の9割が含まれるケープ植物区が世界自然遺産になった2004年には、国際的な環境保護団体などと協力して「生物多様性とワインのイニシアティブ」(BWI)を提唱し、世界6大植物区系のひとつである貴重な植物群を尊重したブドウ栽培への取り組みを進めている。
2010年ヴィンテージからは、ワインの品質保証およびトレーサビリティを担保するだけでなく、世界で初めてサステイナビリティ(持続可能性)を保証するシールを採用。認可を受けるためには、

①化学農薬の使用を極力抑え、農場では害虫の天敵を取り入れる、
②世界有数の豊かな植物区の生物多様性を保護する、
③廃水を浄化する、
④農場で働く人々の健康と安全衛生を確保する、の4項目を満たさなくてはならない。

いったん認定を受けても3年ごとに独立機関の監査を受ける必要がある厳しい基準だ。さらに近年は、カーボンフットプリントの削減に向け、軽量ボトルの採用にも積極的である。自然環境だけでなく、労働者環境の整備も急速に進んだ。2002年には、労働環境改善を目的とする「ワイン産業倫理貿易協会」(WIETA)を設立。2012年には、ワイン&スピリッツ常任委員会とWOSAが共同で、品質保証、自然環境保護、労働環境整備を満たす協定を定めた。これに伴い、新しい認定シールの運用も予定されている。2016年に世界で販売されたフェアトレードワインのうち、3分の2が南アフリカ産である。ワインは南アフリカの主要な輸出産品であり、生産量の約半数が輸出されているが、うち約6割がバルクでの輸出。国内のワイン消費は、人口の10%程度を占める白人が中心だったが、2000年生まれのミレニアル世代が飲酒人ロに加わり、黒人向け市場が急速に成長している。以前は甘口の赤ワインや白ワインが中心だったが、階好も辛ロに移行。かつては国際市場を意識した国際品種の大量生産ワインが多かったが、最近は小規模で若い生産者が増え、生産地のテロワールにあった自由で個性あふれるワイン造りを実践し、ナチュラルワインや、人的介入の少ない「ハンズオフ」ワインが注目されている。この5年ほど千ばつが続き、ワインの生産量は減少。水不足や気候変動によりワインの価格は上昇しているが、量から質への転換が進み、ワイン事業への投資も増えている。また、新しい生産者を中心とした生産地・生産者団体が続々と創設され、世界に南アフリカワインの魅力を発信するようになった。
たとえば、西ケープに位置する独立した家族経営のブレミアムワイナリーを中心に構成される「プレミアム・インディぺンデント・ワイナリーズ・オブ・サウスアフリカ」(PIWOSA)や、スワートランドの生産者による「スワートランド・インディぺンデント」、シュナン・ブランにフォーカスした「プレードクルーフ・メイカーズ」などがある。南アフリカ共和区における2018年のワイン生産量は千ばつの影響を受け、前年比1割減の8,243,000hℓ。ワイン用ブドウ栽培面積は93,021haである。ワインの生産量は2018年、世界9位。2018年現在、ワイナリー数は542、ブドウ栽培農家数は2,873軒。

