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空気を読めるのは「特長」「英語のそこのところ」第69回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2015年3月26日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 ○○デビューって言葉は、Native English Speakerには理解しがたいもののようでして。そこから違いを感じたというエピソードです。(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

大好評! Kindle Unlimited で一日500ページビュー 
「英語の国の兵衛門」「英語のそこのところ」の作者徳田孝一郎の作った英語テキスト「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト8 形容詞とその仲間たち」販売中!

【本文】

「徳さん、ちょっと教えてもらえる?」
 金髪碧眼の綺麗な美少女のCatherine(綺麗に美少女を重ねるぐらい綺麗ってことです)が、仕事をしている徳田に声をかけた。
「もちろん、いいよ」
 徳田はキーボードを打つ手を止めてCatherineに向き直る。
「今年、41歳で、生まれは九州博多、サッカーはアントラーズで、お酒はワインと日本酒。あとは何を知りたい?」
「知ってることばっかりよ。いつもおんなじこと言ってないで、新手の冗談考えたら。飽きちゃったわよ」
 Catherineは手厳しい。さすが率直な意見を言うNative English Speakerだ。
「じゃあ、好きな作家は……」
「はい、はい、わかったから」
 徳田が悪巫山戯(わるふざけ)を続けようとするのをCatherineがさえぎる。せっかく追加情報をいれようとしたのに。
「あたしが教えてほしいのは、『大学デビュー』って言葉なんだけど。知ってる?」
「『大学デビュー』? って、あの大学デビュー?」
「この大学デビューっていうのがあるかどうかは知らないけど、たぶんそれ」
 思わず徳田のペースに釣り込まれそうになったCatherineが徳田を睨みつけて言う。この辺でやめないと、本気で怒らせる。
「大学デビューかぁ、Catherineもいろんな言葉を仕入れてくるなぁ」
「受講生の一人が使ってて、意味が解らないので説明してもらったんだけど、よく判んないのよ。で、ここは徳さんの登場ってわけ」
「また、いいように使うねぇ」
「お互い様でしょ? よっ! プロフェッサー徳田」
 つんと澄ましたCatherineにまったく似合わない太鼓持ち言葉が出てくる。だれだ、「よっ!」なんて掛け声を教えたのは。
 とはいうものの褒められて悪い気はしない。徳田はちょっと頭をひねり始めた。

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