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webディレクター・フクイサダトモ

映画の視聴、ディナーの予約、日用品の購入、就職活動、仕事のミーティング。
日常のあらゆることがPCやスマホひとつでデジタル社会の昨今だが、そんなデジタル社会の基盤はwebサイトだ。
そしてwebサイトを構築する上で必要なポジションのひとつである「webディレクター」
一体どんな生業なのか。
その実態を探るべく、今回は在宅で働くwebディレクターの一日に密着したので、その模様を紹介しようと思う。

webディレクターフクイサダトモの拠点は東京某所の自宅だ。
以前は名古屋のオフィスに出社していたが、新型コロナの流行以降、在宅勤務としている。
24歳でこの業界に入り、今33歳になる。

ー 本日はよろしくお願いします。

「よろしく。」

朝一だからなのか愛想は良くない。
対社外への電話対応等、愛想の良さを知っていたので少し意外だった。
重い空気が現場を包む中、スタッフからの質問が飛ぶ。

ー 毎朝のルーティンなどはありますか?

「決まったルーティンはそれほどないですね。型にはめて対応できるものが少ないので。」

つまらないことを聞くな。そう言わんばかりの返答が帰ってきた。
生後9ヶ月の息子を抱きながら、slackの呼び出し音が鳴るパソコンに向かう。

10時。
フクイの一日は朝礼とともに始まる。
各ディレクターからの依頼内容を確認し、同時に自分自身のタスクも整理する。

デザイナー5名、エンジニア5名。
作業を依頼する可能性がある10人のうち、今日は3人に制作依頼している。

ー 普段どれくらいのプロジェクトを担当しているんですか?

「細かい依頼は数えたらキリがないですけど、大きくは7つですね。今は少ない方です。」

時期、案件の大きさに寄るものの、1つの案件に注力することは稀とのことだ。多いときは20~30個ほどのタスクを同時に回していくらしい。
朝礼後暫くの間はスケジュールと思しき資料を作成していた。
その間にも電話、メール、バックログ、slack等様々なツールで届く連絡も同時に処理していく。

ー 色々なことを同時にやっているように見えるのですが、 頭の整理が追いつかないこともあるんじゃないですか?一つのことに集中した方が効率も良さそうな気がするのですが…

「僕だってそうしたいですよ笑
ただ優先順位がコロコロ入れ替わるのでそうもできないんです。
確かに時々頭が切り替わらなくて、何の話だっけ?となるときもありますけど。」

同じ担当者から複数の依頼をされることはもちろん、同じクライアントでも複数の担当者がいる場合もある。当然そうなることは想像に難くない。

「まぁでも窓口は僕一人でも、手足となってくれるデザイナーやコーダーは複数人なんでね。頭となるディレクターは複数のことを同時にやらないと。
手足が待ちぼうけになってしまうので。」

降って湧いた依頼を手足となる社内に連携していく。
ただすべてのタスクを連携しているわけではなさそうだ。
さらにクライアントからの依頼内容をコピペで済ますものもあれば、
補足情報を付け足しているものもある。

ー 所謂『手足』への指示が一律じゃないですね。なにを考えて指示しているんですか?

「やっていることはそれほど難しくないです。
簡単に言えば、行間を読む、理解する、自分の言葉に変換する、依頼する、の4つです。
忙しくなってくると、その中の『自分の言葉に変換する』の部分を蔑ろにしがちなんですけど、ここをサボると理解した気になっている状態を見抜けなくて、雑な依頼になることがあるんです。」

手足となっている作業者が必要以上に、理解するための労力や時間を割くことになると生産性が悪くなる、とフクイは更に語る。

「依頼する側も、される側も、正しい業務範囲で頭を使えるように、ということを意識しています。
あとはタスクの逼迫性や依頼内容の正確性の見極めですね。鵜呑みにしないというか。
・今依頼するのか
・確定した受注内容なのか。
など、依頼内容が変更になることもザラにありますし、そもそも矛盾していたり笑
そういうのも自分の言葉に変換するというステップが浮き彫りにするので大事です。」

昼近くにもなってきたからか饒舌になってきた。
ところどころ交える笑顔からも機嫌の良さを伺える。
1日中無愛想なのかと危惧していたので少しホッとした。
webディレクターはいわば中間管理職。(と言っても社内の上下に挟まれるのではなく、クライアントと社内の人間に挟まれている。)
きっとどちらからも100%は理解されないポジションということもあり、こういった仕事の考えを吐き出せる場が少なく楽しいのだろう。

ー じゃあクライアントからの依頼の時点で、行間がなく、誰でもわかる状態で、しかも文面で依頼してもらえれば楽ですね笑

「はぁ。そうですね。」

なにか不用意な発言をしただろうか。
明らかに機嫌が悪くなってしまった。
記者なりに要約したつもりだったが何かが気に食わなかったらしい。

「どちらが早いですか?」
「行間まで文面に起こすんですか?」

インタビューをしているはずの記者にフクイが矢継ぎ早に質問してくる。

「確かにすべて文面で残すのも正確性という意味では絶対良いです。
ただ口頭のほうがスピーディーですし、交渉みたいな時にはむしろ『行間』が肝になったり、とにかく文面が正義だとは思いません。ケースバイケースだと思っています。
個人的には、『文面に書いたから良いでしょ』という考えは嫌いなくらいです。この温度感が合うと、気が合うというかやりやすいですね。
ま、ひとえに柔軟性はこのポジションでは重要だと思っています。」

