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読書 - <アマゾン銀行が誕生する日 2025年の次世代金融シナリオ>

昨今、GAFAと呼ばれ世界経済を牽引している企業であるAmazon。10何年前はネット通販の本屋、何でも揃っているECサイトを持つ物流会社、その物流会社が金融を行うことに興味を持ったため手にとってみた。
ただ、本書はAmazonの話だけではなく、中国や日本のQR決済事情と今後の展開なども記載されているが、そのあたりは割愛する。
では、本書で述べられていることと簡単な感想をいかに記載してみる。

1.銀行とは何者か

銀行は、ほとんどの人々が利用しているので何となく銀行がやっていることはわかっているとは思うが、今一度銀行の機能と業務を整理する。
以下のことを行っているのが銀行のようである。

三大機能
・金融仲介
・信用創造
・決済
三大業務
・預金
・貸出
・為替

果たして、今の銀行は上記の機能/業務を果たしているといえるのか。

具体的には、貸出業務が機能不全になっているのではないかということ。

なぜなら、大企業は現預金を内部留保でため込んでいる部分もあり、主な需要は零細企業、個人である。しかし、従来の貸出は担保主義であるが、零細企業や個人では担保にできるようなものがないため、本当に必要な資金ニーズを満たせていない。個人であればクレジットカードなどで信用情報の一部を見られるとは思うが、支払能力をみる個人情報不足(真の信用力)の情報が足りていないのではないか。この辺を変えていく必要があるのではないか。

2.従来の銀行とこれからの銀行

銀行は、上記の三大機能を果たす役割があり、銀行法に従い許認可が必要な参入障壁が高い業界の一つである。つまり、金融は既得権益で成り立っている部分があったが、これからはそうはならない。つまり、従来当たり前だったことが通用せず、新しい常識にとってかわることのではないか。

新しい常識とは、IT業界では常識のカスタマーエクスペリエンスに重点を置いたサービス内容で顧客を惹きつけることにある。具体的には、以下の6つのようなことである。

IT業界が重視するカスタマーエクスペリエンス
・便利
・手間がかからない
・わかりやすい
・自動でしてくれる
・楽しい
・取引していることを意識しない

ここで立ち止まって考えてみる。今の銀行は上記6つが満たされているのか。

。。。。。。

最近は、APIの開放などをすることで改善方向になってはいるが、従来の店舗型の銀行を思い浮かべると、そうではないという声が聞こえそうである。

例えば、リテールで考えても「手間」
私は手先が器用ではないためなのか、印を押すことが非常に下手である。。。なので、少しかすれているだけで突き返しをされたり、そもそも登録しているものと違うなどで取引するまでに時間がかかることがある。そもそも店舗に行かないといけないことも少なくなくとても手間である。(予約制度などもない。。。)
なので、上記6つを意識した経営をしてもらうことは利用者にとって非常にプラスに働くのではないだろうか。

インターネット事業出身の会社は、このあたりのマインドセットが染みついているため、今後の新勢力に期待するような記載もある。

3.これからの銀行を担う次世代金融プレーヤーは何をしているのか

次世代金融プレーヤーとは、Amazon、アリババのような会社を指しており、彼らはコアビジネスから真の信用力データを収集し金融の本質に向かっている。
金融の本質とは、3つの流れ(物流・商流・金流)をおさえて、顕在化しそうな潜在能力まで評価することである。
従来の銀行     →商流または金流から信用審査はできるが、商流を中核にみて本質的な審査が不可能
次世代金融プレーヤー→物流、商流、金流をコアビジネスでおさえていることから金融の本質をみて貸出業務が可能

上記金融の本質を捉えて資金貸出ができるようになれば、中小企業や個人事業主もタイムリーに資金調達できる機会を得ることができる、かつ顕在化しそうな潜在能力を加味することで調達コストも下げられる可能性もあるのではないか。

4.まとめ

このような流れの中、従来の店舗型銀行も変化しなければならない責務を感じており各々に舵を切っている。
捨て去るものや目指すべきことを記載しているが、従来の銀行が持っているもので残るものというものは存在する。それをいかに活かして新たな世界へ突入していくのかは注視していきたい。 
そもそも「bank」とは積み重なる/層をなすという意味も含まれる。
個人的にはこの意味合いを全うしているのは確かに次世代金融プレーヤーなのではないかと本書を通して思った次第である。

この次世代金融プレーヤーの一人としてMoney Crew が認識されるように日々精進である!!



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