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2021.9.22 - J1 : 東京×名古屋

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introduction

東京の味スタ4連戦のうち3戦目となる本日の試合は、この連戦中で唯一の平日開催。対戦相手の名古屋が10月にACLを戦う関係で日程に余裕を持たせるため、9月のミッドウィークに前倒しで消化する。ちょうど仕事帰りのファンが来場する時間帯の京王線に乗ったこともあり、飛田給の駅前は幾分か賑わいがある。感染症対策に伴う5,000人の入場制限下では週末の試合でも駅前がガラガラなのを何度も見ているので、平日開催の方が賑わっているというのは、なんだか不思議な光景である。

試合は前述のとおり、現在3位につける名古屋を迎えての試合。東京は名古屋を勝点「8」差で追う状況であり、残り9試合という状況も考えると、本日が大一番といえるだろう。特に敗れた場合は、ACL出場権との勝点差が一気に「11」まで広がり、それは実質的にシーズン終了を意味する。慎重なゲームコントロールが要求される一戦だ。東京は横浜FC相手に4-0と快勝した前節と同じスタメン。一方の名古屋も、前節は2位の横浜Mに対して2-1と勝利しており、チーム状態は絶好調だ。特に今夏の移籍市場で獲得したポーランド代表FWのシュヴィルツォクがゴールを荒稼ぎしており、この選手を止められるかがキーポイントになる。

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1st half

東京と名古屋は共に4-2-3-1のシステム。前半はどちらも中盤を省略してリスク回避した攻撃が多く観られた。前線に収めて時間を作りたい東京とは違い、名古屋はサイドの裏に対してボールを蹴って誰かが走る感じの組み立て。両者意図するところは違うものの、リスク回避の志向が色濃くピッチに反映された緊張感のある内容だ。

飲水タイムを挟んで26分、東京は右サイドでボールを受けたアダイウトンがドリブルで中に切れ込み、レアンドロとのワンツーでフリーになると左足でシュート。ランゲラックが思いきり手を伸ばしても僅かに届かないコースを突いたシュートは、右側のポストを叩いてゴールイン。東京が1-0と先手を奪う。飲水タイム明けの「凪」のような時間帯で一気にスピードを上げたのが奏功した感じの得点だった。

この勢いで一気に行きたい東京だが、30分すぎにアクシデント発生。自陣でボールキープしていた小川が相手選手との競り合いで足を痛めたらしく、交代を余儀なくされる。代わりに中村拓海が久々の登場。対面の相手が相馬ということも考えると少し不安はあるが、どうにか耐えてほしい。

42分、名古屋はランゲラックがパントキックで左サイド裏の広大なスペースへ正確なボールを送り込むと、これに反応したマテウスがアタッキングゾーンに侵入。カバーに入った青木はイエロー覚悟のファウルで止めざるを得ず、名古屋が直接FKを獲得。これをキッカーの相馬がちょこんと横にずらし、シュヴィルツォクがパワーシュート。ボールはスクリーンに入っていたレアンドロに当たってコースが変わり、ファーサイドのゴールマウスに転がり込んで1-1。名古屋がセットプレイで同点に追いつく。

ATに東京は左サイドからPAに侵入したアダイウトンのラストパスにレアンドロが反応し、GKと1vs1の決定機。しかしランゲラックの好セーブに阻まれて得点ならず、前半終了。チャンスは少なかったが、東京はできればリードして終えたかった内容の前半だった。

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2nd half

名古屋は後半の頭から2枚替えで木本と長澤を投入。スタートの並びを見ると、木本がアンカーに入った4-1-4-1のシステムになっている。更に55分には前線2枚を代えて柿谷と金崎が入り、前線がフレッシュな顔ぶれに。これらの交代の影響か、序盤は名古屋の選手がドリブルで縦に運び、全体を押し上げてチャンスに繋げる場面が多く見られる。東京は踏ん張りどころだ。

67分、東京はディエゴ・東を下げて永井・三田を投入。すると直後の68分に自陣でのボール回収からファストブレイクが発動。ドリブルで前進した永井のラストパスに三田が抜け出すが、タイミングを外して浮かせたシュートはまたしてもランゲラックが好セーブ。更に70分にもアダイウトンがゾーンを押し込み、永井のクロスに拓海が飛び込むが僅かに合わない。交代策が実って東京の押し込む時間が続く。

しかし80分、名古屋のボール保持に対し東京がプレスをかけるところで、中谷に対してレアンドロが遅れ気味のチャージ。当初はファウルのみのジャッジだったが、すぐさまVARが介入してオンフィールドレビュー。スタジアムのビジョンにはレアンドロが中谷に肘打ちしている映像が流れ、スタンドは「ああ・・・」と溜め息。案の定、レアンドロは一発退場。残り時間が少なくなる中、東京は数的不利で戦うことになる。

長谷川監督はすぐさまアダイウトンを下げて田川を投入。田川をサイドに配した4-4-1で残り時間を凌ぐのかと思いきや、東京の並びは永井と田川を前線に並べた4-3-2。中盤を青木・安部・三田の3人の運動量でカバーし、勝ち越し点を奪いにいく狙いだ。拓海と長友の両SBの押し上げもあり、数的不利を感じさせない勢いで攻め込む東京だが、マッシモ監督率いる名古屋の守備が堅い。ATには名古屋もPA内まで攻め込むが、東京も波多野の果敢な飛び出しでのセービングなど身体を張った守備。スタンドからはシュートブロックのたびに大きな拍手が上がり、最後のワンチャンスに賭けて期待のボルテージは高まったものの、このまま1-1で試合終了となった。

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impressions

残り試合が少ない中、上位との勝点差を詰める上では厳しいドローとなった。ロースコアの展開が予想される中で先制できた以上、理想は1-0での逃げ切りだったが、セットプレイとはいえ追いつかれてしまった。後半の選手交代で再度攻勢を強めたが、ランゲラックの好セーブやレアンドロの退場などがあり、ゴールをこじ開けきれなかった。

マンオブザマッチは、文句無しでランゲラックだろう。前後半共に、決定機をことごとく阻止。今日のランゲラックから複数得点を奪うのは無理な感じだった。同点弾のセットプレイに繋がるマテウスへのロングフィードの精度も凄まじく、GKながら攻守に万能の働きだった。

レアンドロの退場は痛恨だった。6月にレギュラーに戻ってきて以来、昨季目立ったレフェリーへの抗議などはほとんど見られなかったので、成長したのかなと思っていたが・・・。大事な試合で「やっちゃった」感がある。この先、浦和・川崎・鹿島と上位連戦が続く中、複数試合の出場停止となればチームに与える影響は甚大だ。

残念な結果であることは間違いないが、内容は悪くなかった。特に今日は後方がよく踏ん張っていた。要注意のシュヴィルツォクには距離を詰めた対応で前を向かせなかったし、相馬・前田・マテウスといったアタッカー陣にも流れの中で仕事をさせなかった。長友はマテウスとのマッチアップでほぼ完勝だったし、小川のアクシデントで急遽出場となった拓海も持ち味は出していた。終盤の数的不利な状況下で2トップにする攻撃的な采配ができたのも、後ろが踏ん張れていたからだろう。

勝ち切れなかったのはシンプルに実力不足だし、それは認めるしかないが、チームが進むべき方向性は示すことができた試合だったのではないか。次節以降も上位との対戦が続くが、そこでも同じようなパフォーマンスを続けられるかどうかに注目したい。


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