夢、現「英語のそこのところ」第144回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2017年9月28日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
海外ではティーンズ向けのヒーローものの映画やアニメがあまりないんですが、その理由をNative English Speakerと話し合った話です。その理由は、日本語にない、あの文法事項にあるのではないかと思うのですが。(著者)
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英語嫌いだった私の英語・英会話マスターへの道
VERSANT スコアアップ法を大公開
英語なんて好きでもないし、得意でもない。ていうか、むしろ嫌い。でも、仕事で英語を教えなきゃならなくなった! さあ、こまったぞ、どうする?
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これを機にぜひお手に取ってみてください。
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この「ドリル20」では小学館のFootball Manga「アオアシ」 のセリフを題材に英文を作っていきます。英文を作ってみたあと、ぜひ「アオアシ」を手に取ってください。面白いですよ。
考えて、考えて、考える。
するといろんなことがいずれ考えなくてもできるようになる。
そうしたらようやくそれが自分のものになる。
似てるけど、やっぱり勘とは違う。
人間は考える葦である。
おれもコーチ陣も質問してくる奴が大好きだ。
目立ちたい、おれが、おれがという急造チームで自分を出すなんて難題だ。
そこで必要なものは何か?
自分は何をすべきか?
そう、おれたちがこの場で見たいのはインテリジェンスなんだ。
英語でどう言うのでしょうか?
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。
【本文】
最近はようやく暑さも和らいできて、過ごしやすい季節になってきました。でも、まだまだ暑い。暑さ寒さも彼岸までと昔の人は言ったものですが、最近はそうでもない。長い夏と長い冬という気がします。気候変動のせいなんでしょうねぇ。だんだん日本は亜熱帯化している気がしてなりません。
そうは言っても、あの灼熱の夏よりも過ごしやすいのは確かで、仕事もはかどるし、本を読むのにもいい季節です。夏は読書をしていても集中力がどうしても落ちますからねぇ。私は移動中や待ち時間に本を読むことが多いんで、駅のホームにつくと本を取り出して読み始める。でも、躰にまとわりつくあのもあっとしたホームの空気の中だとさすがに集中しきれない。気づくと同じところを二度三度と読んでたりする。でも、最近はそういうこともなく、するすると読み進められます。駅のホームにいながら、想像の翼を広げフィレンツェで暗殺者に追いかけられたりしています(笑)
こういう読書好きというのはどこから来たのかというとそれは明らかに育てられ方のせいで、私自身は憶えてないんで、親に聞いた話なんですが、幼稚園に入る前、「ドレミファブック」というレコードと絵本が一緒になった21冊の全集を与えられて、レコードを聴きながら絵本の中の文字を読んでいたらしい。音を聴きながら絵をヒントに空想の世界に入る愉しさを、このころ知ったのかもしれません。なかでも「うちゅうせんペペペペラン」というのがお気に入りで、これは小学校の低学年まで聴いていた記憶があります。
でも、幼稚園のころから継続して読書好きだったわけではなくて、やっぱりテレビにかじりつく時代はありました。仮面ライダーやウルトラマンタロー、サイボーグ009、マジンガーZ、勇者ライディーン、宇宙戦艦ヤマトと言ったヒーローものの洗礼はきっちり受けるています。とくにライディーンなんて、よく真似していました。主人公がロボットに乗り込む時に、バイクに乗って目をつぶって呪文を唱え、そのあと手放し運転をするんです。それになり切っちゃうんですねぇ。で、自転車で走りながら私もそのつもりで、同じことをする。もちろん、主人公みたいにライディーンに乗れるはずもなく、ひっくり返るやら、電柱にぶつかるやら(笑) 下手すると、怪我までして親に叱られるんですが、理由を訊かれても答えられない。ライディーンに乗り込むつもりだったなんて、子供心にも馬鹿にされると判ってたんでしょうねぇ(笑)
そういう馬鹿なことをする子供だったわけですが、それがだんだんと小説に向かったのは小学校4年生ぐらいだったでしょうか。戦隊ものとかが流行っていたと思うんですが、どうもねぇ、あの子供向けのお話を大の大人の俳優がやっている感じが嘘くさくて恥ずかしくて、観てられなくなった。ケツがむずむずするというやつです。
ただ読書に帰っても、ヒーローものが好きなのは変わらなくて、もっぱら夢中になるのは「レンズマン」や「キャプテンフューチャー」といった主人公が悪を討つみたいな小説を好きでよく読んでました。
どうしてこういう話をし始めたかというと、ついこの間のことなんですが、友人のRichと子供のころのヒーローの話になったからでして。
「へえ、日本にはいろいろなヒーローがいるんだなぁ。さすがジャパニメーション発祥の地」
「そうだねぇ、やっぱり手塚治虫がいたのは大きいだろうね」
「アストロボーイかい?」
「観たことあるの?」
「いや、ないなぁ。時代が違うよ」
「じゃぁ、Richの子供のころは?」
「そうだなぁ」
Richはしばらく考えてから答えた。
「Dan Dare って知ってる?」
「いや、知らない」
「イギリスでは有名なヒーローものなんだよ。宇宙船のパイロットで困難な事件を解決していくって話」
「へぇ」
「あとは、Tin-Tin かな。ベルギーで作られた話だったと思うけど、あれも好きだったな」
「ティンティン?」
なかなか危ない音に徳田がぎょっとする。
「知らない? ちょっと前だけど映画にもなった。ルポライターのティンティンっていう少年がいろんな事件に首を突っ込んで解決していく話」
う~む、変な話ではないらしい。日本で言えば『金田一少年の事件簿』的な話か。
「子供なのにヘリコプターや戦車を操縦できるから、おれもパイロットにあこがれたことがあるよ。さすがに手放し運転はしなかったけど」
「あはは」
徳田は苦笑する。Richは徳田のように遅い子ではなかったようだ。
「でも、その後はどうなの? 中学生ぐらいになるとどんなヒーローものが流行るのかなぁ」
徳田は前々から疑問に思っていたことを訊ねた。海外ではティーンズ向けのヒーローものが少ないと思っていたのだ。
「ヒーローものかぁ」
とRichが首をひねった。
「そうだなぁ、もうお話のヒーローじゃ物足りないんじゃないかなぁ。おれも中学の時はフットボーラーのリネカーに憧れたしね」
「でも、指輪物語とか最近ではハリーポッターとかあるじゃん?」
「そうだねぇ。でも、ティーンズ、特にローティーンだとそっち方向に行かないな。男の子だとフットボーラーかレーサーだね」
「ふ~ん」
「というか、本やテレビ番組に熱を上げる人って少ないと思うよ。だって、フィクションだしね。あこがれの対象として弱い気がする」
「あこがれの対象として弱い……」
はっと徳田の中にひらめくものがあった。
そうか、そうなのだ。
Native English speaker にとってヒーローものはフィクション、あくまで作り物でしかないらしい。なので、あこがれて、自己同化する対象としては存在感が希薄になる。そのために、ある程度以上の年齢になると、ヒーローものが多いマンガやアニメーションに目が向かなくなるのではないか?
「ねえ? Richひとつ訊いていいかい?」
「どうぞ、いくらでも」
にんまりする徳田を気味悪げに見ながらRichは答える。
「英語って、現実と夢をきっちり区別するよね?」
「ああ、仮定法のことだろ?」
「そう。わざわざVedを使って、いまから話すのは『現実と異なる夢』の話ですよ~って示す」
「うん、それがなにか?」
「それってなぜ?」
「なぜ? なぜって言われてもなぁ」
徳田は含み笑いをした。ますます気持悪い。
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