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イラストの変遷(2016〜2022)

2016年にイラストを描き始めて以来、量産するという経験が無かった自分だが過去のイラストファイルを振り返るといかに気分次第かつ不安定に描いてきたか気付かされた。
丸6年なんとな〜くで描いてきたわけだが、過去のイラストを改めて公開する機会というのもあまり無いだろうし、自分を省みる意味も含め当時の状況とともに時系列順にまとめてみる。
この6年間は計画性もなくかなり緩やかなスピードでの上達だったので、後々読み返したとき2022年以降の変化を確認する指標にもなったらいいなと思う。


2016年

当初はイラスト以外の用途で購入したのが、型落ちになり値引きされていたwacomのintuos。本来の目的で使わなくなり、時間を持て余していたため付属していたクリスタの体験版を使ってなんとなくイラストを描き始めた。

厚塗りのようなリンゴ

当時の記憶は薄いが、おそらくどこかで知った厚塗りに憧れて「厚塗りイラストの描き方」的な記事を参考に描いたのが上のリンゴ。
ちなみにサムネイルのひまわりも2016年に描いたもので、何も考えずなんとなく点描の真似事のようなことをしたのだと思う。

アリス・マーガトロイド(描きかけ)

キャラクターも描いてみようと思い、当時Twitterやニコニコでよく見ていたのが東方Projectの二次創作。界隈の規模も非常に大きいもので、自分自身東方を中心に同人音楽や同人誌も購入していたので、自分が描く側になるとしたらジャンルはとりあえず東方かなという動機だった。
上のアリスを見てもらえればわかるように、人体の構造や構図といった根幹の部分は特に気にせず、筆の動くままに描き、完成したらラッキーだし完成しなくても寝て忘れる、くらいの温度感だったように思う。
この時点ではイラストレーターの名前もほとんど知らないし、いわゆる神絵師と呼ばれる人も認知していなかった。そもそも自分はどんなイラストが好きか、ということすらわからなかったし気にしていなかった。そのくらいイラストに対する熱量は低いものだった。


2017年

なんかこういう服を描くのが好きだった

徐々に一次創作への興味が出始め、自分の好きな要素を盛り込んだキャラクターを描くようになった。二次創作をしてSNS上に一応いますよ……というアピールをしていた2016年とはだいぶ意識が変化していたように記憶している。
好きなイラストやイラストレーターを発見し、絵柄に反映させようと試みてみたり、ものすごくぼんやりとではあるものの自分のイラストを何らかの形にしてみたいと思うようにもなった。

自分の手の模写

覚えているのは、やたらとアカデミックな勉強をしようとしていた自分。解剖学系の参考書を図書館で借りて、楽しくもないのに頭に詰め込もうとしていた気がする。その影響か、自分の手を見ながら模写しているデータもこのように残っていた。正直、今やれと言われたら断りたくなるような人体の模写やデッサンであるが、この頃は「何はなくとも構造的な知識」という考え方に取り憑かれていた。手の表情を描けるようになるのは素晴らしいことだが、とはいえこういう練習はしんどいし何より楽しくない。こういう練習を楽しく感じられるのは自分にとっての必要性に気付き成長が快感になるタイミングだと思っている。(これを書いている今も解剖学的な座学をしたいモチベーションはない)


2018年

2018年は自分にとって分岐点となるような2枚のイラストを描いた年。

はじめて全力で描けたと思うイラスト(岩倉玲音)

1枚は上の岩倉玲音のイラスト。
この年はアニメ「serial experiments lain」放送20周年を記念したCLUB CYBERIAというイベントが渋谷のCIRCUS TOKYOというクラブで行われたのだが、自分は「ファンアートをポスターにして会場内に展示する」という企画に参加した。数々のlainファンの目に映ること、ポスターという大きなサイズであることから、全力で取り掛からねばと気合を入れて描いたイラストである。
イベント当日、渋谷に赴き初クラブに足を踏み入れた。ドリンクを注文しに行く通路に貼られた自分のイラストを見たときは満たされた気持ちになったのを覚えている。

