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小・中#10-2: Tell me about your town.「町には何がありますか」(後)

ell me about your town."
前回は、この問いかけに児童が英語で答えられるようになることを目指して、「町にあるもの」、「町にないから欲しいもの」などについて話すための基本的な語句や表現に親しむ場面を考えました。

前回までの展開例 〔概要〕

まず施設や建物、町を説明するための英語表現に、音声から慣れしませるやり取りを行いました。最終的に児童が「自分の伝えたいこと」に照らし合わせて「選んで」使えるように、指導者が向き合う児童に合わせて用意した語句や表現を取り上げます。これらを、絵カードを見ながら機械的に発音練習するのではなく、指導者による語りかけ、問いかけの中で、少しずつ触れていくことを大切にします。

前回はまず、「慣れ親しんだ自分の町」の地図を見ながら “What’s this?” と問いかけ、「日本語ではその場所にあるものを言えるけれど、英語では何だろう・・・」と考える場面を設定しました。さらに「知らない町、架空の町」の地図を使った展開例では、指導者によるその町の解説を聞きながら、ターゲットとなる語句や表現が実際に使われる場面の中で出合う仕掛けとしました。

他にも以下のように、外来語として身近な語句などは、児童の既習表現に応じたクイズ形式で推測させることもできます。

This is a big building.  We can buy many kinds of goods there.  We can buy foods, clothes, books, gifts, cosmetics, and so on.  We can eat various kinds of dishes, such as Italian, Chinese, and Japanese.  Yes, there are restaurants and cafes there.  What’s this building?

ここで大事なことがあります。
やり取りに用いる語句や表現の導入段階から、児童には、「誰に伝えているのか」を意識できるようになって欲しいと思っています。前回の例では「ABC」というデパートの固有名詞を答えた児童に対して、"What's ABC? What do you do there?" と指導者が問いかけ、“ABC department store” まで引き出しました。

これは日本に住んで、日本語で生活していても起こり得ることです。例えば「『いろは』に行ってきたよ」と言っても、地域に「いろは書店」や「いろはスーパー」、「いろは青果店」、「いろはビル」など複数のお店や建物があれば、分かりやすく伝えようと配慮するはずです。前回の展開例では、「慣れ親しんだ自分の町」の地図を見ながら話していましたので、やり取りの参加者(児童と指導者)の間で、具体的な理解が成立していたと考えられます。

しかし、「この町を初めて訪れた外国の人に英語で説明する」という場面設定があれば、相手に分かりやすいように伝えるにはどうすればよいかを考えるきっかけとなります。これが「他者への配慮」、「相手意識」と呼ばれるもので、様々な言語活動で「目的・場面・状況」の設定が必要とされる理由にも関係しています。

前回は続いて、児童の最終的に目指す姿となる「指導者によるモデル」を提示しました。 “Tell me about your town.” と言われた時に「こんな語句や表現が使えるよ」という気持ちを込めて、様々なヒントをゆっくり、はっきり、丁寧に聞かせます。その後、“What did you hear?” と児童に問いかけながら、聞き取った語句や表現を改めて整理しますが、この時間が児童の学びを促す大切なものと考えています。

指導者によるモデル
T: I live in XYZ town. It’s my hometown. I like this town very much. We have beautiful mountains. I enjoy hiking in the mountains. My favorite place is “Green Park” in the center of XYZ. Many people come here on the weekend and enjoy playing soccer and baseball. I’m a member of the local baseball team. So, on Sundays, I spend all afternoon playing baseball with other members in this park. XYZ is a very convenient town. We have a big department store and lovely small shops near the station. We also have nice restaurants. You can enjoy many kinds of dishes. But I want a movie theater in XYZ. I like movies very much and (I) want to watch movies on a big screen.

