見出し画像

犬のしつけって難しい?老犬になってもトレーニングがやりがいになる #いい部屋ペット

「犬のしつけ」は、オスワリやフセを教えることだけだと思っていませんか? 筆者の私も初めて犬を迎えたとき、いろいろな指示を熱心に教えました。その結果「オスワリやマテは上手だけど私に噛みつく犬」になったのです。幸いにもドッグトレーナーに出会って軌道修正できましたが、一歩間違えたらどうなっていたのかなと思います。

画像1

しつけは犬と飼い主が一緒に楽しく学ぶ時間

飼い主さんと犬との暮らし中の困りごとを解決し、より良い関係をつくるのがしつけではないでしょうか。私は愛犬が10歳目前になってから再びしつけ教室に通い、老犬になっても楽しめるトレーニングも教えてもらいました。しつけの方法に迷走したころから、楽しみを見つけるまでの出来事をお伝えします。

オスワリはできるのに噛みつきが直らない

15年ほど前、念願の甲斐犬の子犬を迎えてジュウザと命名しました。楽しいドッグライフのスタートのはずが、翌日から痛すぎる噛みつきが始まりました。しつけのセオリーでは「無視をすればやめる」はずなのに……。他にも「犬が落ち着くまでひっくり返して抑える」と書かれていましたが、ジュウザは30分経っても落ち着きません。忠犬になるべく英才教育をするつもりでしたが、しつけ本のようにうまくはいかないものです。

一方、ジュウザはオスワリやフセ、マテなどの指示は着々と覚えていきました。これは「おやつで誘導してほめて教える」というしつけ本どおりの方法で成功。食いしん坊だったのも功を奏したようです。でもオスワリができる犬よりも、噛みつかない犬のほうがうれしい。思い切ってしつけ本の出版社に問い合わせたところ、著者から返事があってしつけ教室を紹介されました。

画像2

楽しそうに噛みつくので困った

初めてのしつけ教室にドキドキしながらジュウザと出かけると、憧れのジャーマン・シェパード・ドッグを従えたドッグトレーナーがいました。ダメ飼い主の私とダメ犬のジュウザとは大違い。「ひっくり返しても落ち着かない」という悩みを伝えたら、「マテで落ち着けるなら十分です」と言われて驚きました。

ジュウザはダメじゃなかった!目から鱗を落としながら喜んで帰宅。でも相変わらず噛みつきは解決しません。遊んでいるときに噛まれ、足を拭くときに噛まれ、散歩のリードを噛まれ、どんどん悪化。でもオスワリ、フセ、マテの指示はどんどん上達。そうじゃないんだ、どうしたらいいんだ。

画像3

人に対してはフレンドリーで、マッサージをしてもらうのが好き

犬の気持ちがわかると悩みも楽しくなってくる

動物病院へ行ったときしつけに悩んでいることを伝えたら、甲斐犬の飼い主さんを紹介されました。同じ犬種を飼っている人から学んだほうがいいだろうと考えてくれたのです。先輩の飼い主さんは指示を教えることではなく、犬の気持ちを考えることや上手な付き合い方を説明してくれました。噛みつき=攻撃とは限らないのです。

ジュウザの場合、遊ぶときに噛むのは楽しいから、足拭きのときに噛むのは嫌だから、散歩のときにリードを噛むのは思いどおりに進めないから。犬のことがわかってくると、悩みさえも楽しくなってくるものです。でもジュウザの気持ちはわかったけど、解決方法はわからないまま。脱・ダメ飼い主を目指してしつけ教室に通うことにしました。

画像4

野原ではロングリードに変えて行動範囲を広げてみた

しつけ教室を選ぶのがこんなに難しいとは

家から近いしつけ教室に「噛みつきを直したい」と体験レッスンを申し込んだところ、なぜかツイテ(脚側行進)の指導をすることに。ジュウザに向かって「後へ!後へ!」と言っているうちに1時間の授業が終わりました。もちろん継続しません。別の近所のしつけ教室に行ったら、「犬が落ち着くまでひっくり返して抑える」とのこと。あれ、最初に戻った?しつけ教室はどこでも同じと思ったのが大きな間違いでした。

