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英語のそこのところ 第24回 狎れ狎れしいよ、きみ

著者 徳田孝一郎
イラストレーター 大橋啓子

 今週末は、イースターですねぇ(初出 水戸みかど商会ファクシミリ配信誌 2014年4月17日 2021年のイースターは4月4日でした)。今年は、春分の日の直前に満月になったので、ずいぶん遅いイースターになってしまいました。小学校の頃などは、よくイースターエッグを作って色を塗って飾ったり、イースターの日には教会のバザーの喧噪のなかで金の卵型のチョコレートを探すエッグ・ハンティングをやったものです。
 え? やってない?
 ああ、そうでした。日本はクリスマスもバレンタインデイもキリスト教系のお祭りはどんどん取り入れているのに、イースターだけが上手く定着してない。なぜなんでしょう? クリスチャンにとっては、クリスマスよりも大事な日とされるんですが。
 実はわたしは親がクリスチャンなので、自動的にクリスチャンです。とはいうものの、全然まじめじゃなくて、東京に出てきてからは教会にもいってませんし、聖書を開くのは小説の資料としてぐらい。まったくもって幽霊部員ならぬ、幽霊クリスチャンになってしまいました。
 でも、小学校の低学年ぐらいまでは日曜学校にも通っていましたし、初めての英語は教会の先生から習いました。わたしの板書の英語が筆記体が多いのはそのせい。だって、その先生、筆記体でアルファベットを教えてくれたんです。
 それはともかく、キリスト教世界の人々にとって、イースターは最重要記念日です。なんといっても、ゴルゴダの丘で磔刑に処せられたイエス・キリストが、その3日後に復活したとされる日ですから。なので、ヨーロッパではイースターの前の金曜日(イエスが死んだ日、受苦日)からイースターの次の日までお休み。ちょっとしたholidays ということになっています。
 日本の教会ではそこまで大々的に行われてはいないですが、やはりイースターは大切なので、イースターに合わせて、バザーを開いて、そこでボーイスカウトやガールスカウトが出店を出したり、催しものをやったりします。射的や金魚すくい、聖歌隊の合唱などが行われて、その中でももっと大きなイベントがエッグ・ハンティング。教会の敷地のどこかに隠されている「金の卵」を探すゲームです。
 どんなゲームかというと、子供たちのそれぞれに卵の隠し場所のヒントが書かれた紙が渡されて、そのヒントを解きながら「金の卵」を探すというゲーム。また、そのヒントの内容がワクワク感一杯で、
「大きな塔の東の影。鉄の馬車の5番目の足を探れ」
みたいなヒントがかかれている。ちょっと小さな探検家気分で広い教会の敷地を駆けずり回る。わたしなどはちょっと鈍い子でしたから、教会の塔の東はどっちだろう?(西日が差してるんだから、素直に影のところに行けばよい)とか、5番目の足って何だろう?(そりゃ、スペアタイヤのことに決まっている) と思っておろおろしていました。
 懐かしい思い出です。

 日本の子供には、学校とご近所という付き合いしかないのが普通ですが、海外ではやはり、教会というコミュニティが存在します。それは信仰というよりも生活の一部になっていて、われわれNative Japanese Speakerの思っているよりも強くNative English Speakerの意識に影響を与えているようです。
 例えば、こんなことがありました。

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