ここからの展開として、次のように発展させることができそうです。

thumbnail_喜ぶ児童_v3

【指導者のモデルで示した内容を少しずつ取り上げ、やり取りを通して定着させる】

ここまで導入してきた様々な語句や表現を、少しずつ絞りながら、児童が自信をもって言えるようになるように「やり取り」で確認していきます。

◆まずは「お気に入りの場所」を、理由を添えて伝える

まずは児童にとっても考えるのが楽しい、「町でお気に入りの場所」を  “My favorite place [building] is ….” を用いて表すためのやり取りです。

T:   OK. Listen to me again. I like XYZ town very much. My favorite place is “Green Park” in the center of XYZ. I enjoy playing baseball there on Sundays. How about you, S1? What is your favorite place or building in XYZ?
S1:  Kagaku-kan ….
T:  Oh, your favorite place is “XYZ Science Museum.” Me too. What do you like to do there? [Why?]
S1:  Stars … miru?
T:   You enjoy watching the stars! Planetarium! That’s marvelous. Good. Thank you, S1. How about you, S2? What is your favorite place or building in XYZ?

◆少し「詳細」を加えられるように

次に、施設や建物の数や色など、細かい情報を少しずつ付け足すことに児童の意識を高めます。

T:  We have many post offices in XYZ. Can you guess how many? How many post offices (are there / do we have) in XYZ? Any idea, S3?
S3:   Seven!
T:  You think seven, S3. Good guess, but close.  A bit low.  What’s your idea, S4?
S4: Five?
T:  Well done! We have five post offices in XYZ town.
T:  I think we have one blue building in XYZ. Do you know what it is, S5?
S5:  Library!
T:  Yes! We have a very new town library in XYZ. The town library is blue. Oh, I remember.  ABC department store is brown!

◆「町に欲しい施設や建物」を伝える

せっかく「町にある施設や建物」を “We have ~.” を用いて表せるならば、「町にないもの」を考えてみると夢も膨らみ、盛り上がります。 最初は指導者が、“We don’t have ~.” の意味を児童が自然に理解できるように、文脈を豊かに伝えています。

T:  You know, I like XYZ town very much. We have a big department store. But we don’t have a movie theatre in XYZ. I want a movie theatre in XYZ.      I like movies very much and (I) want to watch movies on a big screen.  How about you, S6?  What do you want in XYZ?
S6: Pool.
T: You want a pool in XYZ. But we have one town pool near the station?
S6: Old …. New pool … I want.
T: Oh, you want a new pool, because we only have an old pool. Good idea, S6.

thumbnail_先生のモデルスピーチ

◆集大成に向けての問いかけ

以上のように、「自分が住んでいる町について分かりやすく相手に伝わる」ことを児童に意識させながら、様々な表現を少しずつ、できればクラスのより多くの児童に語りかけ、問いかけていきます。こうして語句や表現の確認を一通り行ったら、最後はいよいよ「大きな問い」を投げかけてみましょう。

Tell me about your town.

だけでなく、

What is your town like?
What do you like about your town?

といった問いを取り入れてもよさそうです。

児童にとって「問い」の理解がまだ難しい場合は、指導者の自問自答のようなイメージで 、

What is your town like?  Hmm…, my town, XYZ town is small [a small town]. We have a big park, “Green Park.” …

とモデルを聞かせてもよいでしょう。上で挙げた問いは、他のトピックでも使える構文ですので、何度か繰り返すうちに、指導者がモデルを提示しなくても、問いの意味を児童が理解できるようになります。

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今回は、英語で伝える時に「相手」を意識すること、そのためにも、やり取りに「目的・場面・状況」の設定が必要になってくることについても考えました。
スモールトークという活動は、即興的なやり取りの形で行われることが多く、なかなか「目的・場面・状況」の設定は難しいかもしれません。しかしペアの友だちに「いかに分かりやすく伝えるか」から相手意識は始まります。これは決して表現の問題だけではありません。声の大きさ、間のとり方、アイコンタクトなど「伝え方」に関わるあらゆる要素が関連します。こうした点についても、今後考えていきたいと思います。

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