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藍色の海に沈む

藍が深くなるほどに
深く深く沈みゆく
眠らずの海

美しい気泡は微笑んで
いくつも俺から派生しては
離れていった

透明な藍が深まるほどに
浸透してゆく孤独と畏怖を
言葉にすればきっと
鰯さえも笑うだろう

どこまでも沈もうと息を吐く
肺が藍に満ちようと
沈みきれない身体を波が
今際の岸辺に打ち上げる

今日も藍に染まれずにただ
狭間に揺蕩う月の下
夜もすがら引き潮を
待つのだろう