■歴史
南アフリカは、ワインが初めて造られた月日が残る稀有な場所である。1659年2月2日、ケープタウン最初の総領事となったJan van Riebeeck ヤンファン・リーベックが「ケープのブドウから最初のワインが造られた」ことを記録しているのだ。ワイン産業の始まりは、17世紀の大航海時代にさかのばる。喜望峰の発見により、オランダ東インド会社はインドや周辺地域に向かう商船への食品供給地としてケープタウンを寄港地とするようになる。オランダ東インド会社の初代現地法人代表でもあったリーベックが地中海気候を有するこの地にブドウの栽培を開始したのは1655年のこと。最初のワインが誕生したのはそれから4年後のことだった。1685年、フランスでナントの勅令が廃止され、宗教迫害を受けたユグノー派の人々が南アフリカへの入植をはじめる。その多くはロワール地方の出身者であり、南アフリカの地で自給自足の生活を続ける中、生活必需品のひとつであるサイモンワイン生産へ取り組み始めた。10代目の総領事Simon van del Stelがサイモン・ファン・デル・ステルがフォルス湾に面した渓谷をコンスタンシアと名付け、ブドウを植樹したのが1685年。1692年にはワインの生産を開始する。ステル氏の死後、コンスタンシアは3分割され、1726年には甘ロワインの輪出が始まった。プロイセン皇帝をはじめとするヨーロッパの貴族の間で人気を博し、ヴェルサイユ宮殿のセラーには、ブルゴーニュワインを上回る数のコンスタンシアワインがあったという。アメリカのジョージ・ワシントンから、ナポレオンまで、コンスタンシアワインは国境を越えて愛された。19世紀前半にケープ植民地は英国の領土となり、イギリス人の移住も進んだ。フランスと英国の戦争を機に、英国では南アフリカワインの消費が急激に伸び、生産量が一気に拡大したが、1861年には英仏関係が修復したうえ、特別関税が撤廃されたため、ワイン産業は大きな打撃を受ける。さらに、ヨーロッパに続いて1886年には南アフリカにもフィロキセラが発生し、多大な被害を受けた。フィロキセラ終焉後も、生産過剰による苦難の時代を迎えるが、1918年にはケープのワイン産業の健全な発展を図ることを目的に、生産者団体「南アフリカぶどう栽培者協同組合」(KWV)が発足。プドウの最低価格を保証することで、農家を守ると共に、需給調整も行った(一方で、ワイン産業の奪占化が進んだとの指摘もある)。1925年には、ステレンボッシュ大学のAbraham Perold アブラハム・ぺロード博士により、ピノ・ノワールとサンソーの交配種ピノタージュが誕生。今では南アフリカを代表するブドウ品種となっている。1930年代からは、ドイツの移民によるワイナリーもいくつか創立されたほか、1950年代には、コールド・ファーメンテーションの技術開発も進んだ。1959年に発売されたシュナン・ブランを使ったセミ・スイートワインが「どんな時にも手軽に楽しめるワイン」として大ヒット。1959〜64年までの5年間で、国内のワイン消費量は85%も増加した。1970年代後半からは国際品種に取り組む生産者が急増。アパルトヘイトの間は質より量が重視されていたが、1994年にアパルトヘイトが廃止されてからは、多くのワイン生産者が海外市場への輸出振興に舵を切り、質の向上が進んだ。先進国からの投資が進むとともに、ブティックワイナリーも増え、国際的にも高い評価を受けるワインが生み出されている。1971年には、ワインツーリズムの先駆けとなる「ステレンボッシュ・ワインルート」が整備された。今では公式なワインルートは23カ所に広がっている。

■気候風土
ワイン産地は、南緯27度〜34度に位置する。穏やかな地中海性気候で、ブドウの生育期は乾燥した温暖な日が続き、冬は冷涼だが霜の害はほとんどない。なかでも西ケープ州は南極からの冷たいベンゲラ海流の影響を受け、緯度のわりにはずっと冷涼である。多くの産地は海岸からの距離が50km以内で、日中は大西洋とインド洋からの冷たい潮風の影響を受け、夜になると霧がたちこめて湿り気を帯びた風が吹く。ブドウ畑の多くは、険しい山の驚や複雑な渓谷の斜面に広がっている。春から夏にかけて西ケープ州には、「ケープドクター」と呼ばれる強い乾燥した風が南東から吹く。暑い夏の間も、インド洋からの冷たい風が地表を冷やし、病害を防ぐため、防虫剤や防カビ剤の使用量も最小限に抑えられる。南アフリカ最大のブドウ産地である西ケープ州はまた、ユネスコ世界自然遺産にも登録された植物自然保護区であり、生産者は自然との調和を考えたワイン造りを行っている。土壌は世界最古のものと言われている。たび重なる地殻変動や浸食により、独特の波打つ砂岩の山脈とケープの谷が形成された。パール山は花崗岩が露出し、丸い頂を持つが、山頂が平坦なテーブルマウンテンは硬い砂岩質。ブドウ栽培地域の土壌も多様で、沿岸部では花崗岩の上に砂岩の山々、内陸部や丘陵部では頁岩が基調となることが多い。

