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「それでも旅に出るカフェ」を読んで

綺麗な表紙につられて手に取った一冊。読んでからわかったけど、シリーズ二作目だったのね(人物関係の背景が曖昧ではあるけど、一作目を読んでいなくてもついていける)。

国内だけでもその地域独自の食材そして料理があるのだから、世界に目を広げたらそれはそれは知らないことがたくさんある。フランス料理やイタリア料理には多少なじみがあっても、エストニアやアイスランドになるといったことのある人の方が少ないし、ましてその地の料理やスイーツの想像もつかない。

この本に出てくるカフェではそういった「聞いたこともない」スイーツが次々出てくる。私が唯一知っていたのは、台湾出身の人が作ってきてくれた湯圓(タンユェン)のみ(甘いスープに入った白玉団子みたいなもの)。こうやって、「そんなものがあることすら知らなかった」とか「知ろうとも思っていなかった」ことを知ることが出来たら、すごく人生が楽しく豊かになる気がする。(その知識をマウントに使ってしまったら台無しだけどね。)

人間というものはすぐに環境に適応するもので、マスクなしで外出してご飯を食べながらおしゃべりすることにすでに何の抵抗もない。でもたった数年前は、マスクなしで外出もできなかったし、外食もおしゃべりもできなかった。そもそも家から出るなと言われていたんですもんね。

この本を読むとその頃の息が詰まるような閉塞感が見事に再現されていて、ああ、そうだった、確かにそういう感覚だったと思い出します。その頃に飲食業界がどんなに打撃を受けたか、そして多くの飲食業の方々が閉店を決断させられたか、やっぱり忘れてはいけないと思ったりします。

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