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カカオの花の構造、どうなってる?
カカオ (Theobroma cacao Linne) の花のつくりをまとめました。
中学校の理科くらいの生物の知識があれば読めると思います。
上にあるのがカカオの花です。指先くらいの大きさで、木の幹に直接ついています。
どんなパーツがあるか
カカオの花は、がく・花弁・雄蕊・仮雄蕊(生殖能力を失った雄蕊)を5つずつと雌蕊を1つ持っています。
カカオという植物は現在の被子植物の分類ではバラ類アオイ目アオイ科に含まれ、アオイ科によくある「花弁が5つ」「筒状に合わさった雄蕊を持つ」という特徴を持っています。
それぞれの花弁には中央がくぼんだ器状の部分とその先から折れ曲がるように伸びた薄い部分があって、独特な形をしています。
短い雄蕊と長い針状の仮雄蕊は、基部(生え際)で交互に合わさって筒状になっています。
花のパーツは花式という式で表せます。
カカオの花式は「K5 C5 A(5+5) G」になります。
これは他の花でも同じらしいのですが花式では、Kはがく、Cは花弁、Aは雄性の組織(雄蕊とか)、Gは雌性の組織(雌蕊とか)、数字は個数を表していて上付きになっていたりします。
ここでは上付き文字に出来なくてただの数字のみになってしまいましたが、、
断面図(縦)
カカオの花を縦向きに切った図がこのようになります。
左右対称で、内側から順に雌蕊、雄蕊(と仮雄蕊)、花弁、がく、のように並んでいるのがわかります。
カカオは自家受粉をしないので雄蕊が雌蕊よりも短くて、しかも花弁に潜り込むようになっています。
仮雄蕊は雌蕊よりも長いのですが、受粉をする虫がこの仮雄蕊に止まってこれをつたって動くと、他の花でおなかに付けてきた花粉が雌蕊の先に付く、というつくりになっています。
花式図
花式図というのは、花を横(水平)向きの断面図で見たときの花のパーツの配置を示すものです(大きさなどは考慮しない)。
真ん中にあるのが雌蕊で、花式図では雌蕊の子房部分の断面を表すので、このまとまりは子房の断面図ということになります。
5つの部屋にわかれていて、その中に2つずつ胚珠が入っています。カカオのように子房の中央に軸があって複数の部屋にわかれているものは中軸胎座と呼ばれ、心皮と呼ばれる葉のようなものが胚珠を包んで輪っかになり、その心皮が複数個合わさることで部屋になっています。
この子房部分が成長するとカカオポッド(カカオの実)になるのですが、ここで5つの部屋に分かれているのでカカオポッドも5つの部屋に分かれています。
次にそれぞれのパーツの位置を見ます。
大きさは外側ほど広がっているので違うのですが、縦向きの断面図で見たように、内側から雌蕊、雄蕊、花弁、がく、となっているのがわかります。
雄蕊は葯(花粉作るとこ)の形で書くので、上の図の四つ葉のような形のものが雄蕊で、同じ列の三角形は仮雄蕊です。
雄蕊と仮雄蕊が線でつながっているのは、実際にこれが基部でつながっていることを示します。
また、雌蕊の子房の中にある胚珠と、雄蕊、花弁の位置が揃っていて、仮雄蕊とがくは位置がずれていて、隣り合った花弁同士の真ん中をとるように並んでいるのがわかります。
カカオの花は花弁だけでなくがくや仮雄蕊の存在感が大きいので、このように花弁とがくが交互に並んでいると花弁が倍になったみたいでおしゃれですよね…!
さいごに
今回はカカオの花の構造を説明しました。
まあまあ複雑な形をしていて写真だけではわかりにくいと感じていたので、こうまとめると少しカカオの生態の理解に近づいた気分になります。
実はこの花の構造が、カカオの受粉の特性に関係している部分があってこれもまた面白いので、近々この関係も書きたいなあと思います。
参考:北海道大学 露崎史朗 (TSUYUZAKI Shiro, 植物生態学・環境保全学).”Plant morphology (植物形態)”.講義・実習・演習一覧 / 研究概要 > 小辞典.(Upload on July 28 2020)
(花の構造とその表記、関連英単語等を知るのに使用しました。)
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