■主なブドウ品種
南アフリカで栽培されるブドウの約55%が白ワイン用品種、45%が赤ワイン用品種。20年前は白ワイン用品種が8割を占めていたが、徐々に赤品種へのシフトが進み、ここ数年間はまた、白品種への回帰が見られる。
南アフリカを代表する白品種は、かつってスティーンと呼ばれていたシュナン・ブランで、栽培面積世界一を誇る。シュナン・ブランは古くから栽培され、スパークリングからシェリー、甘口から辛ロまでさまざまなスタイルがあるが、冷な地域に適応したソーヴィニヨン・ブランや国際競争性の高いシャルドネへの改植も進んでいる。白で2番目に多い品種がコロンバールで、温暖なブレード・リヴァーヴァレー地域などで多く栽培される。赤品種では、ピノ・ノワールとサンソーの交配種である「ピノタージュ」が南アフリカ独自のブドウとして知られる。病害に強く、高い糖度が得られるが、白品種と同様、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラー、メルロ、ピノ・ノワールといった国際品種への改植が進み、栽培面積でもカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーが上同っている。単一品種だけでなく、ブレンドワインも多い。スタイルとしては赤白ともに「ボルドーブレンド」が主流。赤では、シラーをメインにグルナッシュやムールヴェードル、ヴィオニエを使い複雑さを出した「ローヌブレンド」、白ではシュナン・ブランを主体にした「地中海ブレンド」も多い。10年ほど前から、生産者の間では、南アフリカ固有品種ピノタージュを30〜70%使用した「ケープブレンド」スタイルも確立された。シュナン・ブランをブレンドした白ワインにも、しばしば「ケープブレンド」が用いられる。スパークリングワインでは、瓶内ニ次発酵によって造られた「キャップ・クラシック」(Méthode Cap Classique:MCC)が近年大きな成功を収めている。1992年に設立された生産者団体キャップ・クラシック・プロデューサーズ協会には現在、93ワイナリーが加盟。国内外での認知拡大に力を入れている。また、2021ヴィンテージから、瓶内熟成の期間を最低9カ月から最低12ヵ月に変更する予定。品種の規定はなくシュナン・ブランで造る生産者も多かったが、最近ではシャンパーニュを手本にシャルドネやピノ・ノワールを使ったスパークリングワインも多く造られている。同協会では現在、「キャップ・クラシック」の上級クラス「プレステージュ」(仮称/シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエといった国際品種を使い、36ヵ月瓶内熟成させたスパークリングワイン)の準備を進めている。施行は早くても2021年ヴィンテージになる予定。

[2018年品種別栽培面](出典:SAWIS(SA Wines Industrylinformation&Systems)

[白ブドウ]
2017
2018
前年比順

Chenin Blanc シュナン・ブラン
17,543
17,242
98.3

Colombard コロンバール
11,275
10,821
96.0

Sauvignon Blanc ソーヴィニヨン・ブラン
9,277
9,533
102.8

Chardonnay シャルドネ
6,746
6,661
98.7

Muscat of Alexandria マスカット・オブ・アレキサンドリア
1,729
1,665
96.3

Sémillon セミヨン
1,118
1,064
95.2

Muscat Blanc マスカット・ブラン
807
825
102.2

Viognier ヴィオニエ
803
766
95.4

その他
2,903
2,828
97.4

合計
52,201
51,404
98.5

[黒ブドウ]
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン
10,360
10,233
98.8

Shiraz / Syrah シラー
9,735
9,497
97.6

Pinotage ピノタージュ
6,979
6,791
97.3

Merlot メルロ
5,460
5,411
99.1

Ruby Cabernet ルビー・カベルネ
2,224 
2,101
94.5

Cinsaut サンソー
1,759
1,713
97.4

Pinot Noir ピノ・ノワール
1,182
1,176
99.5

Cabernet Franc カベルネ・フラン
820
798
97.3

その他
3,824
3,897
101.9

合計
42,344
41,617
98.3

白ブドウ+黒ブドウ合計
94,545
93,021
98.4

■ワイン法と品質分類
南アフリカのワイン法(Wine of Origin = WO)は、最大輪出先であるヨーロッパのワイン法を参考に、1973年に制定された。ワインの産地を法的に保証するだけでなく、品種やヴィンテージについても規定し、保護するものだ。ラベル表記においては、品種名でも、ヴィンテージでも、表示する品種やヴィンテージのブドウを85%以上使用しなくてはならない。また、WOの産地名を表示する場合は、100%同産地内のブドウを使用する必要がある。1993年4月には同法を改訂。「州城」(Geographical Unit = GU)の単位規定を新たに制定した。現在、西ケープ州、北ケープ州、クワズル・ナタール州、リンポポ州、東ケープ州、フリーステイト州の6州が制定されている。州城の中でも、ワイン生産の中心地である西ケープ州には、「地域」(Region)が全部で6つあるが、ワイン生産に関してはブリード・リヴァー・ヴァレー、ケープ・サウス・コースト、コースタル・リージョン、クレイン・カルー、オリファンツ・リヴァーの5地域。ほかに、パール、フランシュック、ウェリントン、ティルバッハ産の酒精強化ワインに用いられるボーバーグがある。「地区」(Distict)は、「地域」内で制定されるが、西ケープ州のセレス・プラトーや北ケープ州のダグラス、サザーランド・カルーのように地域制定がなく、地区だけのものもある。生産地区単位でー番小さい「小地区」(Ward)は、土壌や気候、生態系などの要因をもとに制定されている。「小地区」のなかには、「地域」「地区」制定のないものも多数存在する。なお、2017年5月27日より、西ケープ州コースタル・リージョンの地区のうち、ケープペニンシュラ地区とタイガーバーグ地区が廃止され、新たにケープタウン地区が誕生。両地区に含まれていた小地区がケープタウン地区に再編された。2018年には、オリファンツ・リヴァー地域にあったルツヴィル・ヴァレー地区、コーケナップ小地区、地区のない小地区バンブス・ベイとランバーツ・ベイがコースタル・リージョン地域に変更になった。ワイン法に準じた原産地呼称を持つワインの生産量は全生産量の6割弱で、2018年は513,256,681hℓ(うち酒精強化ワインが1,075.512hℓ)である。

