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お味噌汁と新妻と。

晩御飯の料理をしていたうちの奥さんが、突然に声をあげた。いつものことなので、私は特に気にとめなかったけど、とりあえず聞いてみた。

「どうしたの?」

「うーん、やっちゃった!」

「なにが?」

「お味噌汁を作ったんだけど、
味噌の賞味期限がね、もう3日も過ぎていたの」

「えー!ダメじゃん!食べられないんじゃないの?」

「ううん、でも、大丈夫!味噌は発酵してるから問題なし!」

*あくまでも彼女の個人的な見解です。

もうね、何て言ったらいいんだろう。自由すぎるよ。うらやましいよ。それを食べるこっちの身にもなって欲しいよ。まぁ、美味しかったんだけどね。

先日も、すき焼きを作りながらポツリとつぶやいていた。

「ありゃ、いろいろと買うのを忘れた…」

作りながらである。具材を一つ忘れた程度ならまだわかるけど、彼女の場合は「いろいろ」なのだ。しまいには「すき焼きは白菜と肉さえあれば十分!」だなんて自分に言い聞かせている。もうね、すごいよ。ゴーイングマイウェイだよ。まぁ、それも美味しかったんだけどね。

そういえば、うちの奥さんは料理をするとき、よく声をあげている。

「うわぁぁ」とか「うぉぉ」とか「わちゃぁぁ」とか。

君は北斗のケンシロウか!と思わず突っ込みを入れたくなるほど。

どうも鍋から食材をこぼしたりとか、油が飛び散ったりとか、そういうのがあってのことみたいだけど、その度に私は「大丈夫?」と一応、声を掛けてみる。

その度にうちの奥さんは、ニコッと笑ってこう答える。

「ごめんね、にぃじゅま(新妻)だからっ!」

彼女とは結婚してから随分と長い付き合いだ。
新妻はまだ、通用するらしい。

なんてね。

夫婦のショートコントでした!
(すべて実話です。やれやれ。)

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一