ちなみに初めて好きになったイラストレーターがlainのキャラクター原案・安倍吉俊氏なのだが、CLUB CYBERIAではトークパートにゲスト参加されており玲音の着彩風景を見せてくれた。最前列で体育座りして眺めたのはいい思い出である。

KMNZ LITAのファンアート

もう1枚はこちらのVTuber・KMNZ LITAのイラスト。
存在は知っていたがVTuberというものを意識的に観始めたのは2018年から。KMNZは二人組HIPHOPユニットなのだが、活動開始の予告映像をTwitterに投稿しているのを見かけ、それ以来ほかのVTuberもチェックしはじめた。
VTuberとの出会いによって配信者とリスナーという関係、「ファンアート」という文化、イラストの新しい役割を知り、自分の中でも「描く」という行為の目的がクリアになり始めた。
2018年以降、自分の二次創作の主なジャンルはVTuberに変わり始めた。

絵柄に関して言うと、上に掲載した2枚のイラストには統一感を感じられると思う。2016年にイラストを描き始めて以降ずっと「みんなどうやって絵柄を決めているんだ?」と疑問だった。この頃もその疑問は晴れていないが、描いていて気持ちが良いバランスは感覚的に気付きつつあった。
具体的には、塗りは筆圧で不透明度が変化する水彩ブラシを使って厚塗り風。線画にも同様の水彩ブラシを使って1本で完結させることもあったが、線画が透けているとそこだけ濁って見えるのが嫌で、丸ペンやマーカー系で試行錯誤していたような気がする。


2019年

2019年は2018年と地続きになっているような1年だった。

lain21周年で描いたイラスト

lain20周年イベントから1年、Twitter上でも色々な場所でlainに関するファンの動きが活発だった。自分にとっても大きなポイントであり、21周年も何らかの形で祝えるなら……と思い上の絵を描いた。
当時自分は背景イラストやコンセプトアートへの興味が湧いており、背景を目立たせた横長のイラストに憧れていた。(シネマ風の上下の黒帯とかね)
見よう見まねで空気遠近法を意識したり、謎のビル、謎の鳥居を立ててみたりとにかく初めてのチャレンジだった。しかしパースや色彩の知識が明らかに不足しているのは描いている最中も痛感したことで、今見ても、もう少しなんとかしたかったと悔しくなる。(せめてパースと建造物の造形だけでもマシにできれば……)
手前の電柱、ツタ、玲音のシルエットは頑張ったんじゃないかなと思う。

画質が悪くてすみません(おそらくぼかし系フィルターのせい)

2018年にVTuberを観始め、2019年には主ににじさんじの配信を観るようになっていた。同人音楽に熱中していた2013年頃、中でも特に好きだったサークルの主催が書いた曲をにじさんじのライバーが歌っているらしい、とTwitterで知った。後に、歌っているのが樋口楓というVTuberであること、この楽曲は「ファンメイド曲」であり、(説明は省くが簡単に言えば)「お返し」の意味も込めて歌われていることを知り、VTuber特有のカルチャーにどんどんハマっていくことになる。

「樋口楓」を初めて認識した歌動画。今あらためて聴くと自分の大好きなサークル「Satanic a la mode」のサウンドにでろーんの歌が乗っていることに感動。こんなに嬉しいことが実現してしまうのもVTuber文化ならでは。

VTuber樋口楓にすっかりハマってしまった自分、ここで上のイラストに繋がる。これはでろーん(樋口楓さんのあだ名)のポケットモンスターソード&シールド実況のファンアートで、初めて配信のサムネイルに使っていただいたもの。正直めちゃめちゃ嬉しかった。
ファンアートはそのものが応援になるだけでなく、逆輸入的な文脈を構築したり、あらゆる形でVTuber文化を支えたり、ときには発展させることもある。クリエイティブにあふれていると思う。
lain20周年イベント以降、自分のイラストが何らかの役割を持つことに対する意識が芽生え、そうした役割のおかげで承認欲求に支配されることなくイラストを描けるようになった節がある。誰かに見て欲しいという欲求以上に「楽しみたい」「力になりたい」という感情が強くなった。

