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#4 第一文型

いよいよ、詳細に文型のお話ができる準備が整いました。
「品詞は何個あるの?」や「(述語)動詞とは?」「第一文型の動詞は、完全自動詞?不完全自動詞?」と聞かれて、
正確に答えられない人は、#2(品詞の概要)#3(文型の概観)の記事を先に読んでからきてくださいね。
ここからは、そのあたりを分かっている前提で解説していきます。


第一文型(SV+M)

第一文型は、「主語」と「完全"自動詞"」のみによって作られる文型です。文の要素としては、S(主語) とV(述語動詞) だけあれば文として成立します。
最もシンプルな文を作ろうと思えば、理論上わずか2語で意味の通る文を作ることができます。

Money talks. (金がものを言う。)
Time flies. (時はあっという間に過ぎる→ 光陰矢の如し)
Birds sing. (鳥は歌う。)
などを例としてあげられます。

この例では、必要最低限の部品である主語も(述語)動詞も揃っていて、かつそれぞれたった1語だけで成り立っています。

しかし、第一文型で「自動詞」を用いて、SVだけで完結すると言っても、実際に会話等でそれだけで完結する文というのは、珍しい形だと言えます。
基本的に、修飾語句を伴わずにSVだけなのは、「格言(人生についての教え)」や「総称を表す文」になります。

通常は、修飾語句がない場合は、落ち着きのない響きになってしまいます。
なので、基本的には、何か修飾語を伴っている文を見ることが多いことになると思います。

例えば、中学1年生でも習うであろう以下のような例文も、
修飾語句がSVの後に続いています。

もっと言えば、
I live in Osaka.
のliveは “in” 以下を省略することは原則できません。
つまり、修飾語を省略できない動詞もあるということです。

とはいえ、どの文型になるのかを決定するのは「 S、V、C、O 」といった「文の要素」だけです。
文の要素ではない「修飾語」が凄くたくさん続いていたとしても、文型には影響しません。

#3の記事(品詞の概観)でも解説していますが、
修飾語(M)は、「他の言葉をより詳しく説明する」役割で、普通「述語動詞」の力が届かない言葉なので、「最低限必要な部品」ではないのです。

文型を正しく理解するには「文の要素」と「修飾語句」の判別が必要不可欠になってきます。
そうでなければ、その文がどの文型に属しているのか判断できません。

その判別で少しヒントになるのは、
逆転的発想で「第一文型の動詞」の直後には「修飾語」が来ることが多いということです。
例えば、I goで終わることは少なく、to〜まで続きます。
つまり、go to〜の形で見かけることの方が多いのです。「動詞」の後に「修飾語」が来ていれば、まず第一文型を疑いましょう。
しかし、疑うまでで断定はいけません。
こんな例を見てみましょう。

He explained in detail the important things.

この文では、in detailが動詞の後に入り込んでいますが、
explainedはthe important thingsを目的語にとっています。

確かに普通ではない文ではありますが、
実際にこういった例も稀ではありません。

ということで、一文読み終わるまでは、判断はできないのです。

(参考文献)
英文法総覧
ロイヤル英文法
表現のための実践ロイヤル英文法
ジーニアス英和辞典第5版
英文解釈教室

第一文型の原則的な意味

「文型というのは、同じ形のパターンを取る動詞は、「同じような意味」になることが多い」と#2(品詞の概要)の記事でお伝えしました。
つまるところ、最悪、動詞の意味がわからなくとも、文型さえ取れれば、ある程度「意味」を予測することができるということです。

しかし、第一文型においてはSVだけというシンプルさなだけに、動詞の意味を予測するのが難しいときもあります(たくさんの意味がある)。

ただ、第一文型を作る動詞のおおよその意味だけでも知っておけば、もしものときの保険にすることはできます。

さて、早速ですが、この文型をつくる動詞の意味として覚えておいてほしいのは2つだけです。
「存在」か「移動」。

この二つは、第一文型の動詞の意味のトップ2です。
肌感覚ですが、第一文型の動詞の半分以上は、この意味で処理できると思います。

さて、例を見てみましょう。

それでは、英文解釈を通じて練習してみましょう。
※カッコ内の動詞を"辞書なし"で意味をとってみてください。

A language constantly (evolves). When people (migrate) to a new destination with their language and begin to (dwell) in an unfamiliar place, non-native speakers will use and enrich the language.

