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相手軸の日本語・自分軸の英語

言葉は文化そのものだと言われます。

私がそれを実体験として思い知らされたのは、
1年間、家族でイギリスで過ごした後のことでした。

夫の留学に帯同した際
このチャンスに自分もイギリスで勉強したいと思った私は
息子を現地の幼稚園に通わせることにしました。

当時息子は3歳。
言葉が形成される大事な時期ですよね。

でも・・・(以下言い訳(苦笑))
家では私たち両親と日本語を話すのだし、
1年くらいならさほど影響は出ないのでは?
かえって、英語もしゃべれるようになればもうけ物!

そんな下心で。

ところが・・・
息子の「ある異変」に気づいたのは帰国後のことでした。

否定疑問文への反応が、
フツーの日本人とは逆になってしまったんです!!

「お腹すいてない?」と聞くと、
首を縦にふる(Yes) ので、
「ああ、まだお腹すいてないのね。じゃあ、おやつはもう少ししてからね」と言うと、
「違う!お腹すいてるんだっては!!」
というようなすれ違いが頻発。

彼からすれば、
首を縦に振ることで、
Yes, I AM hungry. =お腹がすいている、と意思表示をしたのに、
お預けを食らうという!!

そんな状況に戸惑ったという経験談をTwitter に投稿したところ、
”否定疑問文への答え方について言語学で学んだ”
とおっしゃる方がコメントをくださったんです。

その方の解説によると・・・

英語は、あくまで自分軸でYesかNoかを答える言語。

一方、日本語は
相手軸でAgreeかDisagreeかで返事をする言語だ
と。

先ほどの例文で言うと・・・
「お腹すいてない?」という問いに対し、
英語  : Yes, I am. (お腹すいてる (I am hungry. )
日本語 : はい、お腹すいてない (I agree with you.) 

ものすごく納得しました!!

常に自分軸でYesかNoかを答えるのが英語。

ところが日本語は、
相手が言ったことに対して(つまり他人軸)への
AgreeかDisagreeかで返事をするということだったんです。


ところで・・・。

日本人は議論が下手だ。
議論すると喧嘩になる。
と言われます。

その理由の一端も、ここ=思考が相手軸であることに原因があるのではないかと思い至りました!!

思考の主体を相手に置いていれば
No と言うということは、
相手の言ったことを否定するに等しい。
それでは喧嘩になって当然ですよね。

相手を否定しない&喧嘩を避けるために、
Yes, No をいうような議論を避けるようになったのが日本人のメンタリティであり、文化であり、日本語なのだとしたらどうでしょう!?

日本語を話す限り、議論はできない。
あるいは、とてもやりにくいことになってしまいます。


一方、欧米はどうでしょう?
ヨーロッパやアメリカでは、
人と違うことこそが存在意義であり
自分のオリジナルな考えが大事という文化です。

そして
自分なりの主張を論理的に伝えることは、生きていく上で必須のスキル。
主張を理論立てて論じるやり方や議論の方法を幼い頃から訓練されるのが
ドイツやフランスをはじめとする欧米各国。

そんな国々と競争や協働が求められるグローバル社会の中で、
主張の練習を重ねていない日本人は
不利な立場に置かれがち。

それが日本の国際的地位にも現れていると言えるのではないかと思ったんです。

・英語を話すと人格が変わる。
・強くなるというのも
常に主語と結論を明確にする文法構造を持つ
英語という言語の影響が大きいと思っています。

日本語も日本文化も大好きなので、
今後も大切に守っていきたいと思う一方で、

世界で不当な扱いを受けない日本人、
対等な立場で議論ができる日本人
そんな人を育てるために、
英語で主張する力はつけておく必要があると思う私です。


追伸
この否定疑問文への逆反応は
なんと小学校6年生まで続きました!!

三つ子の魂恐るべし。