なるほど。
フクイの言う事は一理あるが、機嫌が悪くなるほどのことだろうか。
文面でのやりとりが、必ずしも誰からも喜ばれる伝達方法ではない、
こともわかったが、同時にフクイは気難しい人間だということもわかった。

一通りキリがついたのか、おもむろに立ち上がり、
気が狂ったようにリモコンをかじっている息子の元へ。
両手をバタバタと動かし、父親が近づいてきたことに喜んでいる。

「パパですよ~♪何してるんですか~♪」

嘘だろ。
さっきまでムスッとしていたはずのフクイが怖いくらいにニコニコしている。テンションを一瞬にして上げる。子供というのは一種の麻薬なのかもしれない。

「一旦休憩です。
このご時世、対面での打ち合わせもめっきり減ったので、仕事で外に出ることはかなり減りました。
仕事をしながらとは言え、息子と一日中一緒にいられるのは嬉しいです。
2週間前にズリバイができるようになったばかりなのに、昨日から急につかまり立ちができるようになったんですよ!
ほんとに成長が早くて日々驚かされてばかりです。」

先程までの表情とは打って変わって機嫌よく息子を抱くその姿はとても微笑ましく、在宅勤務のメリットと共に、フクイの心の闇を垣間見た気がした。

ランチ休憩の後、再びパソコンに向かうフクイ。
午前中はクライアントとのやり取りが多かったが
一転、午後は社内のメンバーとやり取りが多いように見えた。
依頼していたもののチェックや修正依頼。
社内で校了になったものからクライアントへと提出してく。

ー 午前中と少し作業内容の毛色が違いますね。

「その日に発生した細かい依頼や相談を対応しているだけで、あっという間に1日が終わってしまうので、午後は意識的に作業時間にあてています。そうしないと大きめのタスクが進まないんです。
今日は予定無いですけど、打ち合わせとかもこの時間に入れるようにしています。」

午後になると連絡が落ち着くというわけではなく、急ぎの要件でなければ後回しにして作業時間を確保しているようだ。
ただ依頼された仕事に対峙するのではなく、案件の優先順位や手足の状況、クライアントとの関係性など、様々な事柄を考慮し最適な進め方を模索する。
webディレクターの本質はそういったところなのだろう。

朝言っていた通り、あまり忙しくないのか、1時間に一度は息子と戯れるフクイ。膝に載せながら電話をしたり、おむつを変えたり、さらには昼寝の寝かしつけまでしていた。

一番近くでフクイの働き振りを見ているフクイの妻にも少し話を聞いてみた。

ー フクイさんの働き方とか働いている様子はどう感じていますか?

「他を知らないのであまり比較はできないですけど、結構ゆるいと感じます笑
ここだけの話、忙しくないときは携帯ゲームやっているときもありますよ笑
でも忙しそうなときは朝から夜中までずっとパソコンに向き合ってるし、電話もひっきりなしです。
あまり厳しいルールは設けないかわりに、やるときはやる、という社風なのかな。
在宅や子育てに関しても凄く配慮して頂いているので、私としては凄く助かっています。
やっぱり何かあったときに在宅だと心強いので。」

概ね満足というか、少なくとも好印象のようだ。

仕事への向き合い方は個人差がある。
きっとこの働き方には向き不向きがあるのだろう。
仕事中に携帯ゲームをしても良い会社。
休むときに休んで働くときに働く会社。
どう受け取るか。
後者の受け取り方ができる人でないと、成長せず、堕落してしまう。
一度堕落すると厳しいルールがない以上、再び自分を律することは難しい。
ある意味厳しいのかもしれない。

19時、フクイはパソコンの電源を落とした。

ー お疲れ様です。今日はこれでアガリですか?

「ええ、もう終わりです。最近は時間で切り上げるようにしてるんですよ。
在宅だとどうしてもプライベートと仕事の境目があやふやになってしまうので。
ただ電話があれば基本的には出ます。メールやチャットは見るだけ。
特に在宅だと、スキマ時間とは言え日中仕事していない時間もありますし、
電話してでも捕まえようとしているってことは、それなりの相談のはずなので。」

このあたりの線引も社風が出ているのだろう。

「ただもしかしたこれからのほうが忙しいかもしれませんね笑
毎日の息子のお風呂やミルク、寝かしつけがけっこう大変なんですよ。
無事寝かしつけるまではスキマ時間もありませんし、当たり前ですけど、夜中に起きてきたら何時だろうと対応しなきゃいけないので。
一番のモンスタークライアントですよ。」

喜色満面。相変わらず子供のこととなると嬉しそうに話すフクイ。
言葉とは裏腹に、息子を見る眼差しは嬉しそうだ。

ー 最後にwebディレクターを目指している人へのエールを聞かせてください。

「どんな仕事もそうかも知れませんが、
『とりあえず』は誰にでもできる。けど、その延長に『一流』があるわけじゃない。一流になれるかは本人次第。
なので、興味がある人へのエールは
迷わずいけよ、行けばわかるさ
ですかね。」

webディレクターに夢や希望をいだいている人に向けてエールを聞いたはずが、その良さを伝えるでもなく、俺の知ったこっちゃない、とでも言いたげなフクイ。
ただその仕事ぶりや、案件の内容を知っているものからすると、
やはり、やりがいを感じられる職種であり、AIの台頭などで大きな変換期を迎えているとは言え、社会においても重要なポジションであることはしばらくは変わらないだろう。
フクイが言わないのでかわりに筆者が伝えておくが、
webディレクターという仕事は良い。しかもエイトビーのwebディレクターは更に良い。
興味のある方は是非エントリーしてみてほしい。


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