ハシエンダは、イングランド北西部のマンチェスターにあったナイトクラブと音楽会場で、1980年代から1990年代初頭のマンチェスター時代に有名になった。
レコード会社ファクトリーレコードが運営していた。
クラブは1982年にオープンし、最終的に1980年代後半のマンチェスターのアシッドハウスとレイヴシーンを育てた。
ファクトリーのバンド、ニュー・オーダーの初期の成功、特に1983年のダンスヒット「ブルー・マンデー」は、クラブがかなりの損失を出しても補助金を出すのに役立った(クラバーたちがストリートドラッグのエクスタシーを受け入れ、従来のアルコール売上を押し下げたことが一因となった)。
クラブのサブカルチャーは、マージーサイドとグレーターマンチェスターの警察署長によって、サッカーのフーリガニズムを減少させると指摘された。
しかし、晩年は犯罪や財政難に悩まされ、1997年についに閉鎖された。
その後、取り壊され、アパートメントに建て替えられた。
Creation(設立)
クラブが使用していた倉庫は、ロッチデール運河の南側にあるウィットワース・ストリート・ウェストの11-13番地にあり、間口は曲線を描き、赤いアクリントンのレンガで造られていた。
クラブになる前のハシエンダは、ヨットビルダーのショップと倉庫だった。
当初はロブ・グレトンが構想し、レコード会社ファクトリーレコードとバンド「ニューオーダー」、そしてレーベルのボス、トニー・ウィルソンが主な資金源となっていた。
場所は、ウィットワース・ストリート・ウェストとアルビオン・ストリートの角で、市の中心部の端にあるキャッスルフィールドに近いところだった。
FAC 51は、ファクトリーのカタログに掲載されている正式名称である。
ニュー・オーダー、トニー・ウィルソン、ハワード(ジンジャー)・ジョーンズがこのクラブのディレクターを務めていた。
ファクトリーのグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィルの推薦によりベン・ケリーが設計したこのクラブは、2階にステージ、ダンスエリア、バー、クロークルーム、カフェテリアエリア、DJブースを備えたバルコニーから構成されていた。
階下には、ソ連のスパイだったイギリスの美術史家アンソニー・ブラントの名を冠したカクテルバー「ザ・ゲイ・トレイター(The Gay Traitor)」があった。
他の2つのバー、「キム・フィルビー」と「ヒックス」は、ブラントの仲間のスパイの名前にちなんで名づけられた。
1995年以降、この会場の地下室が改造され、より小さな音楽ホール「5th Man」が誕生した。
Haciendaの音響・照明の設計と施工は、Martin Disney Associatesと、後にAkwil Ltd.のEddie Akkaが担当した。
Name(名称)
この名前は、過激派グループ「シチュアシオニスト・インターナショナル」のスローガン、イワン・チェチェグロフ著『新都市計画のための定式』の中の「ハシエンダは建設されなければならない」に由来している。
ハシエンダとは、通常、植民地時代のスペイン文化が建築に影響を与えた場所にある、牧場や地所の中の大きな家屋のことである。
スペイン語ではセディージャは使われないが、セディージャを使うと「çi」がクラブのカタログ番号である「51」に似ていることから、「Haçienda」という綴りが選ばれた。
History(歴史)
1982年5月21日、コメディアンのバーナード・マニングが「今までクソみたいな場所でプレイしてきたが、ここは本当に素晴らしい」と観客に語りかけ、Haçiendaはオープンしたのだった。
彼のジョークは観客に受け入れられず、彼はギャラを返した。
このクラブでは、さまざまな音楽が演奏された。
最も古いものはドイツのEBMバンドLiaisons Dangereusesで、1982年7月7日に出演している。
1983年には、ザ・スミスが3回公演している。
1984年1月27日には、マドンナのイギリスでの初公演の会場となり、有名な音楽写真家ケビン・カミンズがその夜の写真を撮った。
彼女は、チャンネル4の音楽番組「ザ・チューブ」の一回限りのテレビ生放送に招待され、当時常駐していたハシエンダのDJ、グレッグ・ウィルソンがライブミキシングを担当した。
マドンナはハシエンダで「Holiday」を演奏し、そのパフォーマンスをノーマン・クック(Fatboy Slimとして知られる)は「観客を魅了した」と評した。
一時期は、美容院も併設されていた。
クラブナイトだけでなく、定期的にコンサートも開催され、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンがステージを囲む壁に穴を開けて演奏したこともあった。
この会場は、ハッピー・マンデーズ、オアシス、ストーン・ローゼズ、808ステート、ケミカル・ブラザーズ、サブ・サブのキャリアに大きな影響を与えた。
1986年には、ハウスミュージックの演奏を始めた最初のイギリスのクラブのひとつとなり、DJのヒューワン・クラーク、グレッグ・ウィルソン、後にマイク・ピッカリング(クアンド・クアンゴ、Mピープル)とリトル・マーティン(後にグレーム・パークと)が金曜日に幻の「Nude」ナイトを開催した。
この夜はすぐに伝説となり、ハシエンダの評判と運勢を好転させ、1987年初頭には赤字が続いていたのが毎晩のように満席になるまでになったのだった。
Acid house and rave(アシッドハウス、レイブ)
