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バラードで泣かされたい。

私はいつも、パソコンをしながらヘッドホンで音楽を聴いている。最近、たまたまネットで見つけた杏里さんのアルバムBOOGIE WOOGIE MAINLANDを何度も聞いている。1988年のアルバムだ。

無茶苦茶懐かしい。

特にアルバムの4曲目にD.J.I LOVE YOUという曲があって、最初に”バラードで泣かされたい・・・”っていう歌詞のフレーズがあるのだけど、その最初の「バ…」という杏里さんのボーカルの入り方が力強くて美しくてたまらなく好きだ。

しまった。つい、熱が入ってしまった。

80年代の音楽って、歌う人の声がとても美しいんだよな。もちろん、最近の歌にもいい歌がたくさんあるけど、私にとってはあの頃が一番特別なんだよな。なんでだろう?まだ若かった頃のピュアな気持ちがそうさせているのかなぁ。

あれ?何を書こうとしたんだっけ?そうだ、書こうと思ったのはこのことじゃなかった。このヘッドホンのことだった。さっき、気づいたのだけど、このヘッドホン。もう、30年は使っている。

いや、ホント。しかもほぼ毎日。

確かこのヘッドホンは、昔、家電量販店に勤めていた頃に、売れ残りの某有名メーカーのヘッドホンステレオに付属されていたものだ。それを買ったわけだけど、ヘッドホンステレオ本体は、とっくの昔に壊れてしまって、このヘッドホンだけが残った。それを何気なくパソコン用のヘッドホンとして使っているわけだ。

いや、びっくりした。もう30年だよ。しかも音がいいのだ。
これはもう、奇跡といってもいいのかもしれない。

耳あてのカバーの部分がボロボロになったときには、さすがに買い替えようと思い、実際に新しい最新式のヘッドホンを買ったのだけど、全然、音が良くない。なんでだろう?不思議で仕方がない。

そう言えばちょっと昔、うちの息子が、このボロボロになったヘッドホンを使っている私を見て、うちの奥さんに「ねぇ、お母さん、お父さんに新しいヘッドホンを買ってやりなよ…」と小さく耳打ちしたらしい。

違うんだ。そうじゃないんだ、息子よ。

古いからといって、ダメってことはないんだよ。それは何にだって言えることなんだ。昔の歌が、こうして今も私の心に響いてくるように。

そうしてあの頃の心が蘇ってくる。

なぁーんだ。大人になると、まるで叶わぬ夢のように、あの頃に戻りたいなんて思うけれども、それはとても簡単なことだった。

アルバムの最後の曲、サマーキャンドルが流れている。

”近すぎて見えない奇跡があるね・・・”

そんな歌詞がとても優しい。

それはたぶん、こんなふうに、歌だったり、モノだったり、そして大切な人だったり・・・。

そのひとつひとつの出会いそのものが、
いくつもの奇跡なんだろう。


最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一