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※1テイク・ファイヴ

場所はスリー・デューセズ
ニューヨークは
ミドル・マンハッタン
五番街と七番街にはさまれた
五十二丁目にある
名門ジャズクラブ

シンバルの音が鳴り響く
印象的なピアノの和声
同時に体に響くベース そして
アルトサックスによる主題が始まる
作曲者の※2ポール・デズモンドだ

もうもうと上がる
タバコの煙り
僕もここらで一服

客は一心に注意を傾ける
主題のあと 間髪入れずに
アルトサックスの即興演奏が始まる
あくまでも※3クール・ジャズで展開される

観客の一人がどこからか
「Yeah!」と声を上げる

後半は朗々と歌い上げる
彼のサックスの歌心は抜群だ

絶え間なく鳴り響く
シンバルとハイ・ハット

次にピアノのソロ
カルテットのリーダーの
※4デイヴ・ブルーベック
渾身の演奏
ここらの客は
真剣にやらないと怒り出す
ブルーベックの表情は真剣そのもの

僕は肘をつきながら
グラスのバーボンを飲む

ピアノのソロが終わり
※5ジョー・モレロの
ドラム・ソロへと展開する
クールなジャズとはいえ
熱気が溢れる瞬間

「Yeah!」
観客が歓声を上げる

モレロは叩いて叩いて
叩きまくる

そして再びデズモンドによる
主題が繰り返し演奏され
哀愁を湛えて
エンディングへと

観客の拍手が鳴り響くなか
この曲を最後にして
僕はクラブを去った
マンハッタンの風を追いかけて


※1
"テイク・ファイブ"はポール・デスモンドが作曲し、デイヴ・ブルーベック・カルテットの1959年のアルバム『タイム・アウト(英語版)』に収録されたジャズ曲である。曲名の由来にもなった、珍しい5/4拍子の使用で有名である。
※2
ポール・デスモンド(Paul Desmond、1924年11月25日 - 1977年5月30日)は、アメリカ合衆国のジャズ・サックス奏者、作曲家。ウエストコースト・ジャズを代表するミュージシャンの一人。
※3
クール・ジャズ (cool jazz) とは、ビバップの反動として1940年代後半に生まれた、白人寄りの傾向をもつジャズのジャンル。
※4
デイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck、1920年12月6日 - 2012年12月5日)はカリフォルニア州コンコード出身のピアニスト。ウェストコースト・ジャズの代表的なピアニストとされている。
※5
ジョー・モレロ(Joseph Albert "Joe" Morello )はジャズの名曲「テイクファイブ」のデイブ・ブルーベック・カルテットのドラマーとして有名な人物です。また、クールでハイレベルな演奏で人気を博しました。

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