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小雪と私の日常はこれからも続いていく #いい部屋ペット

どんな場所にもついてきてくれた

フリーライターの川俣綾加です。別名義は「岡田モフリシャス」。
「怒り顔の猫・小雪」を覚えている方、お久しぶりです。

大学を卒業し、東京で働き始めた2006年。仕事にも慣れた12月に、愛知県まで小雪を迎えに行きました。一緒に帰る電車の中で小さな小雪が「にゃー」と鳴くと、車両内のどこからか「猫ちゃんがいる!」と子どもの声が。

ふふふ、その猫ちゃんは、私の膝の上(のキャリー中)にいるよ。
なぜか得意気な気分になって家に帰ったのを覚えています。

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暮らし始めた初日。猫は見知らぬ場所を警戒し、なつかないもの……という予想に反して、私が座れば膝の上に乗り、ベッドではぴったりくっついて寝てくれたのがたまりませんでした。
人見知りをせず、穏やかな性格で、甘えん坊。私はベッタベタにくっついてくる小雪の飼い主ではなく下僕になってしまいました。

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当時の私は、アパートの更新ごとに引っ越しをしていました。就職する前は、大分県・別府市で大学生。就職して横浜に住み、東京は世田谷、阿佐ヶ谷、国立。今思うと、猫には負担になっていたかもしれません。でも、どの部屋でも小雪はすんなりその場所になじみ、初日からまったりくつろぐ姿を見せてくれました。

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結婚してしばらくしてから、再び横浜に住むことに。小雪は新居の匂いをチェックし、ピカピカの床の歩き心地を確かめ、居心地のいい場所を見つけてまったり。今もこの部屋に住み続けています。

2016年4月、小雪は病気で逝ってしまいました。9歳だったので、猫の年齢では若くはありませんが、もっともっと一緒にいられるはずでした。闘病も半年と、あっという間でした。今も床に触れれば「あの子がふわふわの体をゴシゴシこすりつけた場所はこの辺だったかな」と思い返すことも多いです。
部屋のそこかしこに、ふと今も「あそこに座っていたな」「ここで寝そべっていたな」ともふもふな影を追っています。

孤独に寄り添う

フリーライターの仕事をしていると、どうしても徹夜で作業を進めないといけない時があります。家族が寝静まったあと、仕事部屋にふらりとやってきた小雪。

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机の上に「ででん!」と香箱座りしてまどろんだり、ごろんと横になって手にじゃれついてきたり。孤独な作業、疲れと眠気、終わらせなければならない焦り。色々なものを背負いながら走り続けるのと似ています。そんな時、マウスに乗った私の右手にふわっと当たる、小雪のモフ毛。プニプニの肉球のサービスも。

リビングで横になって、TV画面を見ているとお腹に乗ったり、一緒にごろんと横になり体をぴたっとくっつけてきました(冬季限定)。喉のゴロゴロ音、伝わる振動、小雪と一緒に何もしない時間が静かに流れていくのが好きでした。

小雪の体に顔を押しつけると、あたたかくてメープルシロップのような香りがしておいしそう。でも嫌がられて逃げちゃう。

冷水に浸かってブルブル凍えているところに、ドバドバお湯を注ぐような時間。このちょっとしたモフモフタイムが人生には大切なんですよね。

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3年半ほど前には、家族に息子が加わりました。小雪がいた頃とは比べものにならないくらい大暴れ、部屋は荒れ(笑)、翻弄される毎日。あの静かな時間は当面来ないだろうけど、今も時々「小雪がいたら、子どもとどんな風に遊んでいたかな」と想像する時があります。

愛猫との未来を想像し続ける

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小雪がいなくなってもうすぐ5年。「小雪が小さな赤ちゃんを見たらどう反応していたかな」「歩くようになった子供を見て驚いたかな」と、あったかもしれない未来を想像することが実は楽しい。

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部屋の中でふと視線をやったテレビ台の前でくつろいでいたあの子。見下ろせば床の上で笑っているような表情でまどろんでいたあの子、キッチンにいればカウンター越しに覗きこんできたあの子。

「亡くした愛猫の話」といえば悲しい響きになりがち。でも、思い出す度に、ふと手にもモッフリあたたかな感触が蘇って、また心にお湯を注がれているような感覚になるのです。

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今は猫の写真を投稿することもなく、SNSは仕事用のものしか運用していません。たとえ他の人から見えなくなっても、猫と飼い主の日常はこれからもずっと続いていく。それは誰からも覗き見ることのできない私と小雪だけの日常が、この部屋の中で生き続けています。

SNSでみなさんとやりとりしていた頃とは正反対の、猫と私の現在。小雪をきっかけに出会った人とは今も縁が続いているし、こうして猫のことを書く原稿の依頼が来ることも。
小雪の爪痕がずっと残っていくことが嬉しい。

愛猫との生活を楽しんでいる最中のみなさんにも、いつかはお別れの時が訪れるでしょう。でも、めいっぱい愛してかわいがって、大切にした日々は消えません。猫の一生を大切にすることは、人間である私達の一生を大切にすることでもあるのです。

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