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オンライン開催の学会に参加した感想

2020年4月の緊急事態宣言以降、「密」を避けるために人が集まるような学会が開催されなくなりました。

私は学会の雰囲気が好き。発表していると全く違う分野の人が話を聞きに来てくれて、好き勝手に意見を言ってくれて、それが更なる研究の発展につながったりするんです。学会で発表することに意味がないという人もいますが、発表のために、自分の研究をもう一度見つめ直したり、人に伝えるためのプレゼン資料やポスターを作成するのは、いつも使わない頭の部分を使うので楽しいのです。

コロナ禍が広がってきた最中だったので、3月に開催が予定されていた学会が中止となり、研究室もなかなか行き辛くなってしまいました。が、「オンライン上で学会を開催します」といち早く大手の国際学会がオンライン参加募集をかけ始めました。今までは子どもがいるし、なかなか海外に行くのは厳しいと国際学会への参加は諦めていたのですが、「これはチャンス!」とばかりに在宅勤務時に応募してみることに。

そして、2週間後なんと「Abstract Acceptance Notification」というメールが!!初の国際学会参加の切符を手にしました。

今回はコロナ禍でオンラインで開催された学会(国際学会:1(ポスター)、国内学会:2(オーラル、ポスター))に参加した感想とこれからどうしていくべきかをまとめておこうと思います。

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◇ オンライン開催の学会は通常の学会と何が違う?

オンラインなので開催場所は関係なく、気軽に演題登録してあとは自宅で待機していればOK。本当に手軽です。プレゼン資料も家でも作れちゃうし、もう研究室行かなくても学会に参加できちゃう感じです。(データがあればの話)

通常の学会と異なるところは、

● 会期の前にプレゼン資料を作らなければならい
いつもだったら、学会開催のギリギリまで手直ししてプレゼン、ポスター印刷などをしていた人はかなり厳しいかもしれません。

Face-to-Faceのコミュニケーションができない
オンライン上にポスターが掲載されていてもどんな人がどれだけ見にきたのかよくわからないまま終わってしまいました。(国際学会の方は、「あなたのポスターは○viewありました」とフィードバックをくれています)

あまり質問されない
生の人同士が話していたら「これはどうなっているんですか?」と(特にポスターの場合は)気軽に聞けたりするんですが、オンライン上だと質問のやり取りが誰に見られているか分からないので質問してくる人がほとんどいません。また個別質問は「メールでやりとりしてくれ」と書いている学会もありますが、わざわざメールを書いて質問してくる人はいません。

● 誰が見てどう記録を取っているか分からない
オンラインだと見ている人の顔が見えません。悪意を持った人が、いろんな手段で研究を盗むことがあるかもしれないなと感じました。(一応スクショはダメなどの規定はあります)すでに論文などになっているものを仕方なく発表する場合は良いですが、学会はまだ論文にはなっていない研究が発表されて議論する場所です。研究を盗られることを嫌煙して、大切なデータは出さないことが通常の学会よりも増えるのではないかと感じました。

【国際学会の場合】発表のための待機時間が家族の時間と重なる
ポスター発表と言ってもただポスターがオンラインで掲載されるわけではありません。ポスターの前に立っていなければならないコアタイムみたいなものが設定されていて、チャット式で質問に答える時間が各発表者に設けられていました。学会開催拠点と時差があって、その時間は家族との時間と重なってしまい、子どもたちに「お母さん、ちょっと仕事するね」とPCの前に行ったりして後ろ髪を引かれる思いで学会に参加しました。

議論を活性化するために、国内のオーラル発表をした学会ではリアルタイムで発表して質問時間を設けていました。(学会をそのままオンラインで開催した感じです)強制的に空白の時間ができることで、「質問しなきゃ」という本能が働くのか活発な議論ができた気がします。ただ、質問者もどんな人が見ているか分からないので当たり障りのない質問内容になってしまう傾向はあります。

ポスター発表はリアルタイムの発表枠を設けなかったため、議論は活性化していませんでした。

◇ オンライン学会のこれから

今年開催の学会は軒並みオンライン開催となり、オンラインでの学会開催がスタンダードになるかもしれません。学会の意義はなんなのか?もう一度、運営する側が見つめ直して参加者に有意義な学会になるようにしていく必要があるのではないかと思いました。リアルタイムで発表時間・質疑応答時間を設けたり、参加者にできるだけ顔出しを求めたりなど...

学会に参加しているんだけど、いつも通りデスクに座っているので他の人から気軽に話しかけられてしまいます。今やっている実験が気になってしょうがないかもしれません。デスクにいても「学会に参加しています」オーラを出したり、実験のことから離れて学術的な議論に集中して参加できると良いなと思います。(こんな時こそ在宅勤務?)

最後にもう一つ。学会の醍醐味はいつもと違う場所に行って、美味しいものを食べること。普段の生活ではいけないところに行けることが、頭のリフレッシュになってとっても良いのです。それがなくなってしまうのは本当に残念。

以上、現在までに参加したオンライン開催の学会体験談でした。まだこれからリモート学会に参加する予定なので、オンライン学会の進化をレポートできたらと思います。

それでは、また!


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