■ワインの産地と特徴
フリーステイトFree Stateが追加され、国内6つの州でワインが生産されているが、その9割が西ケープ州に集中している。西ケーブ州にある6つの「地域」(Region)中、ボーバーグは酒精強化のみに適用される(ワイン法と品質の分類を参照)。海岸から近く冷涼なエルギンやウォーカーベイは、ピノ・ノワールやシャルドネで近年、注目の産地。Northern Cape北 ケープ州は、オレンジ川沿いに17.000haの広大な栽培地を抱え、主にバルクワインを生産してきた。ほぼ9割が白ワイン品種で、コロンバールが5割を占める。最近では、南アフリカで最も標高が高く、大陸性の気候を持つサザーランド・カルー地区が注目されている。Kwazulu Natal クワズル・ナタール州は2005年、同州のツーリスト向けワインを造る小規模な生産者のために、新たに「州」として加わった。ケープ州のブドウを使うところも多かったが、標高の高い畑への植栽もうまく進んでいる。Limpopo リンポポ州、Eastern Cape 東ケープ州の一部地域でもワインを生産するが、量は非常に少ない。また、新たに加わったFree State フリーステイト州は、ヨハネスブルグの南西に位置する内陸の州で、もともとコーンやジャガイモの産地だったが、近年わずかだがワインの生産を始める生産者が登場し、新たに原産地呼称に加わった。多民族国家で「レインボーネイション」(虹の国)と呼ばれる南アフリカは、料理もインターナショナルでバラエティに富んでいる。かつてオランダ人入植者が連れてきたマレー系の人々がアジアのスパイスやアフリカの食材でヨーロッパ料理をアレンジした「ケープマレー料理」は国民食で、代表的な料理として、スパイスの効いた南アフリカ版ミートローフ「Bobotie」ボボティがある。ワニやインパラ、ダチョウなどのゲームミートを使ったバーベキュー「Braai」ブライや、牛やダチョウ、鹿肉で作るジャーキー「Biltong」ビルトン、スパイスで味付けした長いソーセージをぐるぐる巻いた「Boerewors」ブルボスなどもよく食べられる。2つの海に面しているため、ケープタウンで水揚げされるシーフードも人気がある。ワインツーリズムにも力を入れており、西ケープ州に18の公式ワインルートを持つ。

[2018年主要産地別栽培面積](出典:SAWIS(S A Wine Industry Information&Systems)

Stellenbosch ステレンボッシュ
15,062 (ha)

Paarl パール
14,766 (ha)

Breedekloof プレードクルーフ
12,604 (ha)

Robertson ロバートソン
12,790 (ha)

Swartland スワートランド
12,850 (ha)

Olifants River オリファンツ・リヴァー
9,694 (ha)

Worcester ウスター
6,505 (ha)

Northern Cape 北ケープ
3,851 (ha)

Cape South Coast ケープ・サウス・コースト
2,632 (ha)

Klein Karoo クレイン・カルー
2,266(ha)

合計
93,021(ha)


Western Cape 西ケープ州

■Coastal Region 沿岸地域
南アフリカワイン生産の中心地。主な生産地は、テーブルマウンテン南にあるコンスタンシアバーグ山の東斜面からケープタウン近郊に広がっている。海からの冷涼な風と日照に恵まれた穏やかな海洋性気候で、降水量も年間1,000mm以上あるため、潅漑の必要がない。砂岩ベースの花崗岩土壌で、水はけもよく、良質のブドウが生産されている。品種はヨーロッパの伝統品種が主で、赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、メルロなど、白はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ等が多い。18〜19世紀にヨーロッパで一世を風際したコンスタンシアの甘ロデザートワインも1986年に復活し、人気を博している。なお、ケープポイント地区は2014年1月に廃止された。