さて、できましたか?
自分の解釈が合っていたか、添付されている板書で確認しておきましょう。

第一文型の動詞を読み取るのに大切になってくるのが、動詞直後にある「前置詞」です。この「前置詞」は、動詞の意味を予測する手助けになります。

というのも、英語の前置詞は、役割として日本の助詞(「に」「が」「を」など)のようなものだからです。
ただ日本語より更に動詞の意味を考える上では重要です。

理由は簡単です。
日本語の助詞には具体的な意味内容はありませんね。「に」とか「が」とか、単に音を聞いても、意味内容が頭に浮かんでくるなんてことはありません。
一方で、英語の前置詞は、その単語を聞くだけで、意味内容が頭に浮かんできます。例えば、inと聞けば「空間内」を想像できます。onと聞けば「接触(くっついていること)」が想像できます。

そのようなイメージを付け加えてくれる「前置詞」は、動詞の直後で副詞の働きになり、動詞を修飾します(#2(品詞の概要)を参照)。そして、前置詞のイメージが動詞の意味を助け、意味をさらに詳しいものにしてくれるのです。それが、第一文型の動詞の意味を予測する手かがりとして使えるわけですね。

今回の文章でいえば、
migrate (to)やdwell (in)が「前置詞」を見ることで動詞の意味を推測することができます。

migrateは"to"(右向きの矢印→のイメージ)の意味内容から考えれば、「移動」になりますね。

people (migrate) to a new destination
「人々は、新しい地に(移動)する」

migrateの意味を知らなくとも、この文脈的に「移住」や「渡る」という意味になりそうだということは予想できそうです。

さて、dwellについては、"in"(空間内の存在)の意味内容から考えて、「存在」になりそうです。

and begin to (dwell) in an unfamiliar place
「そして、見知らぬ地に(存在)し始める」

「存在し始める」を文脈に当てはめれば、
「住み始める」とか「定住し始める」とかにできそうですね。

また、前置詞はないですが、
evolveも前後の文脈から「存在」「移動」でいえば、
「移動」の「②変化」だと分かると思います。

というわけで、このようにすれば、
ある程度は単語を知らなくても予測はできます。

しかし、冒頭でも言いましたが、必ずしもすべての意味がこの二つ(「存在」「移動」)になるというわけではありません。

例えば、
I work for Google.
「わたしはGoogleで働いています。」
こんなのは、「存在」や「移動」の意味にはどう考えてもなりません。

他にも例を挙げてみましょう。
数年前に話題になったBLM運動※の合言葉の、
Black Lives Matter. 「黒人の命は大切である。」。
Black Livesが主語、Matter「大切である」が(述語)動詞の第一文型(SV)です。しかし、これも「存在」や「移動」はイメージできません。
(※ BLM運動とは?
アメリカで始まった人種差別に対する抗議運動のこと。特にアフリカンアメリカンへの不当な暴力に対しての運動。)

というわけで、お分かりいただけたように、
「第一文型だからこの意味だ!」のような決めつけはいけません。しかし、「存在」や「移動」をイメージしておくと、読解の際に役立ちますので、ある程度柔軟に対応していきましょう。

(参考文献)
英文法総覧
ロイヤル英文法
表現のための実践ロイヤル英文法
五文型の底力―ここから始まる英語理解への5つ道具
田中茂範(2019),『イメージでわかる・使える英単語【前置詞編】

最後に

さて、今回は「第一文型」について解説しました。
次回は、「第一文型」に含まれる構文の”there構文”について”情報構造”のお話を交えて解説します。

第一文型をある程度理解するためには、
そのほかの文型も学習する必要があります。

第一文型で息絶えず、引き続き頑張って着いてきてくださいね!

と、その前に、今のうちにフォロー!しておいてください!!

また、動画でも解説しています。
動画は、文章だけでは伝わらない解説を(口頭&板書にて)加えたり、
耳で覚えられる効果があったりと、便利な使い方ができると思います。
ぜひ、ご活用くださいね!!


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