先輩の飼い主さんに愚痴を言ったら大笑いされ、甲斐犬を飼っているドッグトレーナーの出張しつけ教室に誘われました。同じ犬種を飼っていることもあり、一つひとつの悩みに的確にアドバイスをしてもらえました。噛みつきを叱らないこと、噛みつかせない工夫をすること、嫌がることを無理強いしないで慣らすこと。

この出張しつけ教室は1回限りだったのが残念でしたが、それでも学ぶことが多い時間でした。ジュウザが生後9カ月になったころ、私はようやく脱・ダメ飼い主の一歩を踏み出せたのでした。

画像5

ジュウザは迷走する私によく付き合ってくれたと思う

1歳までは良い子だったのに……

甲斐犬を飼っているドッグトレーナーのアドバイスのおかげで、私の悩みは解決していきました。1歳を迎えるころには噛みつきが収まり、歩調を合わせて散歩もできるように。私がいけばなのお稽古をしているときには1時間経っても落ち着いて待っているほど。「一代一主」の忠犬も目前と思いましたが、それからしばらく経って我が強くなってきました。

噛みつくことはないものの、散歩のときにぐいぐい引っ張ったり、いけばなのお稽古の最中に吠え続けたり。後から知ったのですが、多くの飼い主さんは「1歳までは良い子だったのに」と言うそうです。日本犬は自立心が強いこともあり、自分のやりたいことを優先します。それが我の強さにつながるのでしょう。「犬は人間にとって都合の良い生き物ではない」と実感しました。

画像6

「フセ」の指示でなぜか私の足を踏んでドヤ顔

ジュウザが1歳5カ月になったころ、私はペット雑誌の出版社に転職しました。動物の専門家への取材を通してしつけの方法を学び、自分とジュウザに還元。まさに趣味と実益を兼ねた職業です。ジュウザが散歩のときに引っ張ることなども、専門家の見よう見まねで困らない程度にはなりました。

10歳目前に、再びしつけ教室へ

毎日散歩に行って、遊んで、ごはんを食べて、折り合いをつけながら暮らしているうちに月日は流れます。ジュウザが10歳を目前にしたころ、「老犬になってもやりがいのようなものがあったらいいな」と思いました。そこで再びしつけ教室に行こうと思い立ったのです。

「今さらしつけ?」と思うかもしれませんが、しつけ教室は暮らしの悩みやトレーニングだけでなく、老犬でも無理なくできる遊びやスポーツも教えてくれるのです。ジュウザとは「フリースタイル」という犬のダンスのような技や、隠したおやつを見つける「ノーズワーク」に挑戦。12歳になっても課題をクリアするたびに目を輝かせていたジュウザを思い出すと、食いしん坊だからというだけでなく、やりがいも感じていたはずです。

余談ですが、しつけやトレーニングのごほうびには、手で簡単にちぎれるおやつが使い勝手がよくておすすめ。ジュウザは卵と小麦粉と少量のハチミツで作った手作りパンケーキがお気に入りでした。

画像7

12歳になっても食いしん坊なところは健在だった

私は現在、2代目の愛犬サウザーと暮らしています。ジュウザのしつけに迷走したことを繰り返さないように、迎えてすぐしつけ教室に参加。犬と一緒に暮らすだけでも十分楽しいのですが、一緒に学ぶ機会があると毎日がもっと豊かになると感じています。犬のしつけに悩んでいる飼い主さんはもちろん、「なんだか物足りないな」と思っている飼い主さんにもおすすめです。

プロフィール
金子志緒/ライター・編集者
レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作に携わる。主な取得資格は愛玩動物飼養管理士、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のジュウザに続いてサウザーを迎え、おもしろおかしく暮らしている。
ブログ:https://www.shimashimaoffice.work

*  *  *

ペットも人も、お互いに、幸せに。いい部屋ネットは、それぞれの暮らしのレベルアップを応援しています。「#いい部屋ペット 」のハッシュタグでは、本記事へのご感想や、皆様のペットへの想いを集めていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。

いい部屋ネットのペット可物件特集

画像8