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お気に入りの香水と、「あちこちオードリー」と、映画に浸りたいときにおすすめの1本。 編集部の「買ってよかった」「見てよかった」

 こんにちは、映画.com編集部です。

 木曜日は、編集部メンバーのQOLが上がった、「買ってよかったなあ」「見てよかったなあ」「行ってよかったなあ」と思うもの・ことをざっくばらんに紹介します。映画に限らず何でも自由に、という感じ。

 今回は3本立てですが、最後の記事は書き手の映画愛があふれて1200字越えの大作に。「映画に浸りたい」気分の日にオススメの“ある映画”について熱く語っていますので、最後までお読みいただけたらうれしいです。

 それではいってみましょう。

◆diptyqueの香水と「パリの調香師」

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 今回は私の好きなフランスの香水を紹介します。diptyqueのオーローズ、軽やかでみずみずしいバラの香りです。

 実は数年前にインタビューさせていただいた某ベテラン女優さんが、あまりにも良い香りだったので、失礼を承知で思わず尋ねてしまったら、快く教えてくださったブランドなのです。

 バラの香水なんて成熟した大人の女性しか似合わないだろうなあ……と、それまで試すこともなかったのですが、誰かがつけている香りに惹かれたのが初めてでしたし、その時既に30歳を超えていたので、即購入。私の1番のお気に入りになりました。数年前に刷新されたボトルは裏から見ても美しくてうっとりです。

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 どんな香水か、diptyque公式サイトから引用します。 

調香師の象徴、バラを発見する香りの旅。ピンク色のローズの花びらを摘み取ります。傷つけないようにそっと優しく。緑色の葉といくつかのトゲと、茎を加えます。蕾も忘れずに。これらすべてをきれいな水に入れ、しばらくじっと待ちます。「オー ローズ」は最も美しいダマスクローズとセンティフォリアローズのインフュージョン。花のすべてに捧げるオマージュです。

 これを読むと、香りを作る調香師という職業に興味が湧きませんか? 明日からシネマ映画.comで配信開始の「パリの調香師 しあわせの香りを探して」で、そんな知られざる調香師のお仕事がわかるんです。

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(C)LES FILMS VELVET-FRANCE 3 CINEMA

 ディオールの撮影協力&エルメスの専属調香師監修のもと、挫折した天才調香師が人生崖っぷちな運転手との交流を通して、新たな香水作りに挑む様を描いたドラマで、香りを職業にする人の並々ならぬこだわりや努力、センスはもちろん、フランス各地の美しい風景やエレガントなファッション、インテリアなども見どころです。

 近頃はコロナでなかなか外出はできないですが、素敵な映画を見ながらお気に入りの香りをひと吹きすると、贅沢な気分転換になりますよ。ぜひお試しください!

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◆「あちこちオードリー」で感動した一言

 買って良かったもの……が特になかったので、お笑い好きとして最近印象深かった番組を。

 テレビ東京で放送中のトーク番組「あちこちオードリー」に、田中みな実さんがゲストとして出演した回のことです。「大人数だと自分を出していく武器がない」と発言した田中さんに対して、オードリーの若林正恭さんが「……と思っている」と返していたのです。

 「そうなんだ」と受け止めてしまいそうなところを、「(自分ではそうだ)と思っている」と返す。「こっちはそう思っていないですよ」ということを伝えつつ、相手が自己分析済みなので否定もしない。この短い一言に、若林さんの優しさと技術が詰まっているんだと感動し、私もこういう言葉を使っていきたいと思いました。

 それから数日後、久しぶりに会った友人から悩みを聞く機会がありました。友人の自虐的な発言に対して、「若林さんのあの言葉を今使いたい!」と心の中で意気込んでみたものの、恥ずかしさからなのか、その一言が私にはとても重く、なかなか口にできませんでした。つい普通の相槌に逃げてしまったので、これからも勉強のために「あちこちオードリー」を見続けていきます。

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◆新人俳優が人気俳優を喰う瞬間 
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」

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(C)2012 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

 約8年ぶりに見て、この作品はもうちょっと認知されていてもいいなあと思ったのが、2012年製作、13年日本公開の映画「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」。

 全体的に重い空気の作品ですが、最後の5分で少し救われた気持ちになれる秀逸な脚本と演出なので、「映画に浸りたい」という気分の日にオススメです。「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランス監督による、親の罪が子にも受け継がれるという血の因果を描いたクライムドラマ。この作品には、4人の主人公が登場します。

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(C)2012 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

 1人目は、バイクのスタントマンとして各地を転々として生きるルーク。かつての恋人ロミーナが自分の子を産んで、現在の恋人と育てていることを知り、ふたりを取り戻すための金欲しさに銀行強盗に手を染めてしまいます。

 2人目は、そんなルークを追っていた新米警察官のエイヴリー。ルークの捜査過程であるミスから事件を起こし罪悪感を抱えるも、周囲からは評価され、複雑な気持ちを胸に警察の腐敗に立ち向かい、政治の道へ進みます。

 3人目と4人目は、エイヴリーの事件の15年後に出会うルークとエイヴリーの息子たち。父親たちの因縁を知らないまま親しくなりますが、あることがきっかけで真実を知ってしまいます。

 今作のメインキャラクターには、いわゆる“本物の悪人”はいません。焦燥感に駆られて間違った選択をしてしまい、後悔しながら生きる若者ふたりと、生まれながらにして背負った“宿命”から逃れられない若者ふたり、2世代の若者の異なる苦悩を前後半で分けて描きます。

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(C)2012 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

 キャストは非常に豪華で、ルーク役をライアン・ゴズリング、エイヴリー役をブラッドリー・クーパー、ルークの息子役を当時ほぼ無名だったデイン・デハーンが演じています。当時のこのキャスティングであれば、ライアン・ゴズリングとブラッドリー・クーパー世代のパートで8割の尺かしら……と思っていたので、ほぼ半分の尺でデハーンの世代の物語が中心となったときには驚きました。

 そして、そこからのデイン・デハーンがすごかった。ライアン・ゴズリングとブラッドリー・クーパーを完全に喰ってしまい、完全なデハーン劇場を繰り広げました。その後すぐに日本で公開された「クロニクル」でも圧倒的な演技を見せていて、すごい新人を見つけてしまった……!と衝撃を受けたのをいまでも鮮明に覚えています。

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(C)2012 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

 そのほかにも、ルークの元恋人ロミーナ役で、いまはライアンの妻となったエバ・メンデス、ロミーナを優しく支える婚約者役でマハーシャラ・アリが出演。ライアンとエバは、当時すでに交際を開始していた(もしくは撮影現場でいい感じになっていた)と言われており、ルークとロミーナと赤ちゃんの3人で最後の記念に写真の撮る場面での2人の切ない演技は必見。アドリブだったようですが、本物の恋心があるからあんな演技ができたのか……と思わせられる、胸が締め付けられるシーンです。

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