60〜70代の持ち家比率は9割ってホント?変化する持ち家率
以前、こんな記事がありました。
60〜70代の持ち家比率は9割…定年後の生活費が「月30万円弱」まで低下する理由
生活費が下がる理由は、持家のローン完済が終わるから、という話です。老後のことを考えると、持家に軍配が上がるのか、、ということを考えさせれますが、今日はこの持ち家率について今日は話しましょう。
結論、過去から今に向かって、世帯ごとの持家比率というのは下がっています。
結構な勢いで落ちていますね。特にバブル期前の25-29才の持家比率高いですよね。約20年前の1993年と2018年を比較すると、25-40歳世代でそれぞれ15%くらい落ちているようです。
さて、このグラフでいうと、「持家ってトレンドじゃないよねー」という風にも捉えられますが、本当でしょうか?考えてみたいと思います。
思うのが、未婚率の高まりが影響しているのでは?また、それによる世帯数+単身世帯の増加の要因が大きいのでは?ということです。
未婚率の増加
御存知の通りかと思いますが、例えば1990年に30-34歳男性の未婚率は32.8%でしたが、今は47.1%まで増えています。高そうに見えますが、世界で見れば中程度です。
家を買う一番の理由・きっかけは出産・結婚、子供の入園など、そうすべては結婚から始まるタイミングですね。未婚率が高まる、もしくは結婚年齢が上がるということは持家比率を下がるということです。
世帯構成の変化
もう一方、持家率を下げる可能性がある、未婚率の高まりにも起因する世帯数の増加・1人世帯の割合増です。
一番左が単身世帯ですが、平成2年に900万世帯強だったものが、平成22年には1700万世帯ということで、2倍弱に増加しています。
割合を見てみると
全世帯における1人ぐらし世帯は、平成7年は25.6%だったのに対して、平成17年には29.4%と増加しています。令和4年にはもっと増加しているでしょう。
晩婚化によって家を買うきっかけが後ろになる、また、単身世帯の増加によって集計母数が増えた、そう考えることによって持家率の変化の背景というのが見えてきます。
それによって持ち家率はどう変化する?
乱暴ですが、簡略化のために、未婚者は家を買わない、既婚者は必ず家を買うと仮定します。そして必ず同世代の人間と結婚するとしましょう。ここでは数値の正確さというよりは、感覚として理解することを優先で。
まず、結婚率が下がることによって、自然と持家比率は下がります。
上記のように、家を買う確率が低い未婚率が高まるということは、自然とその年代の持家比率を引き下げます。50%が36%に、なので、割合としては28%ほど下がっていますね。ちょっと下がりすぎてますが。
もう一方の側面の、世帯構成の変化では、
1人を買う確率が低い1人世帯が増えることで、自然と持ち家率は減少しています。こちらは7%。
結論:住宅へのトレンドが変わらなくても、統計上の持ち家率は低下する
つまり何が言いたいかというと、(もちろん現実的には正しくないですが)、世帯ごとの家を買う、買わないという考えが全く変わらないとしても、昨今の日本の未婚率・世帯構成の変化によって、自然と持ち家率が下がる傾向にあるということです。もちろん、未婚率が高まった結果、単身で家を買う人は増えているでしょう。が、簡潔なモデルとして計算した結果です。
よって、冒頭あった年代ごとの持家比率が下がっていることを見て、「あー、家を買うのってはやってないんだー」っと思うのは早計かも。ということです。
持家比率の変化のグラフを見て、私はまず直感的に、「そりゃ年代別に見たら結婚年齢下がっているから、持ち家率下がっているようにみえるよなー」と思い、補正をしたみたいなということで、荒ぶった計算をしてみました、このようにロジック建ててグラフや数値を触れるようになると、数値やグラフのトリックや違和感にも気づきやすくなりますので、ぜひ住宅・不動産・経済を理解知りたいと思う人は、数字には強くなりましょう。
それではまた。
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