睡眠障害

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ハバナのひとよ⑧(最終章)

回り道でも 旅の終わりに 君にもう一度 逢えたらいいね…🎶 上記フレーズは、 『人生(たび)の空から』の歌詞より抜粋したものだ。 この曲は松山千春のシングル・コレクション『起承転結II』にも収録されており、知名度も高いだろう。 80年代に入ったところで彼の音楽活動において、 最もセールスを連発していた、いわば最盛期に相当する。 芸術という領域、とりわけ音楽というジャンルにおいては、 どうしたことか「デビュー当初は名作が多いが、次第に良い曲は少なくなっていく」傾向にある。

    • ハバナのひとよ⑦

      『あたしバカよね🎶 おバカさんよね🎶』 と、細川たかしは唄っているが、全くもってその通りだと思う。 猛省していただきたい。 冒頭より怒りが込み上げてしまった訳は以下に続く… 古着屋訪問を終えた私は、 再度、色男と合流し、札幌の地下でひっそりと営業している「答えバー」に居た。 シングルどころかダブルをゆうに越えるほどなみなみと注がれたアードベク10年のロックをちびりちびりとすすりながら、心地よい音楽に耳を傾けていた。 「あしたどーしましょかァ………」 『そうですなァ……

      • ハバナのひとよ⑥(札幌古着)

        さて。 そろそろ私の本業である「全国古着屋行脚」に触れないと、 フォロワーの皆さま方に愛想をつかされてしまいそうだ。 あまりご興味のない方々には申し訳ない気持ちだが、 古着を生業とさせていただいているのでご容赦願いたい。 1.数字からみる北海道の古着都市潜在力 若輩者ながら全国の古着屋を営業訪問していると、傾向や特徴などがみえてくる。 以下は「傾向」という視点で、 これは至極当たり前なことだが 名店の数や商品ラインナップの平均アベレージに「都市の規模に比例する」という事

        • ハバナのひとよ⑤

          『時計台の下で逢って わたしの恋は はじまりました…🎶』 自らを石原裕次郎と思い込んでいる27歳精神異常者ゆえ、 22歳医療関係女性との集合先を「時計台の下」と指定してしまったことを今、懺悔する。 こう考えてしまうのも、仕方ないのだ。 なぜか私に優しくするの…なこの街が悪いといえよう。 さて、前回からの続きに話を戻そう。 ""湯治""を終えた私は仕事で負った傷も癒え、 軽快な足取りで色男との集合先へ向かっていた。 初日と同じ喫茶店。100名店のうち一つだ。 店に入る

        ハバナのひとよ⑧(最終章)

          ハバナのひとよ④(※R18)

          4月6日土曜日、午前10時を回ったところ。 私は、すすきの南仲通りで立ち尽くしていた。想定外の事態が起こったからである。 …………… 朝、ホテル時計台で惰眠を貪っていたところ、 色男から一本の電話がきた。 詳細をここに書くことはできかねるが、 とどのつまり、午前中の""営業訪問""に同行できなくなった、という旨の連絡である。 心細さを感じなかったといえば嘘になるが、 なんせ自身4度目となる風○調査。 もう手慣れたものであったし、新規開拓といえど恐るるに足らなかった。(キ

          ハバナのひとよ④(※R18)

          ハバナのひとよ③

          喫茶店のドアを控えめに開ける。 もちろん、いらっしゃいませの言葉はない。 誤解を生まないように添えておくが、入店時挨拶なしは加点要素である。 良い喫茶店と良い古着屋の共通項だ。 店内に大音量で流れる、ジャズの名盤たちの音圧が身体にビリビリと響く。 彼が「名店しか知らない男」というのはどうやら本当のことのようだった。 圧倒されながらも、薄暗い店内で色男の姿を探す。 男を見つけるのには2秒と掛からなかった。 ストライプ入りのダブルのスーツに身を包み、 ハイライトを深く吸うそ

          ハバナのひとよ③

          ハバナのひとよ②

          『夜の札幌 あなたに逢えて 凍てつく心にあかりが灯る…🎶』 15:20 新千歳空港、第一エアーターミナル。 一人の年金受給者が北の大地に降り立った。 「何卒。」 そう呟くと、空港ビル内の階層を下から舐めるように攻めはじめた。 中部国際空港も然りだが、国際線の往来が多い空港は土産物屋から飲食店まで、自分が見て知ってきた中では規模が違った。 空港ビルを散策する理由はそう、同年代であれば知らない人はいない、「北空港モニュメント」である。 内山田洋とクール・ファイブの代表曲とい

          ハバナのひとよ②

          ハバナのひとよ①

          「会いたい気持ちが…🎶ままならぬ…🎶」 そう呟くと会社用携帯を機内モードへ切り替え、軽快な足取りで浜松駅へ向かった。 今日と来週月曜に有給休暇を取得し、 ""極上島""(北海道です)への旅を敢行するのだ。 私にとっての北海道は、 記憶のない赤ん坊のころに両親に連れられて以来の2回目だが、実質初めてといったところ。 目的は、前回伊勢佐木町公演にて共演した、 同業の""ハバナからきてくれたお兄さん""に会うため。 札幌市内を""シマ""とする彼に、 行きつけの店店を案内して

          ハバナのひとよ①

          24.03中州潜入調査報告~刈られにいくなら中州~

          『刈りに~ゆくなら~~天神~~  刈られに~ゆくなら~~中州~~』 宿泊先の爺がいきなりこんな歌を歌いだしたもんだから、思わず苦笑いが漏れ出た。 そう、ここは福岡。九州一の繁華街。 うわべでは古着探訪の旅だの、大学時代の後輩に会いに行くだのそれらしい理由を並べたが、初の福岡ときたら、色町研究に片足を突っ込んでいる以上、潜入調査を目標とせずにはいられない。 なけなしの貯金を切り崩し、中州へと向かった―――。 中州の歴史 そもそもの中州というエリアだが、 福岡の色町は「新

          24.03中州潜入調査報告~刈られにいくなら中州~

          熊本の夜②

          『ここの××さんには、わたし、とってもお世話になってましてぇ・・・』 お酒の入った彼女がこれ程までにも甘え声になるとは私は想像していなかったし、彼女がそれを許すほどに私は学生時代、彼女に何もしてやれなかったので、疑うわけではないが頭の中に疑問符が飛び交った。 ええい、ままよ、と心の中で叫び、ウッド調なバーの扉を開けた。 常連だという彼女のワガママで1時間早くオープンしたバーは、ナウい表現を使えば「コンセプト・バー」なのかもしれない。 「キャンプ」にテーマを置き、今年の12月

          熊本の夜②

          熊本の夜①

          『2軒目は飲みませんか?───、』 彼女からの一言に、正直驚いた。 ひさしぶりの再会を喜ぶなんて書き方をしたが、ぼくと彼女が実際に会うのは片手の指で足りるくらいの回数だった。 ただ、信頼をおける関係性を築き上げるにあたって、大学2年間で彼女とSNSでやり取りした時間は濃密で充分すぎるものだった。 そんな彼女に連れられ、地下喫茶を脱した。 地上に出ると辺りは暗くなっていたが、熊本の夜は、我々の行動など気にならないほどに賑わいをみせていた。 『煙草買っていいですか?睡眠障害さんが

          熊本の夜①