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半年間のプロジェクトの集大成!愛媛デジラボの最終発表会が開催されました【前編】

2023年2月10日、EHIME DIGITAL TRAINING LAB(#愛媛デジラボ)の最終発表会が開催されました!

DX推進リーダーを育てるコミュニティとして講座を運営してきたEHIME DIGITAL TRAINING LABが、約半年間のプロジェクトの集大成として開催した今回のイベント。会場には参加者や愛媛県職員が集まったほか、YouTubeでの配信も行いました。

司会はプロジェクト統括・リーダーの榎本さん

DXにおける「実行力」を育むことを目標にプロジェクトに参加してきたメンバーが、考えたDX推進企画を発表した様子をお届けします。

「日本全国で活躍するDXリーダーになってほしい」愛媛県庁 デジタルシフト推進課 高瀬浩二課長よりご挨拶

はじめに、愛媛県庁 企画振興部・デジタルシフト推進課 高瀬浩二課長より、挨拶がありました。

愛媛県が行政課題として取り組む人口減少対策とDXの重要性について触れ、DX推進リーダーとしてのリテラシーを高めてきた愛媛デジラボのメンバーが先陣を切ってデジタルシフトを進める未来への期待を述べました。

「今、愛媛県の人口は約133万人ほど。2060年には総人口が81.4万人と大きく減ることが予想されており、状況を危惧しています。

皆さんが今回の研修で学んできたデジタル技術の活用は、省力化や効率化に大きく貢献するのはもちろん、新たな事業の可能性やサービスの付加価値に繋がり、県民の生活を暮らしやすくするものです。」

「皆さんにはDXのリーダーとして各組織や地域、県全体、日本全国で活躍していただけるような人材になっていただけたらと思っています。デジラボでの経験をぜひそれぞれの職場に持ち帰っていただき、前へと進めるよう活用していただけると嬉しいです。」

人口の減少問題において、過疎化を食い止める、保育制度を整えるといった問題以外にも「現在の業務をどのように効率化して、どこで人が仕事をするのか?」はとても重要な観点です。

デジラボでの研修を通じてDXの活用法を考え抜いてきた皆さんが、さまざまなジャンル・場所で活躍する未来が楽しみですね!

個人ワークの成果を3分で発表!DXクイックピッチ

早速、発表に移ります。まずはDXクイックピッチが行われました。(ピッチとは、内容や要点を数分で伝える短縮版のプレゼンテーションです。)

前半のDX企画作成講座で取り組んだ“自社のDX企画を個人で作成する”ワークから、優秀者4名がクイックピッチを行いました。

株式会社かどや / かどやのDXは孤独じゃなくなった!社内のコミュニケーション強化&生産性の向上

宇和島の郷土料理を中心に全国で飲食店を展開するかどや。DXの取り組みを始めて3年目になるかどやでは、GWS(Google Work Space)の導入を通じて社内の境界線がなくなったことを発表しました。

「DXを取り入れる前の弊社は、コミュニケーションツールがLINEがメイン。会議はいつも対面式で、共有事項の周知が全スタッフまでなかなか行き渡らない状況でした。

最初は役員のみが利用するSlackの活用を進めましたが、社員全員が活用できるGWSを導入することで情報共有が簡単になっただけではなく、社員同士の距離も縮まりました。」

一方、DXの推進を始めたからこそ見えてきた課題にも触れました。飲食業界ならではのDXの壁にGWSだけでは対応することができなかったと述べ、これからはさらにDXツールを導入し、活用の幅を広げていきたいと言います。

「正直なところ、GWSを導入したら全てが上手くいくと思っていました。しかし飲食業界はビジネスの観点以外にも顧客管理や物品管理が必要で、それらに対してGWSだけで最適な効率化を行うのには限界があります。今はKINTONE(キントーン)の導入を考えており、これからもさまざまなツールを駆使したいと考えています。」

また、リモートワークが難しい飲食業界の働き方についても言及。働く場所や設備を充実させ、従業員の皆さんがプライベートも充実させることができる環境作りにも取り組む方針です。

「お客様により感動と喜びを与えられる事業運営を目指します」という言葉とともに、発表を締め括りました。

▼かどやの取り組みについては、こちらの記事で取材しています

西予CATV株式会社 / 5Sを契機に導入したクラウド型グループウェア

続いて、愛媛県・西予市全域を対象にケーブルテレビ事業を行う西予CATV株式会社による、情報整理・共有にDXを活用した事例の発表です。

西予CATV株式会社では「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5つのS “5S”とモラル、マナーを遵守して働くことを掲げ、事業を行っています。そのための改革の一環としてスポットライトを当てたのは、制作放送課の編集室にあるホワイトボード。