①Stellenbosch ステレンボッシュ地区
ステレンボッシュは、ケープタウンに次いで南アフリカで2番目に古い街だ。街の名前の由来にもなったオークの樹が並ぶ通りには、オランダ植民地時代のクラシックな建物の間に、しゃれたカフェやワインバーが並ぶ。17世紀半ばにさかのぼるワイン造りの伝統を誇り、ワイン産業の中心地でもあるステレンボッシュはまた、ワイン教育や研究におけるハブでもある。ステレンボッシュ大学は、ブドウ栽培と醸造学の学位が受けられる南アフリカで唯一の大学であり、卒業生はブドウ栽培専門家やワイン醸造家として国内外で活躍している。ステレンボッシュの近郊には、エルセンバーグ農学校や、ブドウ栽培とワイン醸造学の研究と実践を行うニットフォルベイ研究所もあり、実験農場で新しい品種やクローンなどの研究を行っている。1971年には、南アフリカで初のワインルートが設立された。今では、5つのサブルートを持つワインルートに進化し、西ケープ州最大の観光スポットとなっている。
降水量に恵まれた山の多い地形で水はけもよく、多様なテロワールを持つステレンボッシュは、高級品種の栽培に適しており、南アフリカ最大のブドウ栽培面積を誇る。谷底は砂、花崗岩、頁岩、有機質を多く含む茶土(Oakleaf)オークリーフ、保水能力に優れた赤土(Tukulu)トゥクルが沖積している。恵まれた気象条件から、ワイン生産者も急増しており、今では古い伝統を持つワイナリーから近代的なワイナリーまで、200以上を数える。7つの小地区を持つが、ワイナリーの多くがシモンスバークの西部、南西部、南斜面や、ボテレライヒル、ステレンボッシュ山、ヘルダーバーグなど標高150〜400mの地域に集中しており、カべルネ・ソーヴィニヨンを筆頭に赤品種が6割以上を占める。標高が高く、フォールス湾からの冷たい海風の影響を受けるシモンズバーグーステレンボッシュ小地区やボテレライヒルにある4つの小地区では最近、ピノタージュも高く評価されている。標高1.494mのツインピークスに隔たれたヨンカースフック・ヴァレー小地区は、その標高と恵まれた土壌からブティックワイナリーが多い。バンフック小地区はこの20年で植栽が進んだ新しい地域で、ソーヴィニヨン・ブランと赤のボルドー品種がある。

[ステレンボッシュ地区7つのサブリージョン]
1 Banghoek バンフック
2 Bottelary ボテレライ
3 Devon Valley デヴォン・ヴァレー
4 Jonkershoek Valley ヨンカースフック・ヴァレー
5 Papegaaiberg パパハイバーグ
6 Polkadraai Hills ボルカダーイ・ヒルズ
7 Simonsberg-Stellenbosch シモンズバーグースチンレンボッシュ

②Paarl パール地区
ステレンボッシュの北に位置するパールは、南アフリカで3番目に古いヨーロッパからの入植地で、オランダ人に続き、ユグノー派のフランス人が多く移住した。同国ワイン最大の輪出メーカーである「KWV」のホームタウンであり、南アフリカでも2番目に古いワインルートがある。地名の由来となったパールロックは巨大な一枚板の花尚岩で、オーストラリアのウルル(エアーズロック)に次ぐ規模。山頂が丸く、早朝には光の中で真珠のように輝くにとから命名された。地中海性気候に恵まれ、オリーブの栽培農家も多い。年問降雨量は800〜900mm。谷を流れるバーグ川のおかげで、瀧液の必要はほとんどない。土壌は、主に3タイプに分けられる。バーグ川沿いにはテーブルマウンテンに由来する砂岩土壌、パール山それ自体が持つ花崗岩土壌、そして北部の風化した頁岩である。小地区は、シモンズバーグーパール、フール・バールダーバーグ、アフタパールの3つ。シモンズバーグの北東丘陵部にあるシモンズバーグーパールはシャルドネ、シラーや赤のプレンドを生産。フール・パールダーバーグも花崗岩土壌が生み出す高品質のワインで知られる。

