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月刊 俳句ゑひ 文月(7月)号

 メンバーの20句作品を月イチで発表するコーナーです。解説など関連記事をnoteやゑひ[酔]ホームページで掲載していきます。

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(ホームページでは作品が縦書きで読めます!)



メンバー作品

携帯電話でも見やすいよう5句ずつに分けていますが、作品としては連続しています。

いいね(作:上原温泉)

演奏はぼろんかづらの深きより
炎昼の口がひらいて水に鯉
子かまきり彼の死角を踏み歩く
睡蓮の煙の中を屈むなり
紫のボートが回るそれは沼

その集団動き回りぬ蛭の道
石壁に螢袋が生えてゐる
猫になるソフトクリーム受け取れば
ゆふぐれの山や実梅を捨てる捨てる
まつくらな螢に眼定めたり

天板に金魚の袋広がれり
指先はおいしい味や熱帯魚
横顔がいいね熱帯魚も君も
考への端を金魚の揺れゐたり
末つ子の眠りは深し金魚鉢

埼玉の先を見つめるバルコニー
透きとほる氷菓透き通らるるからだ
夏空へ死んでゆくなりホームラン
赤ちやんを見に行く夏が凪いでゐる
素袷の中の内腿同士かな

無題4(作:若洲至)

都心

胸元にイヤホン当たる溽暑かな
紺色の髪搔き上げてシャーベット
シャワー浴ぶテレビをずつと喋らせて
天使魚に東京見えてゐて暗い
ゼリー食ふ記録映画を一時止め

近郊

穏やかに夢で殺され土用入
犬を飼ふ余裕のなくて扇風機
ひからかさ戸塚の坂はそれなりに
関節に金属のあるプールかな
氷菓食ふ間に準急が通過せり

公団の荒き配管瓜の花
次に住む街考ふる夕端居
紫蘇千切り終へてあらかた終はりけり
夕立やホチキスの芯込めてゐて
全て忘れて雪渓の前に行く

遠郊

着せられてゐてあつぱつぱあつぱつぱ
キャンプファイヤーを程よく崩しをり
雪渓や鞄の底にあるオルファ
帰りたし誘蛾灯までくればもう
とうすみを毀す嵐の迫りをる

ご案内

これらの作品群への理解を深めるのに役立つ記事を、この記事が出てから1ヶ月の間に順次発表していきます。言葉の説明や鑑賞方法の一例は、順次公開しています。下記リンクからご覧ください。

各関連ページへのリンク

作品中の言葉の解説記事:2023/07/31公開!

「いいね」(作:上原温泉)の鑑賞記事:2023/08/03~公開!

「無題4」(作:若洲至)の鑑賞記事:2023/08/24~公開!

ゑひの歳時記「熱帯魚」解説記事:2023/08/11公開!

ゑひの歳時記「氷菓」解説記事:2023/08/18公開!

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