絵柄に関して触れると2018年→2019年でだいぶあっさりした。質感を重視したイラストを描くにしろ、職人のように何十時間も塗るのは合っていなかったらしい。細かい描き込みをせずとも必要な情報を描写することができるイラストレーターに憧れ、だんだん「全部描く」をしなくなってきた。


2020年

2020年からイラストを描く頻度が落ちていった。特にこれといった理由は無く、今になって考えれば「描き始めないから描いてない」と回答できるのだが、当時は「なんもやる気しない」「配信観たい」みたいな気持ちでイラストは横に置いていた。

思い出したように背景を描く

それでも年に数枚は描いていて、上のイラストはにじさんじ所属のVTuber緑仙のファンアート。好きなアーティストのMVを観ながら「この映像好きだな、こんなイラスト描きたいな」と思ったのと、やはりかっこいい背景への憧れが残っており勢いで描いた。人物というよりカットを描くようなイメージで、誰かに見て欲しいという欲求を忘れた完全に自己満足な1枚。需要を度外視した一方で、コンセプトを定めることの重要性は体感できたと思う。
連作イラストの構想を一瞬練っていた気もするが今は停止中。本でも作ろうとなれば2020年のラフを引っ張り出してくるかもしれない。

ロウソクが好みな感じに描けた

こちらは2020年9月に行われた委員長こと月ノ美兎の百物語配信を観ながら描いたファンアート。
配信中に描いて配信直後にイラストを投稿する、というファンアート界隈で目にするアレをやってみたくて描いたもので、どうすれば速く描けるか、どうすれば少ない手数で見映えするか、を考えた結果こうなった。
100のロウソクをエピソードとともに消していく配信、というコンセプトからヒントを得たのだが、暗闇でロウソクの灯りを浴びている、という様子はなかなかに目が錯覚を起こすもので、使っている色も極端に少ないのにシチュエーションを描くだけで見映えするものだなと驚いた。光と影の存在がいかに大切か、このあたりでようやく気付いた。
また、手前と奥にサイズ差をつけたロウソクを置くことで闇に空間を表現できた。付け焼き刃で何枚もレイヤーを重ねて描いたロウソクだが、良い光源になってくれたのではないかと思う。

絵柄は変わっているのだが、これは明らかにモチベーションと投稿頻度が下がっており描き方を忘れているだけだと思う。洗練させるのではなくいかに描かないかという、よくない手数の減り方をしているように見える。
描かなければ描かないほど苦しくなって描けなくなる。負のサイクルから抜け出すにはとにかく描くこと、考えること、楽しむこと、と最近は考えている。


2021年

実は2021年も全く枚数を描いていない年だったのだが、ここでもまた分岐点となる2枚のイラストを描いたので振り返ってみる。(ちなみに2枚とも下半期。上半期は本当に何もしていなかった)

8人どころか2人だって滅多に描かない

これは楓組(でろーんのリスナー)によって作製された樋口楓4周年記念サイト(https://maple4th.net/)に掲載していただいたもの。
2021年のこの時期は樋口さんがこんなことをしていましたよ、という出来事を1年に渡ってアーカイブできる素晴らしいサイトなのだが、自分は2021年2月末に行われた「にじさんじAnniversaryFes2021」のライブステージイラストを担当させていただいた。
3パート合計8人のライバーによるライブステージで、個人的にとても感動した思い出があったので是非描きたいと思ったのだが、ただでさえイラストを描かない生活に加え8人という人数を描けるのか不安でもあった。持ち前の根拠のない自信に頼って手を上げたは良いものの久々に四苦八苦しながら描いたイラストが完成したときは心の底から安堵した。(仮に多少提出が遅れたとしても猶予は与えてくれていただろうが、いくら主催・運営陣が寛大とはいえ98人関わっている企画に緊張感を持って挑むに越したことはなかった。)
イラストを描くうえで、8人という人数に加え構図に動きを出したり画面内で多数の色彩をコントロールするのは今の自分には難しいと考え、動きは無いものの手前・中央・奥という空間を意識した構図と陰影をたっぷり使ったイラストに舵を切った。結果、光と瞳に視線を誘導しつつ余計な色のぶつかり合いを避けた1枚に仕上げられたのではないかと思う。
限られた時間で自分に何ができるか判断し、実行の方法を組み立てることができるようになったのは大きな進歩だと感じている。