③Franschhoek フランシュック地区
地名から想像されるとおりフランス系移民が多く、街並みやレストランにもフランスの影響が強く感じられるグルメタウン。パールの南東に位置し、三方を山々に囲まれている。冬は山頂が雪に覆われるが、その雪解け水が夏には水の供給源となる。年間降水量は900〜1,050mm。同じ地域でも気候と土壌は多彩で、川のほとりから山沿いまで、多様な品種が植えられているが、最も多いのはソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、セミヨンなどの国際白品種だ。赤品種では、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、メルロが多い。谷にはカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ、セミヨンが多く植えられている。瓶内二次発酵のスパークリングワイン「キャップクラシック」の産地としても名高い。

④Darling ダーリン地区
大西洋からわずか10km、冷流な海風に恵まれたダーリンは、高品質なソーヴィニヨン・ブランの先駆者的存在である。ケープタウンから1時間の距離にあり、ブドウ畑や黄金の小麦に覆われた丘と野生の花々、復元されたヴィクトリア朝の建物が並ぶダーリンは、観光の要所でもある。多くのワイナリーが、BWI(生物多様性とワインのイニシアティブ)に属している。なかでも大西洋に近いグルーネクルーフ小地区は、海からの強い風から守られており、風化花崗岩からなる赤茶色の土は保水能力に優れ、灌漑を必要としない。ソーヴィニヨン・ブランの卓越した品質には定評がある。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シラーズの植栽も増えており、数は少ないがピノ・ノワールの可能性も高い。

⑤Swartiand スワートランド地区
西ケープ州最大の「地区」で、スワートランド(黒い大地)の名前は、年に一度大地を黒く染めるレノスタルボス(ライノブッシュ)と呼ばれる硬い植物に由来する。伝統的に穀物が栽培されていたが、保水力に優れたベルク川の土手沿いの丘陵地にブドウが植えられるようになった。土壌は10〜5億年前のマルムスベリー頁岩に、6億年前の花崗岩やテーブルマウンテンの砂岩が混ざっている。マルムスベリー小地区では、ゴブレ仕立てにした樹齢30年以上のブドウを多く見かける。スワートランドでは伝統的に、フルボディの赤ワインや酒精強化ワインが造られてきたが、シュナン・ブランや地中海ブレンドの赤白でも知られるようになった。赤ではカベルネ・ソーヴィニヨンやピノタージュ、シラーズ、白ではシャルドネやソーヴィニヨン・ブランの栽培も増えている。また、近年では、スワートランドのテロワールを反映した高品質なワインを目指す生産者が「スワートランド・インディペンデント・プロデューサーズ(SIP)」を結成し、新しい取り組みを始めている。

⑥Tulbagh ティルバッハ地区
三方を山々に囲まれた谷に位置し、ブドウと共に穀物や果実が栽培されている。谷底の砂地から、山腹の小石まじりの古い地層まで土壌が多彩なことに加え、標高や傾斜面、降水量に至るまで多様なミクロクリマに恵まれているため、小規模生産者やブティックワイナリーが多い。山々に囲まれた馬蹄型の土地ティルバッハ最大の特徴は、自然のもたらす冷却効果「コールドトラップ」だ。先史時代は湖だった渓谷内には、夜間の冷たい空気が一日中残るため、冷涼な気候となる。降水量は年間620mmと多くないが、高度な水管理システムやブドウ栽培技術の進化でその可能性が注目されているエリアだ。白品種では、シュナン・ブランがメインで、コロンバールやシャルドネが多い。赤は、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノタージュ、メルロが栽培されている。内陸部はシラーとスパークリングワイン「キャップ・クラシック」で知られるが、ピノタージュと赤のブレンドでも評価を得ている。

⑦Wellington ウェリントン地区
スワートランドのなだらかな丘に広がる沖積台地と、ホウクア山麓に約30のワイナリーがあり、近年ワイン産地として急成長を遂げた。また、ここでは南アフリカのワイン産業で使われる苗木の85%以上を供給している。山と谷が複雑に入り混じり、ユニークなメソ気候に恵まれている。海から60kmほど離れた内陸部にあるため昼夜の気温差が大きく、冬には雪が山頂を覆うこともある。白ではシュナン・ブラン、赤ではカベルネ・ソーヴィニヨンが中心だが、最近ではシラーや赤ブレンドでも知られるようになった。2017年5月より、あらたに5つの小地区が制定された。

