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銀木犀

俯けど立ち昇る
この熱いため息は
冷めやらず千千に別れては
彼方の空に届こうと
舞い上がり遠く気流にのった

置き去りの身体はただ
やるかたなしに立ち止まり
すべて忘れてしまった と
零れる銀木犀に嘯くけれど

足元に踏みしだく無数の花が
まるきり数多の涙のようだ

遠雷の行方を遠く見つめる
薫り立つペトリコールに
過ぎた日は息衝く

気流から舞い降りた
私の幽かなため息がいま
空仰ぐあなたの頬を濡らし
足元に黒く来訪を告げても

降り積もる日々に私の声は
あなたの過日の影になり
やがて見えなくなるだろう