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恥ずかしい理由「英語のそこのところ」第127回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年2月2日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 Native English Speakerと温泉旅行をしたことがありますが、彼らは意外なところで恥ずかしがります。恥ずかしいという感覚の原因が違うんですねぇ。ちょっとびっくりしたお話です。(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル14」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル14」ではQueen のWe are the champions を題材に英文を作っていきます。

何度も刑期を務めているさ。
宣告された刑罰をやってるさ。
でも、本当は何も悪いことはしてない。
そりゃ、1つ、2つ下手を撃ったことはある。
砂を蹴りつけられたことだってある。
でも、ついにやり遂げたんだ。
ああ、私たちは続けていくよ。
おれたちは、チャンピョンだろ? 友よ。
そうさ、最後の最後まで戦い続けるのさ。
敗者のための時間はない。
私たちは世界のチャンピョンなのだから(from We are the champions)
英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ

 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

 著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。

 7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。

 ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。

 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

【本文】

 寒いですねぇ。今年(2017年)は暖冬だなんて予報が出ていましたが、そんなこともなくきっちり寒い。今、私の住んでいるマンションは東西にぴったりと商業用のビルがあって、南側にはちょっと離れたところに大きなマンションが建っている。直射日光がちっとも当たらないマンションなんです。初め借りる時には気にしませんでしたが、日が当たらないせいか建物が冷えていてなかなか部屋も暖まらない。炬燵でも買えばいいんでしょうけど、自分がだらしがない性格なのを知っているから決して手を出しません。温かさの誘惑に負けて、炬燵で寝起きしてしまうことは間違いないんですから(笑) じゃあ、どうしているかというと昔の金玉火鉢(品がなくてすいません)よろしく、電気ストーブを机の下において暖をとりながらキーボードに向かうということになります。
 もちろん、仕事しているばかりではないので、仕事が終われば夕食代わりに熱燗を呑みに出かけたりもするんですが、この時期に恋しくなるのは温泉です。普段はカラスの行水よろしくシャワーで済ましてしまいますが、さすがにこう寒いとたまにはのんびりと湯につかって躰をあたためたくなる。
 幸いなことに、近くには温泉施設がいくつかあって、ふらりと出向く。露天風呂やら炭酸泉やら壺湯なんてものを堪能して、躰をあたためていると、なんともはや贅沢な気分で、申し訳ない! と思わず、寒空の下まだ働いている人に謝りたくなるほどです。

 普段、Native Japanese Speakerだ、Native English Speakerだと考えていて、その場でのモードチェンジをするべきだとめんどくさいことを思っている私ですが、こういうときは掛け値なしのNative Japanese Speakerで、何にもしないを満喫です。
 でも、湯につかって何にもしないをしていても、思い付くことや思い出すことはあるもので、昔、私が英会話スクールに勤めていたころにNative English Speakerたちと温泉に行ってびっくりしたことをこの間は、思い出してしまいました。こんなところにも、違いがあるのだなぁという感心です。

「よし、じゃぁ、ひとっぷろ浴びるかぁ」
 旅館について部屋に入った徳田が途端にオヤジ化して用意してあった浴衣と帯を手に取った。
「え、もう温泉に行くんですか?」
 同部屋になっている大阪支社のDenisが不安そうに徳田に言う。
「そう、Denisにも教えてやろう。旅館に着いたら食事の前にまず温泉、食事のあとにまた温泉、カラオケあとに温泉、朝起きたらまず温泉。一泊で4回は入るのが仕来りとされているんだよ」
 まったく世間で言われることのない仕来りを徳田が振り回すのを、温泉が初めてのDenisが気の弱い笑みを浮かべて聞いている。本気に受け取ったようだ。
「そうですか、そんな仕来りがあるんですね」
 Denisはもじもじと部屋に添えつけの浴衣と自分のカバンに目を行き来させた。
「ほら、行こうぜ。食事の時間になっちゃうよ」
「え、えぇ……」
 普段は素直なDenisが煮え切らない返事をする。
「あの、僕、実は水着を持って来てるんです。水着で温泉に入ってもいいでしょうか?」
「ええ? 水着?」
「はい、水着です」
「いや、それはどうかなぁ」
 温泉に水着で入るなんて、聞いたことがない。タオルを湯船に入れることもNGなんだから、水着もNGなんじゃないかと徳田は言った。
「困りました。温泉には入りたいですが、裸になるわけにはいかないです」
「はぁ」
 徳田は首を傾げた。裸にならずにどうやって風呂に入るのだ。
「だって、風呂だよ? 家でシャワーを浴びるときはどうしてるの?」
「それは、裸になりますよ。でも、誰も見てないし」
「あれ、もしかして、Denisは恥ずかしいの?」
 ピンク色した白人のDenisの顔がぱぁっと真っ赤になる。判りやすい。
「なんだ、そういうことかぁ。おれも子供の頃は恥ずかしかったけど、大丈夫だってみんな同じように真っ裸で、フ〇チ〇で歩いてるんだから。水着なんか着てる方が恥ずかしいよ」
 徳田のデリカシーのない言葉にDenisはますます赤くなる。耳まで真っ赤だ。
「徳さん、そういうことじゃないんです。みんなが裸かどうかは関係ありません。それに僕はみんなと違っていても、全然恥ずかしくないですし」
 ああ、なるほどと徳田は思った。
 確かに、Native English Speakerは自分がほかの人と違う格好していたとしても、気にしないところがある。Denisもみんながコートを着ているのに、ジーンズにTシャツという軽装でオフィスにあらわれることがあった。そう考えると、Native English SpeakerとNative Japanese Speakerの「恥ずかしい」には違いがあるのかもしれない。
「ひとつ聞いていい? Denisはなんで恥ずかしいの?」
「それは……」
 あまりに当然のことを聞かれて、Denisも言葉に詰まった。だが、論理的に自分の主張をしなければ、馬鹿にされる文化の中で育って来たDenisが「恥ずかしいものは、恥ずかしい」と根拠のない言い方はできない。それこそ「恥ずかしい」ことなのだ。
「それは、ルールに沿ってないことをやろうとしているからです」
「はあ?」
「ルールを違えることを、我々Native English Speakerは恥ずかしいと感じるのです」
「みんなと違っていることじゃなくて?」
「そこにいるみんなは関係ないですね。今までの自分のルールを破ると恥ずかしいと思います」
「つまり、裸を人にさらすことはいけないというルール?」
「そうですね。多くのアメリカ人は親にも自分の裸を見せたことがないんですよ」
「ええ? じゃあ、どうやって風呂に入るのさ?」
「ひとりで入ります。たいがいはシャワーですけど」
「子供のころから?」
「3、4才のころから。親が一緒に入ったりしたら犯罪なんですよ」
「犯罪ぃぃ」
 徳田の声が一オクターブ上がる。
「ええ、幼児虐待です。通報されます」
 確かに、そういうことなら人に、肉親にさえも裸をさらしてはいないわけだ。かなり頑強なルールと言える。

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