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読書 - 自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考

LIFE3.0を読んで人間らしさとは何ぞや。ということを考えるようになった。

そして、人間らしさの1つが「真美善」を感じることであり、その方法の1つとして芸術鑑賞があると思う。しかし、恥ずかしながら従来芸術には特に興味がなく、本書にも記載ある通り「美術」という科目がとても嫌いでそれをずっと尾を引いている格好となっている。
何故嫌いになったかというと、私は美術のセンスがなく、絵をかいたりすることがとても下手だったのである。また、学生の時は美術の能力は先天性が重要であり、加えて、受験科目でもないため努力に対する成果(費用対効果)が悪いと考えていたためである。
しかし、本書を読んでアートに対して考え方が変わった。私が学生の時にこのような本に出会っていたらまた違う人生になっていたのかもしれない。
本書のタイトルはアート思考となっているが、アートの見方を説明しており、一部対話形式になって展開し非常に読みやすい本となっている。

アート思考を構成する3要素

「できるだけ完全なたんぽぽを思い描いてください」

おそらく、思い描いたのは黄色い花を咲かせたたんぽぽだと思う。
完全なたんぽぽとは花だけではなく、茎や根がある。しかし、たんぽぽの花を目にする、かつ目立つため、人は花だけを思い描く。しかし、花を咲かせるためにはまずは種が必要で、花を咲かせるために養分を吸収するための根っこがあって初めて花を咲かせる。

アート思考は、これと似ている。アートを完成されるには、まずは興味・好奇心・疑問というような「興味のタネ」がある。そして、その「興味のタネ」から様々な思考の探求である「探求の根」があり、それらを表現したものが花であり「表現の花」がある。

つまり、アート思考とは、「興味のタネ」「探求の根」「表現の花」の3要素から構成されている。従って、上記の私が下手だといったものは、美術の表現の花が下手だったということである。

素晴らしいアート作品とは?

素晴らしいアート作品とは何だろうか。目の前に広がる景色を綺麗に表現することであろうか。本書では、これを半分否定している。
これは、テクノロジーの発展にも関与しており、興味深かった。
その転換のきっかけとなったテクノロジーとは「カメラ」である。
カメラが出現する前は、目の前に広がる世界を正確にとらえて表現する必要があったため、精巧な模写技術が重要であった。しかし、カメラが出現した後は、正確に目の前に広がる世界を表現することが可能になったため、アートで模写技術がそこまで重要視されなくなってきたという歴史の変遷がある。

一般的に美しいとか巧いといわれる美術品は過去の話である。現代は、何が素晴らしいアート作品なのかという問いを考えることではないか。

つまり、アート思考の中の、「表現の花」だけが評価されていたのはカメラ出現の前である。現代は、「表現の花」だけでなく「探求の根」や「興味のタネ」という部分も評価の対象になるのではないか。

従って、どのようにアートを見るかというと、アーティストの作品を生み出す過程を自分なりに考え、自分だけのものの見方で世界を見つめ、自分なりの答えを生み出し、それによって新たな問いを生み出すような作品のことではないか。

アートは見えないことを考えることであり、表面に出てないものを自分なりにどう解釈するか。

「表現の花」を作る花職人になってないか、素晴らしいアート作品を作る人をアーティストとすると、アーティストと花職人の違いは信念の有無である。

ちなみに、レオナルドダビンチは、「目に見えるもの全てを把握する」という信念のもとで、自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界を捉え自分なりの探究をし続けた人物であるという。

アート作品の見方

鑑賞の質を上げるには、「アウトプット鑑賞」がおすすめである。
・見て思ったことを言ってみる(例えば、色について、形や輪郭、筆の使い方の特徴など)
・そこからなぜアーティストがそのように書いたのかを自分で考えてみる

抽象度が高いアートの見方は以下の二つの問いの往復で深める。
・どこからそう思う:主観的に感じた意見の根拠となる事実を問う
・そこからどう思う:作品内の事実から主観的に感じた意見を問う

どこからそう思うのヒント
背景とのやり取り:作者の人生、歴史的背景、評論家による分析、美術史における意義

アートに関する問い

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これは、マルセル・デュシャンの「泉」という作品である。
一体、これは何だと思うか。

男性便所にサインをしただけの作品なのである。
これを展示会に出したというのだから驚きである。

このようなものもアートとしての範疇に入るとなると問いが生まれる。
・アートは美を追求するべきか
・作品は作者自身の手で作られるべきか
・すぐれた作品を作るにはすぐれた技術が必要か
・すぐれた作品には手間隙がかけられているべきか
・アート作品は視覚で味わえるものであるべきか

また、そもそもアートとは何か?
カップヌードルの容器すらアートと捉えることが出来るが、あなた方はどう思いますか?

まとめ

明確な答えがなく、考え抜かないと自分なりの答えが出せない。
それがアートの世界ということを認識した。
つまり、自分なりに感じたことを表現し、自分なりの解釈を得ることが重要なのが、アート思考である。
この本を読んでアートについて興味を持った。年内に美術館に訪れてみようと思う。


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