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ハバナのひとよ⑥(札幌古着)

さて。
そろそろ私の本業である「全国古着屋行脚」に触れないと、
フォロワーの皆さま方に愛想をつかされてしまいそうだ。

あまりご興味のない方々には申し訳ない気持ちだが、
古着を生業とさせていただいているのでご容赦願いたい。

1.数字からみる北海道の古着都市潜在力


若輩者ながら全国の古着屋を営業訪問していると、傾向や特徴などがみえてくる。

以下は「傾向」という視点で、
これは至極当たり前なことだが
名店の数や商品ラインナップの平均アベレージに「都市の規模に比例する」という事実がある。

理由は明白であり、
「人の往来が多く、旺盛な購買力」が古着屋を下支えしているためである。

では、その理由に当てはまる都市はというと

都道府県総人口ランキング
(webサイト: 政治山 より抜粋)

勝手ながら引用させていただいたが、
人口密集都市の上位郡を一部抜粋したものである。
神奈川や埼玉は頭の中に疑問符が浮かぶだろうが、
ベッドタウンとしての役割が大きいと考え無視すれば、
残る東京、大阪、愛知といずれも巨大な古着市場が形成されている都市が浮かび上がってくる。

その中で、本稿のポイント「北海道」に着目する。
都道府県単位としてみたときに8位と奮わないが、
これを「札幌市」という政令指定都市区切りでみたときどうなるかというと。

都道府県市町村区ランキングデータ様より抜粋

全国の政令指定都市で「4位」の人口を誇るのだ。
(約196万人。これは西の横綱 福岡県福岡市 を上回る数字。)

いかに札幌という街が巨大か、この数字でお分かりいただけただろう。

2.傾向としてみえてきた札幌古着マーケット

さて、人口からみる札幌の可能性について綴ってきたところで、
ようやく本題であるところの札幌古着市場に入っていく。
(各店の解説については第3項で)

結論から申し上げると、
真狩村の連れ出しスナック、本番交渉ありました
失礼、正しくは「札幌はvintage city」でした。

これは私的感覚なのであてにならないかもしれないが
ビンテージに対して若年層が価値を見出だしており、店頭在庫がきちんと動いている店が多ければそのように分類している。

所謂レギュラー衣料を馬鹿にしているわけではないが、
比較的ハイプライスなビンテージは、
価値がわかって貰えないと購入まで至らないため(=安いしなんとなく良いから買うかが通じない)、
価値観が若者に浸透しているかの指標になっている。

そういった意味合いで、
今回訪れた札幌の古着屋各店はしっかりビンテージを置いていたし、
しっかりと若年層ユーザーが客としてついていた点を今回評価した。

札幌は路面店の古着屋が殆どなく、
ビルの間借り店舗が多いという特性上、
能動的に情報収集しないと辿り着けないだろうから、辿り着いているのは比較的熱意があるユーザー達といえよう。


3. 札幌の名店たち所感+まとめ

以降は簡潔にまとめていきたい。
私が訪問した順に店舗名を記載、下にコメントを続けていく。

①SHARE 本店

道内に札幌、旭川と2店舗を構える老舗、SHARE。
必ず重鎮がいるだろうと踏んでいたが、予想以上に若手スタッフを多数使っており、
店内も90's中心のラインナップであった。
しかしながら、シャツやボトムスをはじめオールカテゴリーの在庫数が豊富であり、
店員の接客スタイルからも「ファッション」に寄っているとの印象を受けた。
オールドスタイルを貫く老舗ほどファッションから縁がなくなる傾向にあるため、この点はプラスに捉えた。
Ralph Laurenも比較的珍しいものが多く、3つ星期RRLも幾つか在庫していたので入りとしては良いなと印象を受けた。

②high possiton

正直なところ、今回一番気になっていた店である。
投稿のスタイリッシュな様子から新進気鋭の古着屋かと思っていたが、今年で20周年を数える老舗であった。 
私のみる目もまだまだ、だ。
入って左手側は新旧問わずデニム素材で固め、
右手側はリバース、ミリタリーから始まり、壁側にかけてオールドシャツ、つなぎ、ワークコート、ダービージャケット等、
ビンテージを中心としながら流行りに迎合しない多彩なラインナップであった。
(ちなみにUSとEUROは7:3くらいの割合)
特にオールドシャツやワークのビンテージボトムスは気になるものが幾つかあったし、
kodiakのかぶりやスタッズ付きの「袖カットオフ40'sカバーオール」など、
1点モノ感あるラインナップも嬉しかった。
また、スタッフは落ち着いた20代後半が数名。
しかし年始の周年入荷も極上のラインナップだったこともあり、恐らくバイヤーがやり手なのであろう。
次回札幌に伺う際はまた訪問したい。