⑧Cape Town ケープタウン地区
2017年5月、ケープペニンシュラ地区が廃止され、新たに追加された地区(ワイン法と品質分類参照)。「ケープタウン」という世界的に知られた都市の名をWOに冠することで、国際市場における南アフリカワイン全体のマーケティングが優位に働くと関係者は期待する。また、ケープタウンからも近いため、ワインツーリズムの発展も見込まれる。旧ケープペニンシュラ地区の小地区コンスタンシア、オートベイと、旧タイガーバーグ地区の小地区ダーバンヴィルとフィラデルフィアの4小地区が含まれる。コンスタンシア小地区は、南アフリカワイン発祥の地でもある。サイモン・ファン・デル・ステルが17世紀にワイン農園を築き、18世紀から19世紀にかけてナポレオンをはじめとするヨーロッパの貴族たちに愛されたデザートワインが産まれた。1886年にフィロキセラでブドウ畑が全滅したため、生産は途絶えていたが、1980年代後半からクレイン・コンスタンシアがオリジナル品種ミュスカ・ド・フロンティニャンの栽培を開始し、1986年に伝説のコンスタンシアワインを復活させた。
コンスタンシアバーグの東斜面に畑があり、フォールス湾からの冷たい海風の恩恵を受けて気候は冷涼。砂質主体の花崗岩土壌は水はけがよく、白ワインが多く生産されている。
ケープタウンのすぐ北に位置するダーバンヴィルは、古くからブドウの供給地であった。畑の多くが、南北に広がる標高100〜300mの東向き斜面にある。土壌は硬砂岩や千枚頁岩などで水はけがよく、保水力にも優れているため、乾燥したこの地域でもワイン生産が可能になった。大西洋から10kmと近く、フォールス湾から吹く冷たい海風の影響を受け、日中の高温は長く続かず、タ方には霧が一帯を覆う。標高の高い丘の斜面にもワイナリーが増えており、ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、メルロやピノタージュ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが栽培されている。

■Breede River Valley ブレードリヴァーヴァレー地域
肥沃なブレード川沿いに広がるブレード・リヴァー・ヴァレーのブドウ栽培面積は、南アフリカ全体の3分の1を占める。降水量は少なく、夏には川が干上がるほど乾燥した気候にもかかわらず商業的成功を収めたのは、潅漑施設の整備と低温発酵技術の進化、ブランデー産業の成長による。白品種の生産が多く、シュナン・ブランとコロンバールの主要産地である。

10 Breede kloof ブレードクルーフ地区
ブレード川とその支流の上流に位置し、水源に恵まれている。水はけのよい小石交じりの沖積土壌で、白はシュナン・ブラン、コロンバール、シャルドネ、赤はピノタージュ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培が多い。ホーディニ小地区とスランフック小地区では多様な土壌にあわせてさまざまな品種への取り組みが始まっている。

11 Robertson ロバートソン地区
石灰質が豊富な土壌で、競走馬の飼育地やバラの産地としても知られる。年間降水量は400mmと乾燥した地域で、昼夜の温度差も大きい。夏は高温となるが、川に発生する冷たい朝霧が適度な潤いを与えている。小地区は2018年、9から14に増えた。土壌は大きく3種類にわかれる。下流には湿った暗色の沖積土、高地には赤褐色で石灰や塩分を含む古い粘土質、表土には頁岩が多い。栽培面積としてはコロンバールが一番多いが、良質な白ワイン、なかでもシャルドネに定評がある。最近ではソーヴィニヨン・ブランも注目されているほか、瓶内二次発酵のスパークリングワイン「キャップクラシック」の評価も高い。赤品種では、良質なカベルネソーヴィニヨンとシラーの産地としても知られるようになった。古くから酒精強化ワインにも定評がある。

12 Worcester ウスター地区
200年近い歴史を持つウスターの街は、ブレード・リヴァー・ヴァレー地域の中心地。降水量は年間260mmと少なく、冬は山頂が雪に覆われるほまど冷え込むが、ブドウの植樹も増えており、その多くがシュナン・ブランだ。土壌は沖積層、ローム、および砂壊が中心。コストパフォーマンスのよい赤白ワインだけでなく、酒精強化ワインでも有名。さらに、世界最大規模を誇る「KWV」のブランデー蒸留所があり、ブランデーの一大生産地となっている。


■Cape South Coast ケープ・サウスコースト地域
西ケープ州最南端に位置し、冷涼な気候に恵まれていることから、近年注目されている産地のひとつ。オーヴァーバーグ地区からエルギンとウォーカーベイが独立した。ピノ・ノワールやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランに取り組むブティックワイナリーも多く、良質なワイン生産地として期待されている。プレテンバーグベイ地区は、2000年からブドウの栽培を開始した新しい生産地。スパークリング・ワインや、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなどのボテンシャルが注目されている。

