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短歌「本読む子」を見つめて

 時に真剣に、時に気軽に。「読む子」の目はまるで宝石のよう。
 読書は子どもの  知の土台、娯楽の土台、情緒の土台 ―いつの時代も―と信じています。
 
※これらの短歌は以前投稿したものも含め、自分の覚書として一度、
 ここにまとめておくものです。



【カタチある本・そこにある本】

 
本棚に世界があるの いつどれを取り出してもいい自由とともに
 
来年に読むかもしれぬファンタジー 本棚の隅でその時を待つ
 
手ざわりも匂いもあって場所もとる 友のごとく在りし紙の本
 
読む本も読まない本もあっていい 懐ふかき我が本棚よ
 
積読本だるま落としのように引き オモチャのなかで寝ころび読む子よ
 
本好きの子育て十年 気づきしは 積み上げたもの嘘をつかない
 

 

【読み手の覚醒】

 
ひらがなの五十個だけで本棚のぜんぶのお話つくっているの?
 
白い紙 黒い字だけで浮かんだの 色とりどりの大冒険が
 
「どうなるの?」ページをめくる手止まらない 読書の筋肉いま鍛えてる
 
「ママの膝大好きだけどこれからは自分で読むね」という名の卒業
 
「ことばってあったかいのもつめたいのもあるんだねぇ」と気づいた瞳
 
「この場所に点あるだけで違うね」と言葉のニュアンス腑に落ちる君
 
「神様のトリは辛いの? 本で見た」語彙力上げつつ 唐揚げつまむ
※「神様のとりはからい」
 
「フィクション」てほんとじゃないのそれでもね
 胸がチクチクどんどんするの
 
「わかったの 自分で選べて楽しいの」学校図書館 楽園と知る
 
全部読み すごいと言われ「本の中 ハリーと一緒に生きてただけよ」
 
 

【日常風景】

 
母事件 長女冒険 次女ワンニャン 午後九時の布団 めくるページよ
 
待ち時間ものがたり読む一時間「はい次の方」ここどこだっけ
 

「姉のメモ」「小さなブロック」「キーホルダー」
 探せばすべて次女のシオリに
 

枕元 母にはカオス 子の言い分「我の図書館 並び変えるな」

「おどろくしかんどうするから読んでみて」子のイチオシは それ母の本
 
食べながら 寝ころびながら つい読んで 怒られながら本の住人
 

 

【親として】


探偵になりたい姉と幸せになりたい妹の好み知る
 
なに思う 伏目のまつ毛のその先の 小さなその手でめくるページに
 
眠い目をこすりつつ読む或る夜の あなたも本も生まれてよかった

本読んで雨の日過ごす君はもう世界を手にした七歳の夏

「何冊も」と同じくらいに「一冊を何度も読める」君の眼差し
 
「世界には本があるのよ気づいたの」サリバン先生の気持ち知り
 
泣きながら「幸せになる?」と本いだく
 「知りたい?」と母「・・・読んでみる」と君
 
 

【読むチカラは生き抜くチカラ】
 


文学にもソルフェージュがあればいい 文字でイメージすぐ湧く基礎力
 
「本読んでアタマよくなる?」それ結果 ワクワクできるココロがタカラ
 
好ききらい得意不得意よりも「慣れ」 体でおぼえて自転車と本
 
文字を追いよろこびかなしみ胸に抱く スマホ以前に響けと願う
 
紙と文字 本は私のスピードに寄り添い優しいと知る十歳
 
知らぬ間に「読書筋」鍛えてた我 鈍器本かるく読むチカラ持ち
 
文字で得るしみじみとしたかんどうが明日も残ってあたしをつくる


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