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図書館にはもったいない?

淀屋橋駅を出ると、どんよりとした曇り空だった。

ビルの谷間に古風な建造物

雨に降られても見ておきたかったのが、こちら大阪府立中之島図書館

1904年建築の図書館(1996年リニューアル)

『世界の美しい図書館』国際子ども図書館と並んで掲載されている。

PIE BOOKS編『世界の美しい図書館』(パイ インターナショナル、2014年)

「ギリシャ神殿を思わせる明治時代の名建築」(P.139)と記載されている通り、荘厳な佇まい。

右から読んで「大阪図書館」

1900年に住友家十五代当主、住友吉左衞門友純氏が欧米の富豪に倣って建物一式と図書基金の寄付を申し出たというから畏れ入る。

円形窓のステンドグラス
解説はこちらに詳しい

同じ階の静寂な資料室と館内カフェの繁盛ぶりが対照的で、今後どんな形で活用されていくのか気になるところ。

過去のニュースを見る限り、重要文化財のこの建物自体がなくなることはなさそうだが、「図書館なんかにしておくのはもったいない」との含みは気がかりだ。電子書籍化が進む中で図書館が岐路に立つのはやむを得ないとしても、これほど見事な建造物を図書館として寄贈した先人の思いを安易な商業主義で踏みにじらないよう願わずにいられない。

最新情報は公式HPで要チェック
日本銀行大阪支店旧館
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余談だが、その昔、私の両親はこの地で出会った。そのオフィスはもう壊されて存在しないが、遺された建造物から当時の雰囲気を偲ぶことができるのは有難い。昼休みになるとこの近辺を散策していたそうで、母は当時を振り返る度に結婚せずに仕事を続けるべきだったと後悔していた。なんかわかるな、その気持ち。