13 Elginエルギン地区
標高が高く冷涼な気候を持つエルギンでは長らく果実、なかでもリンゴが多く栽培されてきた。「アップルタイザー」の本社・工場もここにある。標高は200〜1,000m、南部は大西洋からわずか4.5kmの距離にあり、冷涼な海風の影響と標高の影響を受け、ブドウはゆっくりと熟す。近年では、ブティックワイナリーも増えており、昼夜の温度差が生むエレガントで果実味ゆたかなシャルドネやリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなどのワインが高く評価されている。エルギンはまた、世界で初めて生物多様性を謳ったワインルート「グリーンマウンテン・エコ・ルート」の一部でもある。エルギン州には9つしかワイナリーがなく、うち6ワイナリーは非常に小規模なので、同州で生産されるブドウの7割がほかの州に運ばれ醸造される。ただ、冷涼なエルギンのポテンシャルは大きく、2020年までに3ワイナリーの設立が予定されている。

14 Walker Bay ウォーカー・ベイ地区
ホエールウォッチングで名高い海辺の町ハーマナスやスタンフォードの街を含む地区で、ウォーカー湾の入り口にあるボット川を中心に盆地となっている。冷たい海風による冷涼な気候が特徴。ボットリヴァー小地区は川の湯から山山沿いに広がるエリアで、海洋性気候を持つ。土壌は頁岩と砂岩が中心でシュナン・ブランやピノタージュに加え、ローヌ品種も多く植えられている。3つの小地区を持つへメルーアン-アダ・ヴァレーには、頁岩、砂岩、花尚岩に加えて南アフリカには珍しく粘土質が多く含まれており、高品質のシャルドネとピノ・ノワール、安定して品質の高いピノタージュで知られる。

15 Cape Agulhas ケープ・アギュラス地区
アフリカ最南端に位置するケープ・アギュラスは牛や羊の飼育や穀物栽培で知られていたが、1996年からブドウの植栽が始ま
た。アギュラス平原は世界でも最も多様な土壌で知られ、そのポテンシャルは高く評価されている。なかでも3億年以上前には南極大陸に属していたエリム小地区の土壌はミネラリティに富み、ブドウ畑1haの中には5種類もの違う土壌が混合している。夏から収穫期にかけては強く冷たい南東の風を受けるため、ソーヴィニヨン・ブランの栽培の適地として知られ、セミヨンとシラーの可能性も期待されている。冷涼な気候からくるアロマティックでミネラリティ豊かなエレガンスが、エリムの特徴だ。2011年にはケープ・アギュラスの近くに、ネピア小地区が追加された。


■Klein Karoo クレイン・カルー地域
年間降水量は200mm以下と非常に乾燥した地域だが、そのおかげで有機栽培が可能となった。多様な気候、土壌が混在しており、植生も多彩だ。ブドウ栽培は川沿いにある沖積土壌の渓谷地が中心だったが、最近では標高が高く、冷涼で小石交じりの頁岩土壌への植栽も始まっている。マスカット種を使った甘ロワインで成功したが、最近ではソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールの栽培も増えている。カレズドープ地区ではティンタバロッカやトゥーリガナショナルが栽培され、ポートスタイルのワインの産地として知られる。ポルトガル品種を使った赤ワインも多かったが、最近ではメルロを使った飲みやすいタイプの赤ワインやシラーを使った本格的なワインも増えている。また、ブランデーの産地としても有名だ。最近、ブランド川とグーリッツ川にはさまれたランゲバーグ山脈の北に位置するランゲバーグーガルシア小地区が追加された。


■Olifants River オリファンツ・リヴァー地域
オリファンツ川沿いに南北に広がる比較的温暖な地域で、2つの地区と3つの小地区を持つ。ブドウ栽培は、大西洋の影響を受け冷涼な北部にある小地区フレデンダル、スプルートドリフトで多く行われている。内陸部の高地にあるピケナスクルーフ小地区では有機栽培が盛んである。オリファンツ川の南には、かんきつ類を生産するシトラスダル・ヴァレー地区がある。南部の年間平均降雨量は370mm。瀧滅水は、水質のよいクランウィリアムダムから得る。土壌は砂質沖積土壌から赤粘土質のローム層まで多彩。キャノピーマネジメントが徹底しており、手ごろな価格で高品質なワインを生産する。白はシュナン・ブラン、赤はシラー、ピノタージュやカベルネ・ソーヴィニヨンが多い。

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参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier

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