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旧占領地の切手を買う

日本国際切手展の切手商ブースで日本の旧占領地の加刷切手を少し買いました。

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1枚で何千円とか何万円する切手を取り扱っているお店で50円とか100円の買い物ばかりしてて大変申し訳ないのですが、ここのお店の人は親切で私のド素人質問にもいろいろ丁寧に答えてくれました。

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イギリス領マラヤ(今のマレーシアとシンガポールの辺り)の切手に、マラヤを占領した日本が「大日本郵便」と加刷したもの。さらに消印済み。この事務的な明朝体が気に入ったので買いました。
Straits Settlements は「海峡植民地」。19世紀から20世紀前半にかけてのマレー半島におけるイギリスの植民地のこと。

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日本が占領地ビルマ(現ミャンマー)のシャン地方で発行した切手に黒字でビルマ文字を加刷したもの。現地の人が読めるように、ということなのかな。
ビルマ文字についてはアラビア文字以上に全く何も分からないんだけど(アラビア文字が分からない件についてはこちら)、頑張って解読しました。

ဗမာနိုင်ငံတော် ၃၀ ဆင့်။
これでたぶん「ビルマ国 30セント」と書いてあるみたいなんですね。最初あまりに分からなくて、「シャン」と書いてあるし、もしシャン語だったらお手上げ(Google翻訳にもシャン語はない)だなと思ったんですが、検証した結果、たぶんビルマ語です。

ビルマ語にはビルマ数字という特有の数字があるそうで「၃၀」これが「30」です。一番最初に解読できたのがここ。数字バンザイ。
ちなみに最後の「။」は句点らしいです。ここにも句点が必要なのか?

※2021.09.01 追記
ビルマ文字を加刷したのは元々シャン地方切手として発行されたものをビルマ全土で使用することになったからだそうです。郵便学者・内藤陽介先生のブログより。

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中華民国郵政名義の切手(両方とも孫文かな?)に日本が加刷して使用したもの。黒文字は「華北」と書いてありますがこれは「山東」とか「蒙疆」とかもありました。地域ごとに切手を分けていたんですかね?(分からない……)
赤文字は「参戰一週年紀念」とありますね。この赤文字もいくつかバリエーションがあって「満洲國建國十週年紀念」などもありました。

※2021.09.01 追記
戦争の長期化で中国の各地域の通貨事情が変容し、全土で同じ切手を使い続けることに無理が生じたために地域名を加刷して使い分けたということだそうです。こちらも郵便学者・内藤陽介先生のブログより。

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今回一番面白いなと思った切手はこれです。フィリピンの切手に黒塗りされたもの。このままだと読めないんですが、

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傾けてみたら黒塗りの下が透けて見えました。上段は UNITED STATES OF AMERICA と書いてあります。元はアメリカ統治時代のフィリピン切手ですが、フィリピンを占領した日本が「アメリカ」部分を黒塗りしたんですね。(と、お店の人が教えてくれました)
この真っ直ぐに引かれた黒い線。手書きではないでしょうが、いかにも黒塗りらしい黒塗り。

そういえば、こういう類いの切手を取り扱ってるお店で探したい切手があったのにすっかり忘れていて探せませんでした。今度からはちゃんとリストを作っておかなくては。


以前書いた切手の話はこちら。

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