両者が生き続けることはできません。

こんにちは。ちょっと時間が空いてしまいましたね。

お久しぶりです。

今回は、私の好きな作家さんを紹介しようと思います。


私の好きな作家『フランツ・カフカ』

カフカという作家をご存知でしょうか?

ある日起きたら虫になっていた「変身」という作品が有名です。

好きな作家、なんて言ってみましたが、カフカの作品は一度も読んだことがありません。(おい)

作品は読んだことないのですが、「絶望名人カフカの人生論」という本は読んだことがあります。


ちなみに、この記事のタイトルは、カフカが婚約者へ送った手紙の一部です。

絶望名人カフカの人生論から抜粋させていただきました。

カフカは、あらゆることに絶望しています。

普通なら希望を感じること、嬉しくなる出来事、成功だと思うこと、何に対してもとにかく絶望しています。

本当に絶望名人なんです。


今日はそんなカフカが、唯一絶望しなかったことについて書いてみようかなと思います。


彼は何に絶望しなかったのか

ストレートに、結論から述べましょう。

カフカはある日の夜中、喀血しました。
結核という病に罹ったのです。

病気になったことに絶望したかと思いきや、それが唯一、彼が絶望しなかったことでした。


普通の人ならば、病は恐ろしいもの。

血を吐いたとなれば、パニックになる人もいると思います。

カフカだって、驚きもしたし、興奮もしたそうです。

しかし、喀血した後、残りの夜はぐっすり眠ることができ、その日はいつもより調子が良くて、仕事を終えた後ようやく、医者にかかったそう。


「ぼく」と「病気」

カフカは病気になって以来、「結核は一つの武器」といっています。

それは、病気になったことにより、今まで持っていた悩みから解放されたからです。

例えば、パンのための仕事や、大好きで仕方ない人との結婚。

もちろんカフカは、そのどちらにも絶望していました。

ぼくが仕事をやめられずにいるうちは、本当の自分というものがまったく失われている。
〈日記〉
結婚を決意した瞬間から、もはや眠れなくなり(中略)生きているというより絶望して、ただうろついているだけ。
(中略)
原因は、不安、虚弱、事故軽蔑などによるストレスなのです。
つまり、ぼくはあきらかに精神的結婚不能者なのです。
〈父への手紙〉

しかし病気になってしまった彼は、「病気だから」という理由で結婚を断ることができるようになります。

仕事だって、「病気だから」という理由で、もうできません。

こうして、今まで悩み続けていたことから解放されていきます。


さて、悩みから解放され、彼にもやっと幸せが訪れる。

と思いきや、彼はこんな言葉も残しています。

結核はひとつの武器です。
ぼくはもう決して健康にならないでしょう。
ぼくが生きている間、どうしても必要な武器だからです。
そして、両者が生き続けることはできません。
〈フェリーツェへの手紙〉

病気である「ぼく」と、ぼくを救う「病気」は、共存し続けることはできない。

この言葉通り、彼は病気に負け、命を落とします。


なぜ病気には絶望しなかったのか

冷静に考えれば、「今までの悩みから解放されたから」っていうのが正しい答えだと思います。

でも私は個人的に、もう一つ解釈をしてて。

彼は、仕事に対しても結婚に対しても、とにかく絶望していました。

なぜ絶望していたかって、人よりも頑張って、何とかその舞台に立てるからとか、恐怖と不安が自分を支配するからとか、それはもう色々。


何より、普通に憧れているのに、自分は普通ではないという自己評価が、カフカの絶望の根底にあるのではと思います。

でも、「病気で死ぬ」って、いかにも普通ですよね。

ありふれたことですよね。

だからこそ、「やっと普通になれた」って思ったのではないかな?と。


最後に:読書のすすめ

何に対しても希望が持てない人、気分が沈んでいる人、生きているのが辛い人、死にたい人…あらゆる人に、『絶望名人カフカの人生論』を読んで欲しいです。

名言+解説というだけの本ですから、サクサクと読み切れます。

私は、好きなところに付箋を貼って、気が向いたら何度も読み返しています。
それくらい好きな本です。

皆さんも是非、読んでみてください。

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