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力点が違うんです。「英語のそこのところ」第108回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2016年5月12日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 今回は意外に知ってるようで知らない、時間のあらわし方を突然レクチャーされたお話です。Native English Speakerの多い職場ってのはホント気が抜けません(笑)(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

いよいよ、新展開! 名台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7から、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっていきます。

 この「ESM Practice 7」では、
せっかく来たのに、こんなのないよ。(from 新世紀エヴァンゲリオン)
やっぱ、人生この時のために生きてるようなもんよね。(from 新世紀エヴァンゲリオン)
バルセロナは5-1でミュンヘンに負けたよ。
ミュンヘンは3ー0でリヨンに勝ったよ。
なんてゴールだ!
人類はもはや孤独ではないのだ。(from 幼年期の終り)

などの名言、名台詞を扱いますのでお愉しみ。

大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ

 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

 著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。

 7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。

 ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。

 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

【本文】

 もうご存知の方も多いので、あまり繰り返してもいけないと思うんですが、学生時代、英語は一番不得意でした。最近は、ご紹介以外では新たにレッスン依頼を受けないようにしているんですが(23年5月現在では絶賛募集中です。eisoco@eigoryoku-appu.comにご連絡ください。COVID-19のあいだに卒業していかれましたので)、ありがたいことにご紹介が多くて、新たな受講生の方からは、英会話の「先生」(お羞ずかしい)ということで昔から英語ができたんでしょう という目で見られる。

 なんだか不思議な感覚です。大学受験の際に、もっとも足を引っ張ってくれたのは「英語」でしたし、英会話なんてとんでもない。海外にあこがれも、興味もなかったので、一生縁のないものだと思っていましたからね。そんな人間が、曲がりなりにも英語・英会話をお伝えしてるわけで、人生なにが起こるか判らないとしみじみ思ってしまいます。これを読んでいるみなさんも、突然、英会話の先生になったりして(笑)ご注意を。

 冗談はさておき、英語は嫌いだったけど、ラッキーだったなと思うのは社会人になってからの勉強の順番です。進学塾で教える側として高校受験・大学受験の英語をみっちりやって、次に出版社で英語の参考書づくりをして、最後に生きたNative English Speakerの英語にどっぷりと触れるというステップは、スキルアップに最適だった。スポーツと一緒で基本動作を憶えて、体力をつけて、実戦に臨む、という流れです。

 でも、こういうことを書くと、よく「英会話に、受験英語って必要ないんじゃないですか?」というお声を頂きます。受験の英語をやったって全然話せるようにならないし、うまく英語で表現もできないし、というご意見です。
 確かに、そういう一面はありますよね。私の世代では、大学まで行くと最低でも10年は英語を習うわけで、10年やっても英語が、聞けないし、書けないし、話せない、という人が多いのは事実です。
 でも、受験英語からNative English Speakerの英語という英語との付き合い方をしていると、力点が違うんだよなぁって判ってくる。
 受験英語ってね、まさしく大学での学問のための英語なんです。だから、大学の授業で必要な英語を要求してるんです。
「でしょ? だから、限定的でまったく使えない英語じゃない? 無駄、むだ、ムダ(ⒸDIO from ジョジョの奇妙な冒険)」
 なんて早とちりしてほしくなんですが、英文学や英米法の研究や、英語の文献を読む、といった目的にはぴったりしていて、複雑な構文を読みこなす力や、専門的な語彙を身に付けるにはぴったり。非常に妥当性の高いものです。なんといっても、文学部、法学部、というのは、その分野の学者や専門家を養成するための学部なんですから、当然です。
「そうはいってもさぁ、大学の学部ってそのまま専門家になったりする人、少ないじゃない?」
 という意見が聞こえてきますが、それはその通り。私自身、この点が最大の問題だなぁって思う。日本は、社会の要請と大学の学部の在り方がずれているんですね。
 Native English Speakerと話すとよくビックリされることが、日本の財務官僚のほとんどが法学部出身だということ。よく法務省の間違いじゃないの? って訊き返される。海外ではやっぱり専門の勉強をしたらその方面の職種につくというのが普通のことなんだそうです。なんで、海外では財務官僚は当然、経済学部出身が多いんだとか。日本は変なんだなぁなんて、私くんだりが心配したって始まらないですが、もう少し日本の大学もアカデミックなものだけじゃなくて、専門学校っぽい学部をおいたほうがいいのかもしれません。

 ちょっと硬い話になってしまいましたが、受験英語は学問のための英語なんで、やっぱりコミュニケーションツールとしての英語ではないんですよねぇ。でも、学問のためとは言え、いや、学問のためだからでしょうね、受験英語は英語全体を網羅していて、もちろん、コミュニケーションに使える部分も入っている。ただ、それが重要視されてないんで、使えないと言われてしまうんです。
 そういう意味では、受験の時に気にならなかったことが、話す際には、気になる。今までもこのエッセイで冠詞や前置詞を扱ってきたんですが、今回は「○○分後に」という表現をご紹介したいと思います。

「じゃあ、ミーティングは、15分後に再開ってことで」
 司会役を務めていた徳田がそういうと、一斉にNative English Speaker達が首を振った。
「え? 15分じゃ短い? じゃあ、20分、これ以上はマケられないよ。ホント、出血大サーヴィスだ!」
 バナナのたたき売りよろしく、徳田が巫山戯るとNative English Speaker達はしょうがねぇなぁっと肩をすくめてまた首を振った。
「15分でいいんだけどさぁ、その英語がねぇ」
「え?」
「なってないね、まったく」
 Didoが冷たくシュラッグしてみせる。
「そうね、徳さんって変に難しい単語は知ってるくせに、そういうところが甘いわ」
 こっちはCatherineだ。
「なにがいけないのさ? a quarter of an hourっておかしい?」
「そこはあってるあってる。じゃあ10時15分前は?」
 Didoのレッスンが突如始まった。これだから、Native English Speakerが多い職場というのは恐ろしい。英語嫌いにとって、気の休まる暇がない。
「It’s a quarter to 10. だろ?」
「じゃあ、10時15分過ぎは?」
 今度は、面白いおもちゃを見つけた猫よろしくCatherineが徳田をいじめる。
「It’s a quarter past 10. だろ?」
 どんなもんだいと徳田がすぐに得意顔になる。こういう判りやすいところが、Native English Speakerのおもちゃにされやすいところなのだが(笑)
「イギリスかぶれだけど、許してあげるわ」
「じゃあ、徳さん、15分後は?」
 横でRichが苦笑して、質問した。Richはブリティッシュなのだ。イギリスかぶれといわれたところが気に食わないらしい。本家の誇りといったところか。
「それは、a quarter of an hour later でしょ?」
 三人がいっせいにブーイングした。まったく、こういう時だけ気が合いやがって。

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