らくがきってみんなしてるらしい

こちらはイラストというよりらくがきと呼ぶほうが正しいだろう。
ただのらくがきがどんな分岐点になっているのかといえば、それはらくがきをするようになったということである。
自分にとってイラストを描く=1枚絵を完成させる、という意識が常にあり、らくがきをするという体験を全くと言っていいほどしてこなかった。そもそも気分が乗った時に一気に描きあげる不安定スタイルだったので当たり前なのだが、そんな自分がダラダラとらくがきをした。自分にとってようやくイラストがそういうものになったのだと思う。
なんとなしに筆を動かす、頭に浮かんだものを描いてみる、描ける描けないで判断する前に描く……自然にそうするまで5年かかった。
描くことを心の底から楽しいと思えるようになったのはこのらくがきを描いた2021年の年末ごろだった。


2022年

今年に入ってからは描く楽しさを失わないためにもイラスト量産を目標にしている。枚数を描くことで日々の充実を実感し、今までできなかったことに挑戦したい、そんな気持ちで今はイラストを描いている。
今年に入って描いたイラストも後学のために軽く振り返っておく。

女神のかわいいツイート

1月下旬、今年はじめて描いたのはにじさんじ所属モイラ様のツイートがきっかけだった。早朝からかわいらしいツイートをしていて、ふと軽いらくがきがしたくなったので描き始めたところ、キャンバスサイズが小さすぎて苦戦していたら3時間ほどかかってしまった。
しかしふとした供給に反応してイラストを描くのは楽しく、Twitterに投稿したところ本人からの反応も頂いた。楽しくて嬉しいのは最高だ。

なかなか描かない縦長サイズ

こちらの委員長もツイートを反映したもの。先日予定されていた、にじさんじ4周年ライブFANTASIAが中止になってしまったことで覚えた振り付けを忘れていくのがもったいない、TikTokでも始めるか、という内容だった。
実際にTikTokを始めたらどうなるか妄想してスマホの画面サイズやTikTokのUIをイメージした1枚。自然と縦長構図の挑戦になったし、久々に描いた背景はボカすこと前提に色の情報をどの程度配置すれば教室風景に見えるのか考えるのがなかなか楽しかった。

とにかくかわいい女神

最後は先週描いた、またまたツイート反映シリーズ。
1枚目のモイラ様と絵柄が違いすぎて別人のようだが、もちろんどちらも描いているのは自分で、なんならこの間2週間ほど。これは絵柄が爆速で変化しているわけではなく、1枚目はノープランかつ手癖でほぼ1発描きしているだけなのでその場で描き留めることに重きを置いた結果だと思う。つまりその時手が動かしやすかった絵柄。
また、その後の委員長と2枚目のモイラ様に関しては「こういう絵柄にしよう」という意識はほぼ無く「どうしたら魅力的に見えるか」という意識が絵柄を柔軟に変化させている。今後も描く対象の魅力を引き出す意識を核として創作活動していきたい。
(ちなみにこちらも本人から引用RTで「あひるだ!」と反応頂いた、かわいい。)


まとめ

こうして振り返ると寄り道ばかりのお絵かき人生だが、要所で熱が入るクセが目立った。(上達したかと思えば雑になったり、急に気合が入ったり)
今はその熱を保ちながら描きたいものはどんどん描いていきたいと思っている。しかしこんな人間はぼーっとしていたら何もしないまま2023年になるのが目に見えているので、そのあたりは自分をコントロールしながらうまくやっていこうと思う。
このnoteもその一環として働いてくれることに期待しているのだが、他にも色々と試していることがあり、次回の記事はそのことについて描く予定。
本日は2月14日。待ちに待ったJK組新衣装リレー配信まで1時間を切っているわけだが、しばらくは作画コストの高いであろう3人の衣装に戦いを挑むことになりそうなので更新はその後になると思われる。


この記事で自分のイラストに興味を持ってくださった方はぜひTwitterをチェックしてくれるとありがたい。(画質も荒れていないので)
7000字なんて書いたのいつ以来だろう、拙い長文で失礼。
ではまた次回。


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