私の『死にたい』はわがまま

僕はもうこの先を書きつづける力を持っていない。こう云う気もちの中に生きているのは何とも言われない苦痛である。
誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか？
【芥川龍之介・『歯車』より】

欲しい、やりたい

うつ病でいる間って、何もかもがどうであったとしても、なんの意味も価値も持たないのです。

欲しいものが手に入っても入らなくても、やりたいことができてもできなくても、そこに差はない。

興味も関心もないのですから、心が動くはずがない。
だから、何もかもに意味も価値もなく、あってもなくても、変わっても変わらなくても、自分にとって無関係。

うつ病を抜け始めた時が、一番苦しいと思います。

だって、色々なことに惹かれ、心を動かされる。
それで、自分も欲しいとか、自分もやりたいとか、そう思うようになる。

でも、絶対に、手が届かないんですよ。

何もしないから、こだわらないから、欲がないから。
お金だって、時間だって、体力だって、大して必要のない生活。

うつ病だから成立する生活。

うつ病を脱したければ、うつ病を脱すると同時に、うつ病だから成立する生活からも脱せなければいけない。

それを痛感した数ヶ月でした。

自分なんて、簡単に壊せる

先日、単発バイトをしてきました。

欲しいものがあって、ちょっとだけお金が欲しかったし。
自分を試す意味でも、ちょうど良い機会だったし。

1日だけ、7時間程度の勤務。
よくある単発バイトで、倉庫作業みたいなものです。

最初の4時間くらいまでは、そこそこ楽しくやれてました。

ああ、これなら週1,2回くらいの頻度で出来なくもないかもな、なんて思えるくらいには、楽しくやれていました。

4時間を越して、5時間に迫ってきたあたりから、よく分からなくなってきました。

まずは寒気がしてきました。
厚着していたとはいえ、季節も季節ですから汗をかいたというわけではありません。

風邪引いた時とかの寒気と同じようなものです。

それから、頭が痛いというか、意識が朦朧とするというか、ふわふわ夢心地というか、ちょっとボーッとしているような感じになってきました。
ボーッと、というよりは、放心状態の方が正しい言い方かもしれません。

でも、お仕事ですから、ボーッとしてはいられません。
だから、ボーッとしたまま心の海の中に沈み込む私を、糸で吊り上げて、現実に引き戻します。

すると、明るい視野と色々な音が、いきなり私の中に飛び込んできたみたいで、びっくりします。

ものすごく神経を尖らせて集中しないと、テープのビビビーって音とか、箱が擦れる音とか、物を流すレーンのガシャガシャって音とか、周りの全部の音が頭の中に直接響いてくるみたいで、頭が割れそうというか、私の心と体を内側から壊そうとしてくるというか。

そのまま1時間くらいお仕事をして。
途中、深呼吸をして、何度も自分を落ち着かせて。

まあなんだかんだお仕事が終わって、帰宅。

オーバードースしました。

お仕事の後半、特に最後の1時間ちょっとくらいの間、私はずっと冷静ではなかったと思います。
冷静ではない状態、パニック状態。

パニックのまま仕事をして、パニックのまま帰ってきた私は、自分を落ち着かせるために、とりあえず処方された薬を飲んで。

でも、どうにもならなくて。
パニックのまま、部屋の中をぐるぐるして。

あった薬を手当たり次第口の中に放り込んで飲んだのでしょうね、多分。

飲んだ直後、体の内側に冷水を流し込まれたような感じで、すーっと心が落ち着いて。

私の記憶では、その足で夜間の急病診療所へ向かったつもりなのですが、実際は、ODした睡眠薬の影響か眠ってしまっていたらしく、閉まっている急病診療所の前で携帯の時計を見た時は、午前6時でした。

タイムトラベル。

ここまでしなきゃ、たった数千円を稼ぐことすらできない

その後家に帰ってから、よく覚えていませんが、多分寝ました。
でも、午後に用事があったので、午後から夜にかけては出かけました。

今回の反省。
一度に働く時間が長すぎたのがいけなかったのだろうと思いますけれど。
例えば、2日連続で4時間の勤務をしたとして、私が2日とも平気な様子で仕事ができるか?と聞かれたら、正直なところ自信がありません。

私は、こんなにも働けない人間なのだと、自分に失望しました。

今回は、欲しいものがあったから仕事をしましたけれど。
実際働いた後、欲しいものがそこまでして欲しかったのかと考えると、よく分かりません。

ただ、欲しいと思わなければ良かったとは思いました。
後悔と言ってしまえば後悔になるのでしょうけれど、私としては後悔って感じよりも、心の深いところに恐怖が一つ植え付けられたような感じですね。

トラウマはこうして増えていく。

働けなきゃ、欲しいも、やりたいも、満たされない

私はまた、働くことから遠ざかるのだろうと思います。
また怖くなって、尻込みしてしまうのだろう、と。

でも、うつ病が良くなってきて、色々なことに意欲が出てきているんです。

欲しいものが欲しい、やりたいことがやりたい。

そのためにはどうしても、お金が必要です。

けれど私は、どうしても、満足に稼ぐことができない。

欲しいものを諦めて、やりたいことも諦めて生きていけば、生きていくことはできます。

でもそれって、生きていたい生き方だと思いますか?

私はわがままだから、欲しいものは欲しいです。
やりたいことはやりたいです。

でも、私は怖くて、満足に働けません。

生きてたって、自分の気持ちを諦めるばかりの未来?
それって、生きてるって言えるの?

もう、生きることに何かを見出せる気がしない。

私はわがままだから、死にたいです。

私の『死にたい』はわがまま

誰か私の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?