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日本私立大学教職員組合連合から 「中央教育審議会大学分科会・高等教育の在り方に関する特別部会への要請」書を提出

日本私立大学教職員組合連合が、2024年4月22日に

「中央教育審議会大学分科会・高等教育の在り方に関する特別部会への要請」という文書を、公開した。
これは、中央教育審議会大学分科会・高等教育の在り方に関する特別部会
部会長である永田恭介氏宛のものとなっている。

文書を読むと、中央教育審議会が

「少子化の進行に合わせた適正規模」施策を中心に議論し、もっぱら地方の私立大学の淘汰・選別方法の策定にのみ焦点が当てられている

ことを指摘している。

また、

中教審大学分科会に設置された高等教育の在り方に関する特別部会は(中略)「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について専門的な調査審議を行う」としていますが(中略)とりわけ地方において私立大学が果たしている社会的役割についての検証がきわめて不十分であり、これでは地方私大のみならず、地方そのものの淘汰につながりかねない危うさを抱えています。

とも指摘している。

そして、日本私立大学教職員組合連合として
今後の特別部会において検討してほしい内容を9点記している。

1.わが国の将来にとって、進学を望む若者が居住する地域に関係なく高等教育を受けることができるようにする必要がある、という基本的立場を明確に示してください。

2.高等教育の漸進的無償化実現への筋道の明示と、高等教育機関への進学率を上昇させ、地方と都市の進学格差を是正するための調査審議を行い、これらの課題に関する政策目標を提言し てください。

3.父母、学生が私立大学に進学し、修学を継続したいという願いに応えるために、政府に以下の政策の転換を求めてください。
(1)都市に比して低い地方の進学率は、地元に高等教育機関が不足していることが原因であるという認識に立って、都市と地方の進学率の格差を縮小するために地方私大に対する抜本的な支援策を提示すること。そのうえで私大の自律性を尊重し、地元の要望と大学の教育・研究内容とのコミュニケーションをはかり、共働できる開かれたネットワークづくりを支援すること。 (2) 同じ大学でありながら、学生一人当たりで国立大学生の 13 分の1という私大助成を、国立大学と同等の方向で引上げ、現在の競争配分をやめて、私学振興助成法の定めどおりに一般補助を中心にすること。
(3) 修学支援制度(所得制限 380 万円)の所得上限を大幅に引き上げ、高等教育無償化の方向に拡充すること。また、一方的に廃止された私立大学の学費減免補助(所得上限 841 万円)を私大等経常費補助額の純増額として措置すること。

4.自治体を私大淘汰・選別政策に関与させるのは、やめてください。 政府が進めようとしている淘汰政策のもとで、地方自治体に「必要な大学、残したい大学」を選別させようとする政策が検討されているのであれば、即刻検討を中止してください。

5.定員割れ私大に対する淘汰政策をやめるよう検討してください。 定員割れ私大の増大は、少子化に加え、都市への人口集中という構造的なものです。定員割れ は、当該大学の教育・研究に問題があることを示すものではありません。定員割れ私大を排除しようとする①私大助成の減額・不交付、②新学部・新学科申請での制限、③修学支援制度からの除外について調査審議し、政府に定員割れ私大に対する淘汰政策をやめるよう提言してください。

6.「令和 5 年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱いについて(通知)」、いわゆる入学定員管理の厳格化の緩和が、中小規模大学に及ぼす影響について調査し、審議してください。

7.文部科学省と日本私立学校振興・共済事業団が共同して進めている経営指導の強化について、 私学の自主性という視点から、広く意見を求め、検証してください。

8.部会の運営は、民主的かつ公開で行ってください。
(1) 第 3 回の大森委員報告 「地方における高等教育へのアクセスをいかに維持するのか…地方小 規模大学からの提言」は、今後の私立大学と地方のあり方にとって死活問題となっている内容であり、大森報告が提起しているテーマについての検討をいつ行うのか、お示しください。
(2) 特別部会をコロナ期以前と同様に、対面開催とし、直接傍聴できる形で行ってください。

9.日本私大教連からのヒアリングを行ってください。 私立大学の撤退、規模縮小が問題となるなかで、私立大学の教職員は、教育・研究の担い手で あるばかりか、直接的かつ重要な利害関係者です。日本私大教連からのヒアリングをする機会を設けてください。

いずれも「中央教育審議会大学分科会・高等教育の在り方に関する特別部会への要請」から

明瞭な指摘で、とても参考、勉強にある要望書であった。

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