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ゆかりアーティスト03 阿部一成

 こんにちは。フルートに憧れて吹奏楽部へ入部するも全然音が鳴らなかった、note更新担当のたぬ子です。結局、木管楽器は全滅で金管楽器担当になりました(笑)

 今回紹介する“篠笛(しのぶえ)演奏家”の阿部一成(あべ かずなり)さんも、篠笛を始めて最初の1ヵ月程は音が鳴らなかったそうです。
 取材の中で、「最初から簡単に音が鳴らなかったおかげで、今でも篠笛を続けているのではないかと思います。もし、簡単に吹けていたら興味がなくなっていたかもしれないですね。」と話してくださったのが印象的でした。

[プロフィール]
■氏名(ふりがな)
 阿部 一成(あべ かずなり)
■ジャンル
 篠笛(しのぶえ)・和太鼓の演奏、作曲、演出。様々なジャンルとのコラボレーション。
■経歴
 太鼓芸能集団『鼓童』に14年間在籍。独立後は、生まれ故郷の愛媛県新居浜市を拠点に国内外で演奏活動を展開。ヨーロッパを中心にコンテンポラリーダンスや現代サーカスなどの舞台へも多数出演。被災地、神社仏閣などでの奉納演奏も精力的に行う。世界32ヶ国で演奏。2枚のオリジナルアルバムを発表している。


太鼓の世界≒ヘビメタ…?

IMG_3931 太鼓の世界≒ヘビメタ…?

―和の音楽に興味をもたれたきっかけはなんだったんですか?

 音楽自体に興味を持ち始めたのは、中学校の音楽の授業で見たビートルズの映像がきっかけです。そこから70年代イギリスロックを聴き始めて、キング・クリムゾンやピンク・フロイドなどのロックと他のジャンルが融合するような音楽が好きになりました。その後、大学の時に民俗芸能サークルのパフォーマンスを観て、洋楽とは違う全然知らない世界をとても新鮮に感じ、そこから日本の音楽に興味をもちました。
 “ドンッドンッ”と身体の奥に響く太鼓の演奏とヘビーメタルの世界感や、祭りの喧騒とロックの絶叫って結構似ているんじゃないかなと思っていて、洋楽に興味をもったまま日本の音楽も好きになったという流れですね。

自分にとっての原風景

IMG_0029 生まれ故郷に住んでみたい

―独立後の拠点として、新居浜市を選ばれたのはなぜですか?

 生まれが新居浜市で、育ちは東京なんですけど小さい頃は、祖父母がこちらにいたので正月や夏休みには帰ってきていました。当時は子どもなので「安らぐ」という言葉では感じていなかったんですが、川や山が近くにある景色をみて“ほっ”とする風景だなと感じていました。
 大人になり太鼓芸能集団の『鼓童』から離れる時に、子どもの頃目にした新居浜市の風景が自分の中に残っていて、「生まれ故郷に住んでみたいな」と思い新居浜市に住み始めました。こちらには同級生も含め知り合いが本当にいなかったんですけど、ありがたいことに笛を通して色々なご縁を頂いて今の活動に繋がっています。

―新居浜市の風景のお話が出てきましたが、おすすめの風景はありますか?

 一番は自宅から見える風景ですね。山が近くにあり抱かれるような安心感と、目の前の川を通る風の爽やかさを感じることができます。この風景は子どもの頃の懐かしさもあり、自分にとっての原風景かもしれないなと思っています。

自然の音を目標に

IMG_4118 自然の音を目標に

―山や川といった自然を大切に思っていらっしゃるんですね。

 篠笛は、竹という自然の素材を使用して作られているシンプルな構造の楽器なんです。もちろん職人の技術や工夫もありますが、根本的な構造は昔から変わってないと思うんです。
 その篠笛の魅力の1つが、自然の素材ならではの音色なんじゃないかなと思っていて、山での演奏や川のせせらぎの音と一緒に演奏していると、本当に合っているなと思います。自然の音は作為的でもなく耳に心地よいので、そういう音を目標にして演奏していけたらいいなと思っています。

土地に秘められた力と音楽

IMG_4009 土地に秘められた力と音楽

―屋外で収録をされることもあるとのことですが、ハプニングや困ったことはありましたか?

 スタジオで録音した楽曲に、その曲の元となる波の音を重ねたくて海に行ったんですが、ちょくちょく漁船が通っていて波音の間にモーター音が入ってしまったんです。楽曲のイメージが”太古の海”なので、違うなと思いしばらく録音し続けました(笑) 他にも、人が近くを通って話し声が入ってしまったり、草刈り機の音が鳴りだしたので止まるまで30分程待ったこともあります(笑)
 海外公演中のオフ日に1人で収録にでかけることもあるので、音質にこだわる人が聴けば「音質が悪い」と思うかもしれないですけど、演奏中に感じた”土地に秘められた力”や風の音、鳥のさえずりを聴き手に伝えたいと思い”その場所で録る”ということを重視しています。

笛を吹くことが健康の秘訣!?

IMG_4125 笛を吹くことが健康の秘訣!?

―健康管理で気をつけていることはありますか。

 『八段錦』という体操を、篠笛スタジオ生の皆さんと一緒にほぼ毎日やっているので、これが一つ健康管理になっているのかなと思います。他には、食べ過ぎると身体がしんどくなったり、頭の働きや感覚も鈍るように感じるので、少し前から朝や昼を抜いて二食にしたり日によっては一食にして食べ過ぎないように気をつけています。
 あとは、笛を吹くこと自体ですかね。腹式呼吸は内臓のマッサージにもなりますし、笛を吹いている時間が長いので、たまにしているサイクリングや、ランニングよりも日常的に行っている“笛を吹く”ということが、健康管理になっているのかなと思います。

篠笛を通して心と呼吸を考える

IMG_4054 篠笛を通して心と呼吸を考える

―今後、愛媛県で新しくしてみたいことやチャレンジしたいことはありますか?

 愛媛県に限らないんですが、篠笛は日本の楽器なのにあんまり知られていないので、学校公演やコンサートを通して広めていければと思います。皆さんが篠笛の演奏家になる必要はないんですけれど、学校の授業でリコーダーを習うように篠笛も体験し、もっと多くの方に知っていただきたいです。
 また、篠笛は呼吸がそのまま音になる楽器なので、演奏していると呼吸の事を嫌でも考えるようになるんですよね。良い音を出すには安定した呼吸が必要。そして、安定した呼吸には安定した心が必要というように”音・呼吸・心”は繋がっているので、心がざわざわしていたり緊張しているとなかなか良い音にならないんです。こういう、呼吸や心の事も含めてより穏やかな時間を共有できる体験やコンサートなどをたくさん開催していけたらいいなと思っております。

絵しりとり ね○

IMG_0277 絵しりとり

―前回の方が、この絵なんですが…

 「ねこ」ですね。

―そうです。ねこです。ですので、「こ」から始まる言葉をお願いします。

 「こ」か…。これ何描いたか分かります?

―新幹線の名前にもなっているアレですね。

 そうです。それです!

IMG_0285 絵しりとり(完成)


 たぬ子の要領を得ない質問にも終始にこやかに答えてくださる、とても優しく和やかな雰囲気の阿部さんでした。今回初めて篠笛を目にし触らせていただきましたが、本当に竹そのものでこの竹からあんなに素敵な音色が出るのかととても驚きました!
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