『マッドチェスター』シーンの成長は、当時のマンチェスターの健全なハウスミュージック・シーンとはあまり関係がありませんでしたが、1988年7月にPickeringとJon DaSilvaが主催したハシエンダのイビザナイト、アシッドハウスナイト「Hot」の成功によって、その勢いを増した。
しかし、薬物使用が問題となった。
16歳のクレア・レイトンがボーイフレンドにエクスタシーの錠剤を飲まされた後に倒れ、死亡したのだった。
その後、警察の取り締まりを受けたマンチェスター市議会は、クラブが政府の都市部再生政策に沿った「中心街の活発な利用」に寄与していると主張し、反対した。
その結果、1991年初めにクラブは短期間閉鎖されたが、同年末に警備を強化して再開された。
ハシエンダのDJは、グラナダTVのジュース、サンセット102、BBCラジオ1などのラジオやTV番組にレギュラーやゲストで出演していた。
1994年から1997年にかけて、ハシエンダFMはマンチェスターのダンスステーションKiss 102で毎週放送されていた。
特にクラブの晩年は、セキュリティがしばしば問題になった。
クラブの内外で何度も銃撃戦があり、警察や免許当局との関係も悪くなった。
1997年に地元の判事と警察がクラブを訪れた際、外の路上で18歳のアンドリュー・デラハンティが後ろから金属棒のようなもので頭を殴られ、その後、走ってきた車の進路に押し出されるという瀕死の重傷を負った事件を目撃している。
クラブが閉鎖に至ったのは、警備の不備もあるが、最も大きな原因は、その財政にあったようだ。
クラブは、アルコール販売で十分な収益を上げることができず、その代わりに多くの客がドラッグに走ったことが主な原因だった。
その結果、ナイトクラブの主な収入源であるアルコール販売で収支が合うことはほとんどなかった。
結局、クラブの長期的な未来は絶望的となり、負債が急増したため、ハシエンダは1997年の夏に最終的に閉鎖された。
ピーター・フックは2009年に、ハシエンダは晩年に1800万ポンドもの損失を出したと述べている。
Legacy(遺産)
ハシエンダは1997年6月にエンターテイメント・ライセンスを失いました。
1997年6月28日、エリオット・イーストウィックとデイヴ・ハスラムが出演した「フリーク」というクラブナイトが最後となった(最後のライブは1997年6月15日のスピリチュアライズドによるものだった)。
クラブは、アートギャラリーとして短期間営業を続けたが、最終的に倒産し、永久に閉鎖された。
ハシエンダが正式に閉店した後、マンチェスターのフリー・パーティ・シーンが主催する2つのフリー・パーティの会場として使用された。
そのうちの1つのパーティーでは、警察が建物を包囲する事態となり、パーティーは内部で続行された。
このパーティーの結果、ベン・ケリーがデザインした内装にかなりの損害が生じ、落書きがされることになった。
その後、ウィットワース・ストリート・ウエストの建物は、クロスビー・ホームズ社に買い取られた。
彼らはナイトクラブを取り壊し、家庭用アパートを建設するために敷地を再利用することを選択した。
ハシエンダの名前は、その名前と商標を所有しているピーター・フックからライセンスを受け、新しい開発のために古い名前を残した。
ナイトクラブは2002年に取り壊されたが、その少し前にクロスビー・ホームズがこの土地を取得し、2000年11月25日にナイトクラブの様々な備品や装飾品を集めたチャリティーオークションを開催している。
全米から集まったクラブファンや愛好家たちは、DJブースのボックスやラジエーター、非常口のライトなど、思い出の品を買い求めた。
DJブースは、元HaçiendaのDJでSony Music Londonの商品部長であるBobby Langleyが非公開の金額で買い取った。
Crosby Homesは、Haçiendaというブランド名を使い、「Now the party's over... you can come home」というキャッチフレーズを宣伝文句に使ったことで大きな批判を浴びた。
また、このブランドキャンペーンで物議を醸したのは、オリジナルの建物のテーマが数多く流用されたことである。
そのひとつが、クラブのオリジナルデザインの強力な要素であった黄色と黒のハザードストライプのモチーフで、クラブの主要な支柱や、後にクラブの文献やチラシの多くに取り入れられている。
マイケル・ウィンターボトム監督の2002年の映画『24 Hour Party People』では、スティーブ・クーガンがトニー・ウィルソンを演じ、ハシエンダの物語が描かれている。
この映画は2001年に撮影され、マンチェスターの工場内に仮設のセットとしてハシエンダを再構築し、チケット所有者に一晩だけ開放し、撮影中は本格的なナイトクラブ(無料バー付き)として機能させる必要がありました。
マンチェスターの展示センターUrbisでは、2007年7月中旬から2008年2月中旬まで、このクラブのオープン25周年を記念する展示会が開催された。
ピーター・フックをはじめ、多くの関係者が資料を寄贈・貸与した。
マンチェスター科学産業博物館には、クラブのメイン搬入口ドア、ポスター、チラシ、小道具など、様々なハシエンダとファクトリーの記録物が保管されている。
ロブ・グレトンは、ハシエンダの記念品コレクションを博物館に遺贈した。
2009年10月、ピーター・フックは、Haçiendaの共同経営者だった頃についての本、「How Not to Run a Club」を出版した。
2010年、ピーター・フックはThe Haçiendaのダンスフロアの木材を使用して6本のベースギターを製作した。
フレットボードはダンスフロアの板から作られたため、「ピンヒットの跡やタバコの焼け跡」がある。