どんぐり食べたい
どんぐりを食べるのが、小さな夢のひとつだ。
もちろんそのままかじるのではなく、調理していただく。
子供の頃から、どんぐりが道端に落ちていると気分が少し高揚するのだ。
小さくコロンとしたボディがベレー帽をかぶっているように見える。何かのマスコットキャラクターみたいでとっても可愛い。
「どんぐりを見るとテンションが上がる」という、パブロフの犬的な条件付けがなされたのには、二つのきっかけがある。
一つは、小学校低学年の頃に教室にあった本。書名もストーリーも忘れてしまったけれど、「どんぐりはアク抜きしてすりつぶして食べられる」という内容だった。当時から食い意地が張っていた私は「ぜひ食べてみたい。どんな味なんだろう」と想像を膨らませ、胸が躍った。
もう一つは、小学生向けの歴史図鑑。縄文時代の食生活に関する箇所に「縄文クッキー」の記載があった。当時、どんぐりなどの木の実を潰して混ぜ平べったくし、食べていたという。
気が遠くなるほど大昔のご先祖様が、どんぐりをすりつぶしてクッキーを作って食べていたなんて!このときも私は「ぜひ食べてみたい」と、どんぐりへの憧れを募らせた。
「どんぐりって見るたびに食べたくなるよな。今度どんぐりで縄文クッキー作ろうや」
以前夫を誘ってみたけれど「え、嫌ですけど」と一蹴された。ほな息子が大きくなったら誘ってみるわ、と私が言うと、やめといたり、と笑われた。
縄文クッキーを作りたいのはヘンなのだろうか?と思ったけれど、学研のこんなページを見つけた。
学研さんが紹介しているのだから、ヘンなことのはずはない。むしろ、縄文クッキー作ろうアクティビティは息子の情操教育に一役買うはずだ。上記レシピでは「どんぐり粉」は買うようですが。私は自分で拾ったどんぐりで作りたいなあ。
自分一人でも叶えられる夢ではあるけれど、どうせなら家族で叶えたい。と勝手に思っている。
あと数年したら、私のささやかな夢に、息子に付き合ってもらおう。
ああ、息子とどんぐり拾ってアク抜きして茹でてすりつぶして他の材料とコネコネして焼いて食べるなんて、想像しただけで楽しい気持ち。
あ、でも出来上がったクッキーが劇的にまずかった場合、息子がクッキー嫌いになってしまうかもしれない。
それは避けたいので、事前に私一人で作ってみて味見しておくか。
「縄文クッキー作り」
私の長期的なToDoリストに、タスクが一つ追加されたのだった。
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