次の店への移動中に、かつて札幌に存在した伝説のビンテージショップ跡を見つけた。

詳しくはInstagramアカウントを。

③LEAF

繁華街からやや離れた落ち着きあるエリアにひっそりと佇むお店。
面構えから、恐らく老舗も老舗。すっきりとした店内だが、オールドスタイルなUS古着がラックにぎっしり。
店頭には恐らくオーナーの初老男性が1名のみ。
もちろん無言である。(高評価)
ミリタリーをはじめ、ボタスタ、NOSのオールドスラックス、チャンピオンのリンガーtee。
今のニーズには合わないだろうが、長い顧客が大勢ついていそうな古着屋であった。

④alter vintage

ここにあるの?と疑うくらいに繁華街すすきの、ほぼど真ん中のビルに位置する該店。
入店するや否や、正面にはハイプライスのビンテージ(後付けフーディーやスカジャンなど)が並び、
店内なかほどでレジを挟んだあと、奥行きのある店内後方ゾーンにはミドルクラスのビンテージが並んでいた。
店内のスタッフは私と同じくらいが1名と20歳そこそこの若手スタッフが1名の計2名。
手前のビンテージゾーンを指して『コアな古着好きに喜んで貰えるものを集めました』と言われ、
少々困惑してしまった。(後付けフーディーやスカジャンは、コアな古着好きは追わないと思うのだ。どちらかというと新参者や芸能人が注目するゾーンである)
しかしながら、奥にあるシャンブレーシャツも明らか40's~60'sで揃えていて本気を感じたし、
a-1スタイルのディアスキンレザージャケットやsearsのセーリングトップスは思わず買いそうになってしまった。

このラインナップも昨今のビンテージブームありきといえるが、それだけ売れるんだろうし、
札幌市内でビンテージをたくさん見たいのであれば、まずはここに行くのが手っ取り早いとは感じた。

⑤chance vintage

舞台は札幌市繁華街から「豊平区」へと移る。
すすきの駅から乗り換えて電車で2駅ほど南下。
札幌市内を流れる大河、豊平川を越えてすぐの「学園前駅」を降りてほどなくのエリアだ。
この街も想像以上に栄えていたが、
我々にとって肝心なのは古着屋のクオリティ。
これも仕事と老体に鞭を打ち、わざわざ最終日に時間をつくってこのエリアまできた。

まずはchanceさん。
LEAFさんと似た雰囲気で、入店するや否や、カリフォルニアの風に身体中が包まれた。
この店はLEAFさんと比較すると、やはり西海岸寄りと表現すべきか、
オールドstussyやサーフ系tシャツ、スニーカーなどが並んでいた。
バイカースタイル関連のアイテムが多かったのは店主さんの意向であろう。
めぼしいものは特に見当たらなかったが、tシャツもプリントが良いものばかりだったし好みのお店ではあった。

⑥yarn

豊平区で一番気になる古着屋はここだった。
隣にはつぶれた店が多く立ち並ぶ長屋?の一ヶ所、ここに古着屋が本当にあるのか?
とさえ疑ってしまうような場所に該店は鎮座していた。

向かって真ん中の店が該店である。

知りうる限りでは北海道に2店ほどしかないEURO特化のお店。
12畳くらいの店内には、ヨーロッパで買い付けたであろうワークジャケットやミリタリーボトムス、
テーラードジャケットやスラックス等が所狭しと並んでいた。
一見、寡黙なオーナーさんも話し掛けてみると気さくに色々と教えてくれる。
個人的にこのお店で群を抜いていたのはレザージャケットで、
USのレザージャケットにありがちなゴツゴツとした雰囲気が削ぎ落とされた、
柔らかい雰囲気でデザイン性に富んだEUROレザーがまとまって展開されていた。
パンチングレザーのものや、スタンドカラーの比翼のものは、
個人的にも欲しくなったが、この旅で派手に散財していた為、諦めた。
しばらく前に入荷していたj.crewのコットンドライバーズジャケットは訪問前にsold。。
最近は、下品な着方のUSが流行りにつき下火と言われているEUROだが、
私はEUROスタイルは品があって好きなので(ただしアイテムが似たり寄ったりなので奥行きがないのが玉に瑕。)、続いてほしいなと思う。


以上、なんだかんだで長くなってしまったが
北海道で訪問した古着屋の感想を簡単ではあるが述べさせていただいた。

訪問した古着屋は札幌市内で私が目星をつけ、
厳選していたものであり、道内古着屋のごく僅かに過ぎない。
あくまで一介の優良古着屋紹介者(自称)の戯れ言として受け止めていただけたらと思う。

街全体でみたとき若者は古着を着ていないな、という印象はあったが、
道民性をみたとき、軽率に東京に行こうとしない風土もあるため、
北海道ならではのファッション文化が発達すれば今後面白いなと考える。
偉そうな発言で恐縮だが、
そういった意味合いでも潜在力のある古着都市だと今回の遠征で結論付けることができた。

以上が北海道古着屋訪問記録だ。
この記事のなかで、もし気になる箇所があれば遠慮なく問い合わせてほしい。
Twitter:@egunyuuka DMにて随時受け付けている。


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