「ホワイトボードには取材先のチラシや要綱などが貼られていますが、重なっていたり情報が混在したりと、欲しい情報をすぐに見つけることが困難な状況です。

ファイリングなどの解決案が出されましたが、取材撮影や原稿を作る際にファイルから1個取り出す作業が増えて、効率の面では今までとあまり変わりません。そこで、業務担当者が共有サーバー内に取材情報一覧表を作成し、内容の欄をクリックするとPDFファイルが表示される仕組みを作りました。」

「サイボウズ Office」を導入し、社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にすることに成功。アプリ開発の経験がない社員でも、取材情報一覧表を外部から気軽にPDFで閲覧するアプリを作成し、カスタマイズすることができたといいます。

「今後は全社員を対象にサイボウズ Officeを導入し、運用に向けてトライアルを実施していきます。ホワイトボード自体も小型化、もしくは廃止する予定です。弊社のDXのこれからが楽しみです。」と語りました。

愛媛県農産園芸課 高度普及推進グループ / 新規普及職員の栽培管理技術習得におけるDX推進

次に発表を行ったのは、愛媛県農産園芸課 高度普及推進グループ。県農業職員の仕事と課題に触れ、新規採用職員に向けた研修システムをデザイン思考に基づいて企画・発表しました。

県農業職員とは、農家の方々と直接接しながら、所得向上に向けた技術系技術や経営の支援、農政課題に取り組む職員のこと。定年退職をする職員が近年大幅に増えており、ベテラン職員の減少が危惧されているそうです。

「大幅な退職に伴い採用人数を増やしていますが、ここで問題になるのは人材育成の課題です。作物の栽培状況を実際に見たり、管理方法を現地で先輩職員や農家の方から教えていただく教育システムも、このままでは行き届かなくなるでしょう。」

そこで愛媛県農産園芸課では、新規採用職員の早期育成に向けて、VR技術を利用した学習ツールによる模擬演習やウェアラブルカメラによるベテラン農家の方による管理方法の撮影を実施することを検討。これらの映像を中心とした、相互でコミュニケーションが可能なアプリケーションを作成したいと述べました。

今後、VR技術を利用した学習ツール導入の可能性や導入のための資料をどのように準備するか検討を進めていきます。

「新規採用職員を対象に、栽培管理や技術指導においてどのような点に不安を感じているかを聞いてみたところ、年間の作業スケジュールが農作物毎に違うため、何をしたらいいのかわかりにくい。収穫作業や種まきは1年に1回しか行わないため、自分の技として習得しにくいという意見が出てきました。

そこで、基本的な管理技術を感覚的に、短期間に習得できる研修システムを構築することを考えました。」と取り組みを発表しました。

大洲市教育委員会文化スポーツ課 / 大洲市体育施設 施設窓口無人化ハッピープラン〜IT活用による施設利用手続きのスマート化〜

最後に発表したのは、大洲市教育委員会文化スポーツ課です。

「大洲市の体育施設の窓口は現在、職員が一人ひとり対応を行っています。未だに紙と鉛筆でいろいろな申込書を書いていただき、現金で支払いをする。職員には英語が話せる者がおらず、日本語が話せない方が来た場合には対応ができない状況です。」

このような問題から大洲市教育委員会では、民間施設で導入されているシステムや他自治体の取り組みのリサーチやヒアリング調査を実施。最終的には窓口を廃止し、マンパワーは体育施設のソフト(コンテンツ)事業にシフトすることを企画しました。

「利用者は窓口の手続きに煩雑さを感じ、施設職員は窓口対応に時間を要します。両者の課題を解決するために、令和5年度に予約システムとスマートロックの試験導入を行い、令和6年度からは無人化を実現し、窓口をなくす方針です。窓口業務を担当していた職員には、スポーツ教室の充実など、市民サービスを向上する業務にあたってもらおうと思います。」

全員がハッピーになる仕組みを目指したDXを進める姿が印象的でした。

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DXクイックピッチはここで終了。愛媛県職員の方から「皆さんからのさまざまな事例やアイデアが大変参考になりました。愛媛県の課題にも活かしていきたいです。」とコメントがあり、DXクイックピッチの幕が閉じました。

前編はここまで。後編では、オンラインホワイトボードツール・MIROを利用したDX企画立案のグループワーク発表の様子をお届けします。

EHIME DIGITAL TRAINING LAB
愛媛県が運営する、官民共創型DX推進リーダーを育成するコミュニティ「EHIME DIGITAL TRANING LAB」(#愛媛デジラボ)。約8ヶ月にわたってラボの運営スタッフや講師の伴走支援のもと、DX推進リーダーに必要な「知識」「実践力」そして「デジタルツールの活用力」を習得していく実践型のスクールコミュニティです。 「みんなでDX」を合言葉に日々の様子を有志のラボメンバーで発信しています!

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